第一話
夢小説設定
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写真に写る少女の、そのあまりの美麗さにケータは言葉を失い、イナホは騒ぎたて、狛犬兄弟は垂れた眼を点にしていた。
「どっひゃーーーーーー! めっちゃ美幼女じゃないですかーやだー!」
「オラ、こんな綺麗な子ズラ見たことねえズラよ……!」
しかしケータやジバニャンはやや違った反応だ。確かに驚いてはいたが、その理由が異なっていたのだった。
「ニャニーーーーーーーーっ‼︎ この子、前にあったことあるニャン!」
「ぬらりひょん議長の娘さんだったの⁉︎」
「言われてみれば……表情豊かではありますが、耳の尖ったところとかぬらりひょん議長に似てますねぇ」
呑気に感想を述べるウィスパーの両腕を引っ掴み、がくがくと揺さぶるふぶき姫。早く言わないと凍らせると脅しているが、既に彼女の妖力でウィスパーの腕は凍てついていた。
「いつ⁉︎ どこで出会ったの⁉︎ 早く言わないと凍らせるわよ‼︎」
「寒い寒い寒い! もう凍ってるでウィス‼︎」
「ろ、60年前のさくら町で……」
妖怪ウォッチは妖怪と人間を繋ぐもの。妖怪ウォッチが作られたと言う歴史が変えられ、ケータは妖怪ウォッチの製作者であり、自身の祖父であるケイゾウに会うため、60年前のさくら町へ飛んだのだ。
その際に出会ったのが白雪だったのだ。正確には、最初に出会ったのが白雪が派遣した刀剣男士である。
妖怪ウォッチが復活し、トキヲ・ウバウネがスベテ・ウバウネに変貌したとき、白雪が満を持して戦闘に参加。妖怪たちの尽力もあるが、白雪の鋭い観察眼から振る的確な采配もなかなかのものであった。
しかし、ケータが出会ったのは60年前だ。幼少期の白雪と別れたのも20年以上前の話である。半妖にもよるが、彼女は人間と同じスピードで年を取るので、今頃は既に大人になっているはずだ。つまり、今頃はきっと顔立ちも随分と大人びたものになっているだろう。
かなり無謀とも言える依頼に、ケータとイナホは顔を見合わせる。しかし、二人とも困った友人は放って置けないのか、快く依頼を快諾したのだった。
「……わかった。とりあえず、オレたちも手を貸すよ」
「ワタシも! こんな特徴的な見た目なら、すぐに見つかるはずですし!」
「ありがとう! わたしたちも妖魔界で情報提供を呼びかけてみるわ」
「情報提供はネットで呼びかけてみるダニ。きっと有力情報の一つや二つ持ってるやつが出てくるダニ!」
「それならもっと大々的にやっちゃいましょう! エンマ大王、妖魔界全域に御触れを出すことってできます?」
「任せろ!」
「そこまでやることズラ⁉︎」
妖魔界を統べる者としての権力やら地位やらをフル活用するつもり満々だ。エンマ大王は早速妖魔界に御触れを出し、翌日には公布されたのだった。
これですぐに見つかるだろう、と思われていたのだが、インターネットの掲示板もケータやイナホの元にも、一切情報が入っていなかったのだ。そして冒頭に戻り、今はさくら中央駅で情報提供を呼びかけている最中である。
「あまり考えたくはありませんが……。ここまで情報が入ってこないとなると、もしかしたらお亡くなりになっている可能性も否定できないでウィスね」
「いや、それはないと思うニャ。半妖と言えど、一度生を終えたのならば、一度は妖魔界にお戻りになられるはずニャ」
「例外的にデーモンオクレに魂を刈り取られるという事も考えられるが……。あいつに聞いてみたが『誰?』の一点張りだった」
「へぇー……」
犬まろと猫きよをじっと見つめるケータとイナホ。動きを止めるほどの二人の熱視線に、側近の妖怪2匹は思わずたじろいだ。
「な、何ニャ?」
「いや、猫きよはニャって言うけど犬まろはワンって言わないんだね」
「そこ気にするとこか⁉︎」
「それよりも働くニャ!」
「二人の言う通りダニ! まだ有力な情報の一つも入ってきてないんダニよ‼︎」
「そうズラ! もんげー冷酷無慈悲な、あのぬらりひょん議長の目に涙が浮かぶところが見たくねぇんズラ⁉︎」
コマさんが発したかなり辛辣な言葉と入れ違いに、USAピョンの持っていた妖怪パッドの着信音がけたたましく鳴った。
「何ズラ?」
「烏天狗から有力情報が入ったダニ!」
「出会ったのは白雪ちゃんじゃなくて、白雪さんの刀剣男士みたいね……」
「だが、有力情報に変わりはないぞ!」
「早速エンマさまのいらっしゃる離宮へ呼び出すニャ!」
猫きよに急かされ、ケータたちはうんがい鏡の力を借りてエンマ大王たちのいるエンマ離宮まで移動すると、早速妖怪ウォッチで烏天狗を呼び出した。彼の手には、いつも通りの錫杖と、妖怪パッドが握られている。
「ねぇ烏天狗、ぬらりひょんの娘さんの刀剣男士? に会ったんでしょ⁉︎ その時のことを話してよ!」
「僕が会ったのは彼女の従える刀剣男士だけど……。それでも良い?」
「それでも構わない! 知っていることがあったら何でも話してくれ!」
「えーと、僕のもとに来たのが、今剣と言う短刀なんだ。神通力をきちんと操れるよう、修行をつけて欲しいと」
前の主の奥州平泉までの旅により、今剣は神通力の力を身に付けたはいいものの、上手く操ることが出来なかった。彼は刀の付喪神といえども天狗。烏天狗の元で、神通力を思い通りに操れるようしばらく修行することになったのだ。
本来ならば、烏天狗の元で修行をせずとも扱えるようになる。だが、刀剣男士は審神者の力で顕現しており、どうやら彼の主人の力が強過ぎるあまり暴発してしまったのではないか、と烏天狗はみている。
「いや、まさか付喪神といえど一柱の神に、神通力の使い方を教えるとは思いもしなかったよ……」
「それにしても、どうして天狗なんだ? 刀の付喪神なんだろう」
「恐らく、前の主が天狗と関係のある源義経だったからと思われますね」
「……源義経?」
「誰ダニ?」
なるほど、と頷いたのはコマさん兄弟と犬まろ、ウィスパーだけで、子どもたちや海外出身のUSAピョンはあまりピンと来ていないようだ。
「千年前に活躍してた、もんげーお侍さんズラ!」
「幼少の頃に鞍馬寺に預けられた義経公は、昼は仏道修行、夜は天狗に兵法を授けられたと言う伝説があるのだ」
「さすがでございますニャ、ぬらりひょん様!」
「……妖魔界を統べる者の側近として、この程度の知識は持っていて欲しいのだがな」
「いやー、まさか牛若丸だけじゃなくてその刀剣にまで教えることになろうとは……。寺子屋で教師にでもなろうかな?」
さすがに妖魔界を統べる者とその側近として知っておくべきであろう。ぬらりひょんは猫まろへ侮蔑の目で見つめ、その視線に猫まろはたじろいだのだった。