プロメア
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ゲーラ!」
とん、と***が背中を押し、すぐに肩を掴むと、ゲーラの視界は少しばかり高くなった。
「もう、また猫背になってたよ。そろそろ姿勢直さないと」
「へ〜へ〜……」
「ちゃんと聞いてよ!」
元バーニッシュ仲間の***は、未だに時々こうしてゲーラの悪癖を正そうとする。長い時間を共にした仲で、もう何度目のことか数えることもしなくなった。
「大体、オレの姿勢が悪かろうが、オマエには関係ねぇだろ」
「むぅ……だって、だって! 健康に良くないよ。……せっかく、普通に暮らせるようになったのに」
突き放すような言葉に負けじと、***は食いかかる。
迫害され続けていたバーニッシュたちは、プロメアの喪失をきっかけに漸く人間らしい生活を取り戻し始めた。雨風を凌ぐ住まいも、命を繋ぐため必死に求めた食事も、今や当たり前の権利として得られるようになった。
注意したばかりのゲーラの姿勢は、早速丸まり始めている。それを見た***は、悲しそうに俯いた。
収容所で、多くの仲間と共に狭い部屋に押し込められていた日々。バーニッシュを縛る凍結リングは、大人の体には手首を覆う程度の大きさでも、幼い彼らには腕全体を覆い隠す程に大きく重たい物だった。
いつ実験台にされるかわからない恐怖で縮こまる***を、ゲーラはいつも背に隠して、財団の人間を睨め付けていた。
無意識とはいえ、ゲーラがあの頃と変わらず背を丸めているのを見ると、***はどうしようもなく不安になる。もう自分たちを縛る物は無いというのに。
「私、ゲーラにはお爺ちゃんになるまで元気でいてほしいもん……」
「ジジイになる時のことまで考えてんのかよ、オマエは」
「ゲーラは先のこと考えなさすぎ!」
怒り出した***の相手が面倒になったゲーラは、懐から取り出したタバコに火を点けた。小さく灯る火と煙の揺らぎは、どこか懐かしい。
「あ! 今度はそんなの吸って……!」
タバコを取り上げようと伸ばす腕から逃れるように、ゲーラの腕も高く伸びる。目の前で飛び跳ねる姿は滑稽で、笑ってしまうくらい必死だ。
「おーおー、そんなにコレが欲しいならくれてやるよ」
そんな***の顔に、ゲーラは煙を吹きかけた。
「ウッ、ぺっぺっ‼︎ 全然欲しくない! こんなこと、他の人にしたら嫌われるよ……⁉︎」
「嫌われるのは慣れてらァ、こっちはマッドバーニッシュやってた人間だからな。それに、心配しなくても他のヤツにはやらねぇよ」
「う〜……」
何を言っても、ゲーラは全く堪えない。どうにかして、彼の癖を辞めさせられないかを考えた***は、賭けに出た。
猫背で距離が近いゲーラの頬を、両手で挟む。
「あ?」
「し、姿勢直さないと……っ! このまま、キス、しちゃうからね……⁉︎」
これならどうだ、流石に今回ばかりは私の言うことを聞いて正すだろうと、うるさく鳴り続ける鼓動を抑えながら、確信を抱く。
しかし、そんな***とは裏腹にゲーラは全く動じなかった。
「おー、やってみろ! 出来るモンならな!」
「……っ!」
それどころか、ニヤニヤと笑いながら挑発した。そんなことする度胸がある筈無い、と甘く見られていることがわかり、これには***もいい加減頭に血が上った。
目を瞑り顔を近づければ、何も遮る物がないそれは、いとも簡単に合わさる。
ちゅ、と一つ音を立てて、呆気なく離れる。
「…………」
ゲーラは何も言わず、きょとんと目を丸くして固まっている。先に声を発したのは、***だった。
「な、何で⁉︎ もう! ゲーラが、直さないから……!」
本当にキス、しちゃったじゃない。
小さく消え入りそうな声で言うと、両手で顔を覆う。
「……オマエがやったんだろうが」
「も〜‼︎」
羞恥で顔を真っ赤にさせながら、ゲーラの胸を拳でポカポカと叩く。
「初めての、キスがっ、た、タバコの味だなんて……っ」
後悔して目に涙を浮かべた***が、その場でしゃがみ込んだ。その隣に屈み込み、ゲーラの骨ばった手が、俯く頭をぐしゃぐしゃと撫で回す。
「ゲーラのバカぁ……」
「バカはオマエだろ! 仕方ねぇな……禁煙くらいはしてやる」
タバコの火が掻き消される。耳を赤く染めながら、姿勢は当分直せそうにないとゲーラは遠く思った。
とん、と***が背中を押し、すぐに肩を掴むと、ゲーラの視界は少しばかり高くなった。
「もう、また猫背になってたよ。そろそろ姿勢直さないと」
「へ〜へ〜……」
「ちゃんと聞いてよ!」
元バーニッシュ仲間の***は、未だに時々こうしてゲーラの悪癖を正そうとする。長い時間を共にした仲で、もう何度目のことか数えることもしなくなった。
「大体、オレの姿勢が悪かろうが、オマエには関係ねぇだろ」
「むぅ……だって、だって! 健康に良くないよ。……せっかく、普通に暮らせるようになったのに」
突き放すような言葉に負けじと、***は食いかかる。
迫害され続けていたバーニッシュたちは、プロメアの喪失をきっかけに漸く人間らしい生活を取り戻し始めた。雨風を凌ぐ住まいも、命を繋ぐため必死に求めた食事も、今や当たり前の権利として得られるようになった。
注意したばかりのゲーラの姿勢は、早速丸まり始めている。それを見た***は、悲しそうに俯いた。
収容所で、多くの仲間と共に狭い部屋に押し込められていた日々。バーニッシュを縛る凍結リングは、大人の体には手首を覆う程度の大きさでも、幼い彼らには腕全体を覆い隠す程に大きく重たい物だった。
いつ実験台にされるかわからない恐怖で縮こまる***を、ゲーラはいつも背に隠して、財団の人間を睨め付けていた。
無意識とはいえ、ゲーラがあの頃と変わらず背を丸めているのを見ると、***はどうしようもなく不安になる。もう自分たちを縛る物は無いというのに。
「私、ゲーラにはお爺ちゃんになるまで元気でいてほしいもん……」
「ジジイになる時のことまで考えてんのかよ、オマエは」
「ゲーラは先のこと考えなさすぎ!」
怒り出した***の相手が面倒になったゲーラは、懐から取り出したタバコに火を点けた。小さく灯る火と煙の揺らぎは、どこか懐かしい。
「あ! 今度はそんなの吸って……!」
タバコを取り上げようと伸ばす腕から逃れるように、ゲーラの腕も高く伸びる。目の前で飛び跳ねる姿は滑稽で、笑ってしまうくらい必死だ。
「おーおー、そんなにコレが欲しいならくれてやるよ」
そんな***の顔に、ゲーラは煙を吹きかけた。
「ウッ、ぺっぺっ‼︎ 全然欲しくない! こんなこと、他の人にしたら嫌われるよ……⁉︎」
「嫌われるのは慣れてらァ、こっちはマッドバーニッシュやってた人間だからな。それに、心配しなくても他のヤツにはやらねぇよ」
「う〜……」
何を言っても、ゲーラは全く堪えない。どうにかして、彼の癖を辞めさせられないかを考えた***は、賭けに出た。
猫背で距離が近いゲーラの頬を、両手で挟む。
「あ?」
「し、姿勢直さないと……っ! このまま、キス、しちゃうからね……⁉︎」
これならどうだ、流石に今回ばかりは私の言うことを聞いて正すだろうと、うるさく鳴り続ける鼓動を抑えながら、確信を抱く。
しかし、そんな***とは裏腹にゲーラは全く動じなかった。
「おー、やってみろ! 出来るモンならな!」
「……っ!」
それどころか、ニヤニヤと笑いながら挑発した。そんなことする度胸がある筈無い、と甘く見られていることがわかり、これには***もいい加減頭に血が上った。
目を瞑り顔を近づければ、何も遮る物がないそれは、いとも簡単に合わさる。
ちゅ、と一つ音を立てて、呆気なく離れる。
「…………」
ゲーラは何も言わず、きょとんと目を丸くして固まっている。先に声を発したのは、***だった。
「な、何で⁉︎ もう! ゲーラが、直さないから……!」
本当にキス、しちゃったじゃない。
小さく消え入りそうな声で言うと、両手で顔を覆う。
「……オマエがやったんだろうが」
「も〜‼︎」
羞恥で顔を真っ赤にさせながら、ゲーラの胸を拳でポカポカと叩く。
「初めての、キスがっ、た、タバコの味だなんて……っ」
後悔して目に涙を浮かべた***が、その場でしゃがみ込んだ。その隣に屈み込み、ゲーラの骨ばった手が、俯く頭をぐしゃぐしゃと撫で回す。
「ゲーラのバカぁ……」
「バカはオマエだろ! 仕方ねぇな……禁煙くらいはしてやる」
タバコの火が掻き消される。耳を赤く染めながら、姿勢は当分直せそうにないとゲーラは遠く思った。
1/12ページ
