狐の嫁入り!
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放課後、***がくれた栄養調整食品に誰もいなくなった教室でかじりつく。やっぱりこの時間が一番静かで落ち着く。…そういえば、これが今日初めてまともに食べた物だったと思う。だから午後に目眩がしたのか。
ふぅ、と息を吐き、分厚い本を机から取り出す。何ページまで読んだか、パラパラと捲りながら探す。今回の本は***が好きそうな内容なんだ。難しくて読めない漢字もまだ沢山あるし、長いけど…これを読み終えたら***に勧めて、語り合いたい。“どこまで読み終わった?”とか“その言葉の意味わかる?”とか、そんな小さなことでも構わないから。少しでも話題を増やしたくて。
***は部活動に励んでいるから、それが終わるまでこうして趣味を満喫して待っている。邪魔したらいけない。本当は寂しい、けど。
その気持ちをはぐらかして読書に熱中していると、やがて冷たい風が頬を撫でた。気がつくと黄昏時。黄金色の光と、影の落ちた部分はすとーんと真っ暗で世界中に美しいコントラストを作っていた。ああ、あの中に溶け込んで消えてしまいたい、そうしたら何も考えずに済むしきっと心地いいんだろうなぁ…。
一人で思い耽っていると、教室の戸が開く音が聞こえた。
「***っ、」
***が来たと思い振り返ったが、そこにいたのは期待していた人物じゃなかった。思わず舌打ちをこぼしそうになったが、静かな空間では間違いなく聞き取られてしまうから堪える。
「リンク君、本読んでたの?ごめんね邪魔しちゃって。」
誰だよお前。ああでも、こういう女子そういえばクラスメートにいたかもしれない。そうだ最近やたらとよく目が合う奴だ。コイツも腹の中では俺のこと笑ってるんだろうな、と思っていたことを思い出す。
その女子は何故か、上履きを鳴らしながら俺の元へ近付いて来た。おい邪魔してごめんっつったろ、何で更に邪魔しに来るんだよ。忘れ物取りに来たんなら早く用済ませて帰れよ、俺に関わるな。
「あのね、突然こんなこと言ったら変って思われるかもしれないけど……。リンク君、」
正面に立ち、真っ直ぐ俺を見据えるそれに期待と恐怖が湧き上がった。またか、なんて。
「私、多分リンク君のこと、好き…なんだと思う。1年生の時から。」
その言葉に希望を抱いて、勇気を振り絞って問いかけては
「…じゃあ結婚してくれるわけ?一生俺の面倒見てくれる?愚痴聞いてくれる?甘えさせてくれる?」
「ぇ………」
「見くびんじゃねーぞ。」
中途半端な気持ちのせいで、散々傷付けられてきたんだ。
「大した気持ちも無い癖に付き合って、後々面倒だから別れたいとか抜かしたら………自殺するかもよ、俺。
それでも良いの?」
さっきの様子とは違って、戸惑っている彼女には冷や汗が伝っていた。
ほら、
「…あの、あの………ごめんなさい…っ!」
無理なんだろ。
彼女が逃げるように教室から走り去っても、俺はしばらく戸を睨み付けていた。
再認識
(俺を見捨てずに受け入れてくれる人は、他にいないんだと改めて思い知らされた。)(***、早く帰って来て、俺を抱き締めて、)
13.12.22
ふぅ、と息を吐き、分厚い本を机から取り出す。何ページまで読んだか、パラパラと捲りながら探す。今回の本は***が好きそうな内容なんだ。難しくて読めない漢字もまだ沢山あるし、長いけど…これを読み終えたら***に勧めて、語り合いたい。“どこまで読み終わった?”とか“その言葉の意味わかる?”とか、そんな小さなことでも構わないから。少しでも話題を増やしたくて。
***は部活動に励んでいるから、それが終わるまでこうして趣味を満喫して待っている。邪魔したらいけない。本当は寂しい、けど。
その気持ちをはぐらかして読書に熱中していると、やがて冷たい風が頬を撫でた。気がつくと黄昏時。黄金色の光と、影の落ちた部分はすとーんと真っ暗で世界中に美しいコントラストを作っていた。ああ、あの中に溶け込んで消えてしまいたい、そうしたら何も考えずに済むしきっと心地いいんだろうなぁ…。
一人で思い耽っていると、教室の戸が開く音が聞こえた。
「***っ、」
***が来たと思い振り返ったが、そこにいたのは期待していた人物じゃなかった。思わず舌打ちをこぼしそうになったが、静かな空間では間違いなく聞き取られてしまうから堪える。
「リンク君、本読んでたの?ごめんね邪魔しちゃって。」
誰だよお前。ああでも、こういう女子そういえばクラスメートにいたかもしれない。そうだ最近やたらとよく目が合う奴だ。コイツも腹の中では俺のこと笑ってるんだろうな、と思っていたことを思い出す。
その女子は何故か、上履きを鳴らしながら俺の元へ近付いて来た。おい邪魔してごめんっつったろ、何で更に邪魔しに来るんだよ。忘れ物取りに来たんなら早く用済ませて帰れよ、俺に関わるな。
「あのね、突然こんなこと言ったら変って思われるかもしれないけど……。リンク君、」
正面に立ち、真っ直ぐ俺を見据えるそれに期待と恐怖が湧き上がった。またか、なんて。
「私、多分リンク君のこと、好き…なんだと思う。1年生の時から。」
その言葉に希望を抱いて、勇気を振り絞って問いかけては
「…じゃあ結婚してくれるわけ?一生俺の面倒見てくれる?愚痴聞いてくれる?甘えさせてくれる?」
「ぇ………」
「見くびんじゃねーぞ。」
中途半端な気持ちのせいで、散々傷付けられてきたんだ。
「大した気持ちも無い癖に付き合って、後々面倒だから別れたいとか抜かしたら………自殺するかもよ、俺。
それでも良いの?」
さっきの様子とは違って、戸惑っている彼女には冷や汗が伝っていた。
ほら、
「…あの、あの………ごめんなさい…っ!」
無理なんだろ。
彼女が逃げるように教室から走り去っても、俺はしばらく戸を睨み付けていた。
再認識
(俺を見捨てずに受け入れてくれる人は、他にいないんだと改めて思い知らされた。)(***、早く帰って来て、俺を抱き締めて、)
13.12.22