狐の嫁入り!
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「風呂、父さんが先に入るぞー?」
「はーい。」
お父さんがシャワーを浴びる音と、お母さんが台所で食器を洗う音が重なる。食器を全て下げ、テーブルも拭き終わった私がぼーっとテレビを眺めていると、リンクからの呼び出しがかかった。
「***。」
「んー?」
振り向くと、ソファーで寛ぐリンクが自分の膝をぽんぽんと叩いていて。………それは、座れってことだよね…?昼間の時の、まだ諦めてなかったんだ。
「***、抱っこ。おいで。」
「ぉ…おいでって………もー、お母さーん!またリンクが甘えたがる~………」
「別にいいでしょー、構ってあげなさい!」
救いを求めてもお母さんはこの対応。ああ、結局はいつもこうなるんだよね……。はぁ、と俯き息を吐くと、リンクは寂しそうに顔を背けた。
「………嫌ならいいよ…。」
「え」
「嫌なら、もういい。」
「わ、わかった、わかったから!別に嫌じゃないよ、ごめんね?」
「…本当に?」
「本当本当。」
そんなぶっきらぼうにされたら、嫌だなんて言える訳がない。ただちょっと、気恥ずかしかっただけだよ。
テレビを見ながらリンクの膝に座ろうとしたら、腕を引かれて向かい合うように上に乗ってしまった。
「そっち向いちゃ駄目。」
あれ?あれ?と混乱しているうちに、背中まで腕を回されしっかりと抱き締められてしまった。私は抱き枕じゃないって、以前から言ってるのにな。
「やっと出来た…。***あったかい……。」
それは間違いなくリンクのせいだと思うのだけど。そうは思っても、満足げな声を聞くとついつい優しく頭を撫でてしまう。首に顔を埋めてくるものだから、リンクの髪の毛が当たってくすぐったい。
「あはは、リンクくすぐったい。今日は少し汗かいたから、多分私臭いよ?」
「全然。***の匂い好き。」
だからってそこまで吸わなくても、と思うくらいに大きな鼻息を感じた。……これじゃテレビも見られないなぁなんて思いながら、リンクの腕に身を任せ、優しく背中を撫でられる心地良さに眠気が襲いかかってきた頃。リンクの長い耳がぴくりと動いた。私の携帯が鳴ったのだ。確認しなくちゃ…。
「ん……リンク、ちょっとごめん…携帯取りに行かせて……。」
「…メールだろ。後にしろよ。」
「部員からのメールだから、連絡かもしれないんだもん……ね、いいでしょ?ちょっとだけだから。お願い。」
「………。」
解放された体をゆるゆるとした足取りで運び、テーブル上の携帯を手に取る。背中を向けてリンクの膝に座ると、お腹に優しく腕が回された。
受信したメールを開くとやっぱり内容は部活動の連絡で。読んでいる間も、構ってと言わんばかりにぐりぐりと背中に頭を押し付けられる。何というかこう、この子はもう少し大人しく待っていられないのだろうか。メールの返信を終えると、再び向かい合うように座り直した。嬉しそうになった表情に、これから言うのが少しばかり忍びない。
「ねぇ、リンク。」
「ん?」
「明日、一人でも登校出来る?」
「何で。」
う。今の一瞬で一気に機嫌を損ねた気がする。目つきが怖い。
「明日新入部員の歓迎会をするんだけどね、部室の準備を朝のうちにやろうってことになったの。だから私、先に登校するね。リンクは朝弱いでしょ?」
「弱いってか、朝と昼間が嫌い。」
「そ、そうなの………。」
「***いないと嫌だけど…仕方ない、頑張るよ。」
「そ…?ごめんね、ありがとう。偉い偉い!」
抱き締めてわしゃわしゃと頭を撫でると、リンクもぎゅーっと抱き返してくれながら、満更でもなさそうな声音を出した。
「俺は犬じゃないんですがぁー」
「ふふ、良いじゃない犬でも。可愛いもん。」
「かわいくないもん。」
こうして二人で他愛ない話をすること。リンクが当たり前のように幸せそうなこと。それがとても嬉しくて、心地良くて、安心する。
そうしているうちにまたしても訪れた眠気。今度こそ私は、リンクの腕の中でぐっすりと眠りこけてしまった。
結局はこうなるんですよね。
(何だかんだで私もこの場所が好きだから。)(突き放すなんてこと、出来ないよ。)
14.2.1
「はーい。」
お父さんがシャワーを浴びる音と、お母さんが台所で食器を洗う音が重なる。食器を全て下げ、テーブルも拭き終わった私がぼーっとテレビを眺めていると、リンクからの呼び出しがかかった。
「***。」
「んー?」
振り向くと、ソファーで寛ぐリンクが自分の膝をぽんぽんと叩いていて。………それは、座れってことだよね…?昼間の時の、まだ諦めてなかったんだ。
「***、抱っこ。おいで。」
「ぉ…おいでって………もー、お母さーん!またリンクが甘えたがる~………」
「別にいいでしょー、構ってあげなさい!」
救いを求めてもお母さんはこの対応。ああ、結局はいつもこうなるんだよね……。はぁ、と俯き息を吐くと、リンクは寂しそうに顔を背けた。
「………嫌ならいいよ…。」
「え」
「嫌なら、もういい。」
「わ、わかった、わかったから!別に嫌じゃないよ、ごめんね?」
「…本当に?」
「本当本当。」
そんなぶっきらぼうにされたら、嫌だなんて言える訳がない。ただちょっと、気恥ずかしかっただけだよ。
テレビを見ながらリンクの膝に座ろうとしたら、腕を引かれて向かい合うように上に乗ってしまった。
「そっち向いちゃ駄目。」
あれ?あれ?と混乱しているうちに、背中まで腕を回されしっかりと抱き締められてしまった。私は抱き枕じゃないって、以前から言ってるのにな。
「やっと出来た…。***あったかい……。」
それは間違いなくリンクのせいだと思うのだけど。そうは思っても、満足げな声を聞くとついつい優しく頭を撫でてしまう。首に顔を埋めてくるものだから、リンクの髪の毛が当たってくすぐったい。
「あはは、リンクくすぐったい。今日は少し汗かいたから、多分私臭いよ?」
「全然。***の匂い好き。」
だからってそこまで吸わなくても、と思うくらいに大きな鼻息を感じた。……これじゃテレビも見られないなぁなんて思いながら、リンクの腕に身を任せ、優しく背中を撫でられる心地良さに眠気が襲いかかってきた頃。リンクの長い耳がぴくりと動いた。私の携帯が鳴ったのだ。確認しなくちゃ…。
「ん……リンク、ちょっとごめん…携帯取りに行かせて……。」
「…メールだろ。後にしろよ。」
「部員からのメールだから、連絡かもしれないんだもん……ね、いいでしょ?ちょっとだけだから。お願い。」
「………。」
解放された体をゆるゆるとした足取りで運び、テーブル上の携帯を手に取る。背中を向けてリンクの膝に座ると、お腹に優しく腕が回された。
受信したメールを開くとやっぱり内容は部活動の連絡で。読んでいる間も、構ってと言わんばかりにぐりぐりと背中に頭を押し付けられる。何というかこう、この子はもう少し大人しく待っていられないのだろうか。メールの返信を終えると、再び向かい合うように座り直した。嬉しそうになった表情に、これから言うのが少しばかり忍びない。
「ねぇ、リンク。」
「ん?」
「明日、一人でも登校出来る?」
「何で。」
う。今の一瞬で一気に機嫌を損ねた気がする。目つきが怖い。
「明日新入部員の歓迎会をするんだけどね、部室の準備を朝のうちにやろうってことになったの。だから私、先に登校するね。リンクは朝弱いでしょ?」
「弱いってか、朝と昼間が嫌い。」
「そ、そうなの………。」
「***いないと嫌だけど…仕方ない、頑張るよ。」
「そ…?ごめんね、ありがとう。偉い偉い!」
抱き締めてわしゃわしゃと頭を撫でると、リンクもぎゅーっと抱き返してくれながら、満更でもなさそうな声音を出した。
「俺は犬じゃないんですがぁー」
「ふふ、良いじゃない犬でも。可愛いもん。」
「かわいくないもん。」
こうして二人で他愛ない話をすること。リンクが当たり前のように幸せそうなこと。それがとても嬉しくて、心地良くて、安心する。
そうしているうちにまたしても訪れた眠気。今度こそ私は、リンクの腕の中でぐっすりと眠りこけてしまった。
結局はこうなるんですよね。
(何だかんだで私もこの場所が好きだから。)(突き放すなんてこと、出来ないよ。)
14.2.1