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第一章

『おにーちゃん……おにいちゃんどこ行ったの?……椿を置いて行かないでよ…』


だれもいないくらくてジメジメしてイヤなばしょに、わたしはひとり迷ってしまった


さっきまで、お兄ちゃんとおうちにかえっていたのに、お兄ちゃんは「任務が入ったから此処で待ってて、すぐ人が来るからね」と、椿をベンチにおいて行ってしまった


すなおにベンチでまっていればよかった……ちょうちょさんにつられて追いかけたりしなければ、今ごろいっちゃんがおむかえに来てくれてたのに……


『っ……うわぁぁぁん!!』


ここには黒くて怖いアレがたくさんいる、いやだ


お兄ちゃんたすけて


『…ぅぐ…』


ポロポロと涙が溢れて止まらない。じめんにしゃがみこむ。黒くて怖いものと目をあわせてはいけない、その対策。


こわい、いやだ。


一人に耐えられずに泣いていると……


「どうしたんだ?一人か?」


ついんてーるのお兄さんにはなしかけられた


『あのね、あのねッ………おに、ちゃんが…まってろ、って、いってたのにうごいちゃって……まいごになっちゃって……』


ゆっくりおもいついたことばをならべる。
椿はバカだから、お兄さんにはりかいしてくれないかもしれない。


「…そうか」


だけどお兄さんはりかいしてくれたようだ。

お兄さんは泣いている私のあたまをあやすように、ポンポンとやさしくなでてくれる


何だか……


『お兄ちゃんみたいであんしんする』


気が付いたら涙が止まっていた。このお兄さんの手はあたたかくて、大きくて、安心できる。


「…俺がお兄ちゃんだ。」


『おにいちゃん?』


「そうだ…名前は?」


『椿!』


「そうか、椿に合ってる可愛らしい名だな」


『えへへ~』


褒められた、と笑みを溢す
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