狐の嫁入り!
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「ねぇ、次のホームルームって後期の委員会役員決めるじゃん?」
「あ~アレね?私何にしようなぁ…。」
教室に戻って席に座るとムツミとリンクが側に集まった。本当は後期に入ってから決めてもいい筈だけど、先生が前期のうちに決めておきたいということで今から考えなければならない。私は前期で保健委員に決めたから、後期は他のものを選ぶことになる。
「私さー、書記やろうかと思ってるんだよね。」
「は、お前がかよ珍しいな。」
「うっさいわ!ねー***は学級委員長やるつもりない?」
「え?」
唐突に、頭から除外されていた選択肢を提案されて目を丸くする。
「そういうのはムツミの方が向いてるんじゃない?」
「いや~流石に学級委員長は面倒くさいかなって!それに私、字上手いし?」
「自画自賛かよキモい。」
「ねぇ何でいちいち突っかかるの!ねぇ!!」
リンクの襟を掴んでガクガクと揺らしているこんなムツミだけど、確かに書道を習っていることもあってか、字は上手い。友達同士でこういう役職に付くのは珍しくないことだけど…。
「私、そんなの出来る自信無いよ。」
「大丈夫大丈夫、リンクが手伝ってくれるよ!」
「それはムツミが勝手に決めたことでしょ~」
「………***が学級委員長なら、良いけど。」
「良いの!?いやいや、私まだやるなんて言ってな…い…」
間が悪くチャイムが鳴り響き、二人はさっさと席に着いてしまった。どうしてこういう時の行動はきっちりしているのだろう、不思議でならない。
担任の先生の声を聞きながら一人考えていると、やっぱりまずは学級委員長の募集から始まった。希望者はいなくて、“もう一度聞いて誰もいなかったら、前期の人に続けて頼みますね。”という言葉にリンクは嫌そうな顔をした。副委員長も同じく希望者はいなかった。
「あ、私書記やりまーす!」
静かな中でムツミの脳天気な声色が響く。リンク今絶対“俺達誘わなくてもアイツ一人で出来るだろ…”とか思ったんだろうな、そんな顔してる。もう一度学級委員長と副委員長の希望者が募られたが、誰も手を挙げる気配は無くて。リンクがあからさまに机へ顔を伏せた。そっか、希望者がいないと、リンクは後期もあの仕事をしない人と一緒にやることになるんだ…。
「あの…わ、私で良ければ……」
そろそろと控えめに手を挙げる。声小さ!私こんなに声小さかったっけ!?そう思っていると安堵した先生に“ありがとう、よろしくー!”とあっさり任されてしまった。こんなんで良いのかな。
「副、続けてやります。」
再度募られた訳でも無いのに、私が決まった途端にリンクは真っ直ぐ手を挙げて副委員長を希望した。あ、あからさま過ぎて何だか恥ずかしい…。
ムツミがこっちを見てにやついているのが視界に映った。結局こうなることは、とっくに予想されてたということだ。面倒事を引き受けてしまったという気持ちと、これも良い経験だしクラスメートの皆と馴染めるように頑張ろうと決めた瞬間だった。
それなのに、クラスメートと交流する絶好の機会である校外学習に、リンクは来なかった。
「リンク。入っていい?」
帰宅して真っ先にリンクの部屋を訪ねる。返ってきた声とほぼ同時にドアを開くと、リンクはベッドに寝転んで布団にくるまっていた。
「お帰り、***。」
「…体調悪いの?」
「いーや、平気。」
「やめてよ。」
綻んだ表情で私へ手を伸ばすリンクを拒絶すると、本人は固まって目を見開いていた。怒ってるの、わからないのかな。
「今日、学校はどうしたの。」
「サボった。」
「どうして!」
「だって…出かけたくない~……」
「せっかく、皆と仲良くなれる良い機会だったのに、もうちょっと頑張ろうよ…。」
「……………だって、」
「だって何?」
布団に顔を埋めて拗ねたように声を絞り出すリンクは、まるで子供みたいだった。
「***が皆と仲良くなるとこなんて見たくなかった。家にいる時だって、そんな可愛い格好もしてくれないし。おれのこと嫌いなの?」
「あ~、もう!どうしてそういう話になるの!」
「……ごめん、なさい……………。」
こんな風に何度もなよなよされると扱いに困る。溜め息を吐くとまた落ち込むリンクを見て、何とかならないものかと頭を捻るも、考えても思い付いたご機嫌取りはくだらないものしか無い。
「…ねぇ、修学旅行には行ってくれるでしょ?」
「………わかんない…。」
「皆と旅行に行けるなんて、これで最後なんだよ?」
「それはわかってる…けど……」
「…家でもなるべく可愛い服着るようにしたら、行くって約束してくれる?」
「…うん。」
「え、本気で言ってるの?」
「うん。」
「……………。」
リンクの判断基準がよくわからない。倦怠感に襲われて私服の上着を脱いだ。新しい服…買わなくちゃいけないかもしれないなぁ。
ご機嫌取りは簡単ですが。
(「今度、新しい夏服でも買いに行こうか」って楽しげに微笑む君と)(ちょっと面倒くさい提案しちゃったなぁ、なんて思う私。)
(て言うか、出かけたくないんじゃなかったの!)
14.7.6
「あ~アレね?私何にしようなぁ…。」
教室に戻って席に座るとムツミとリンクが側に集まった。本当は後期に入ってから決めてもいい筈だけど、先生が前期のうちに決めておきたいということで今から考えなければならない。私は前期で保健委員に決めたから、後期は他のものを選ぶことになる。
「私さー、書記やろうかと思ってるんだよね。」
「は、お前がかよ珍しいな。」
「うっさいわ!ねー***は学級委員長やるつもりない?」
「え?」
唐突に、頭から除外されていた選択肢を提案されて目を丸くする。
「そういうのはムツミの方が向いてるんじゃない?」
「いや~流石に学級委員長は面倒くさいかなって!それに私、字上手いし?」
「自画自賛かよキモい。」
「ねぇ何でいちいち突っかかるの!ねぇ!!」
リンクの襟を掴んでガクガクと揺らしているこんなムツミだけど、確かに書道を習っていることもあってか、字は上手い。友達同士でこういう役職に付くのは珍しくないことだけど…。
「私、そんなの出来る自信無いよ。」
「大丈夫大丈夫、リンクが手伝ってくれるよ!」
「それはムツミが勝手に決めたことでしょ~」
「………***が学級委員長なら、良いけど。」
「良いの!?いやいや、私まだやるなんて言ってな…い…」
間が悪くチャイムが鳴り響き、二人はさっさと席に着いてしまった。どうしてこういう時の行動はきっちりしているのだろう、不思議でならない。
担任の先生の声を聞きながら一人考えていると、やっぱりまずは学級委員長の募集から始まった。希望者はいなくて、“もう一度聞いて誰もいなかったら、前期の人に続けて頼みますね。”という言葉にリンクは嫌そうな顔をした。副委員長も同じく希望者はいなかった。
「あ、私書記やりまーす!」
静かな中でムツミの脳天気な声色が響く。リンク今絶対“俺達誘わなくてもアイツ一人で出来るだろ…”とか思ったんだろうな、そんな顔してる。もう一度学級委員長と副委員長の希望者が募られたが、誰も手を挙げる気配は無くて。リンクがあからさまに机へ顔を伏せた。そっか、希望者がいないと、リンクは後期もあの仕事をしない人と一緒にやることになるんだ…。
「あの…わ、私で良ければ……」
そろそろと控えめに手を挙げる。声小さ!私こんなに声小さかったっけ!?そう思っていると安堵した先生に“ありがとう、よろしくー!”とあっさり任されてしまった。こんなんで良いのかな。
「副、続けてやります。」
再度募られた訳でも無いのに、私が決まった途端にリンクは真っ直ぐ手を挙げて副委員長を希望した。あ、あからさま過ぎて何だか恥ずかしい…。
ムツミがこっちを見てにやついているのが視界に映った。結局こうなることは、とっくに予想されてたということだ。面倒事を引き受けてしまったという気持ちと、これも良い経験だしクラスメートの皆と馴染めるように頑張ろうと決めた瞬間だった。
それなのに、クラスメートと交流する絶好の機会である校外学習に、リンクは来なかった。
「リンク。入っていい?」
帰宅して真っ先にリンクの部屋を訪ねる。返ってきた声とほぼ同時にドアを開くと、リンクはベッドに寝転んで布団にくるまっていた。
「お帰り、***。」
「…体調悪いの?」
「いーや、平気。」
「やめてよ。」
綻んだ表情で私へ手を伸ばすリンクを拒絶すると、本人は固まって目を見開いていた。怒ってるの、わからないのかな。
「今日、学校はどうしたの。」
「サボった。」
「どうして!」
「だって…出かけたくない~……」
「せっかく、皆と仲良くなれる良い機会だったのに、もうちょっと頑張ろうよ…。」
「……………だって、」
「だって何?」
布団に顔を埋めて拗ねたように声を絞り出すリンクは、まるで子供みたいだった。
「***が皆と仲良くなるとこなんて見たくなかった。家にいる時だって、そんな可愛い格好もしてくれないし。おれのこと嫌いなの?」
「あ~、もう!どうしてそういう話になるの!」
「……ごめん、なさい……………。」
こんな風に何度もなよなよされると扱いに困る。溜め息を吐くとまた落ち込むリンクを見て、何とかならないものかと頭を捻るも、考えても思い付いたご機嫌取りはくだらないものしか無い。
「…ねぇ、修学旅行には行ってくれるでしょ?」
「………わかんない…。」
「皆と旅行に行けるなんて、これで最後なんだよ?」
「それはわかってる…けど……」
「…家でもなるべく可愛い服着るようにしたら、行くって約束してくれる?」
「…うん。」
「え、本気で言ってるの?」
「うん。」
「……………。」
リンクの判断基準がよくわからない。倦怠感に襲われて私服の上着を脱いだ。新しい服…買わなくちゃいけないかもしれないなぁ。
ご機嫌取りは簡単ですが。
(「今度、新しい夏服でも買いに行こうか」って楽しげに微笑む君と)(ちょっと面倒くさい提案しちゃったなぁ、なんて思う私。)
(て言うか、出かけたくないんじゃなかったの!)
14.7.6