第一話
夢小説設定
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とはいえ、烏天狗の掴む情報はかなりの前進したに違いない。ケータたちが必死に探していても、足跡一つ掴めなかったのだから。
「その今剣……とかいうヤツと、今でも連絡取れないか? もしも取れるなら、主とお会いしたいと伝えて欲しいんだが」
「うーん、どうでしょう。取れるかな……? とりあえずアドレス交換はしたんですが、あの子が来た時代って、何せ2205年ですし」
「ピョァ⁉︎」
「2205年⁉︎ 想像もつかないニャ……!」
「一応連絡だけはしておくけど……。でも期待しないでよ!」
道理で、現代をこれでもかと探しても発見できないわけである。既にこの時代から離れているのだから。だが百年以上も未来とは、全く想像もつかない。というかそんな時代で暮らして色々大丈夫なのだろうか。
そんな心配を親心から心配している最中、烏天狗の妖怪パッドに着信が入った。どうやら今剣からの返信のようだ。
「あ、返信きた」
「何だと⁉︎」
「ちょ、ちょっと待って! ……返信したのは今剣じゃないみたいだけど」
「……何でわかる?」
「だってあの子めっちゃ平仮名で喋るし、口調が違うから」
そう。今剣は千年越えという、短刀の中でもぶっちぎりの最年長なのだが、彼は小さなその見た目と同じように、すこし舌足らずな喋り方なのだ。だが返信の口調は彼のものとはかなり異なり、しかも難解な漢字を連発していた。
誰が返信したのかは非常に気になるが、それよりも返信の内容だ。一時は妖怪パッドの取り合いにまで発展したが、代表してぬらりひょん議長が読み上げるようだ。
「では、読み上げるぞ。……この度、連絡を感謝する。残念ながら、今剣は遠征中だ。代理で山姥切国広が応答させてもらう」
「あぁ! 国広さんだ!」
「ウバウネの時は非常にお世話になりましたねえ。改めてお礼を言いたいでウィス」
「電話はできるのかニャ? 声が聞きたいニャ!」
「見た感じだとチャットはできるみたいね……電話ももしかしたら!」
「……かけ直しても良いか聞いてみるか」
チャットで電話をかけ直しても良いか尋ねると、すぐに返事が返ってきた。
時代のレベルで時差が開いているので、もしかしたら繋がらない可能性が高い。あと防衛上の理由で電話番号は教えられないので、こちらからかけ直すとのことだった。
いや防衛上の理由って一体何だ。じゃあメールアドレスは問題ないのか。心の中でぬらりひょんが色々ツッコミを入れた途端、妖怪パッドが着信を告げる。慌てて持ち主である烏天狗が緑色の応対ボタンをタップした。
「かけ直しさせてもらったが……。確か烏天狗の端末で間違いないか?」
「うん、大丈夫!」
「オッヒョア超絶イケボじゃないですかヤダー! てえてえ〜‼︎ 耳が幸せすぎるんですが何ですかこれはファンサですね⁉︎ ハァ〜ありがとうございます‼︎」
初めて聴く山姥切の声にイナホが発狂し、静かに万歳三唱した後、これまた静かに五体投地して悶絶していた。だがこれは彼女の通常運転なので誰も気にしない。淡々と烏天狗が山姥切と話を続けるのがその証拠である。
「悪いんだけど、周囲に沢山の人がいるんだ。その人たちも質問があるから、スピーカーにさせてもらうね」
「問題ない。軍事機密はの関係で話せない事も多々あるが……。その点は了承してもらうぞ」
まさか審神者という職業は軍隊に帰属するものなのだろうか。ぬらりひょんは途端に悪い顔色を更に青ざめさせた。エンマ大王は失神寸前で、犬まろと猫きよに支えてもらっている。
慌ててケータがお久しぶりです、と声をかけると、画面越しの声はどこか柔らかくなった。その声にイナホは再び死んだ。
「国広さん、お久しぶりです! えっと、1950年後半にお会いしたケータです。覚えてますか?」
「……久しぶりだな。連れの猫となんかよくわからない白いのは元気か?」
「何かよくわからないのって何ですか⁉︎ 私はウィスパー‼︎ ケータくんの妖怪執事でウボァッ「元気ニャンよー!」表出ろやこの猫畜生がァ‼︎」
「……随分と元気そうだな」
「あ、あははは……」
山姥切の反応に思わず苦笑いを零したケータだった。
「ところで。一体何の用だ? 礼を言いたいなんてワケではなさそうだが。強いて言うなら後ろで倒れてるヤツが疑問を持っている、というところか」
「え、どうしてわかるの⁉︎」
「どうして、って……後ろで何かが倒れた音が聞こえたからな。音的にアンタと同じくらいの体形だろう」
「え、あ、まあそうかな。でも話をしたいのはその人じゃないんだ。替わっても良い?」
「ああ」
ケータは早速妖怪パッドをぬらりひょんに手渡す。ケータよりも大きいはずのその手は、緊張のあまり震えていた。