妖怪大合戦 土蜘蛛VS大ガマ!
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定入力しせずに読んでも十分お楽しみいただけますが、
入力して頂くと、より小説をお楽しみいただけます!
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
草木も眠る丑三つ時。スイセンの本丸に在籍する刀剣男士が一振り、同田貫正国(極)。彼は不寝番で本丸の見回りを行っていた。
この本丸は一見平穏のように見えるが、時々悪霊などの厄介な存在が紛れ込む。また、敵勢力がいつ急襲してもおかしくはない。そのため、不寝番で見回りを行うのは重要な内番でもあった。
「……しっかし、こうも何もないと……。はーあ、暇だぜ」
問題が発生し、主人であるスイセンに何かあってはいけない。とはいえ、戦闘狂である同田貫は退屈で仕方ない。
自分は幽霊を斬った逸話はないが、化け物か何かが出てきてくれたら、思う存分に戦えるのに。
はぁ、と溜め息を零した。次の瞬間。
「何ッ⁉︎」
同田貫の身体が何もない空間へ引きずり込まれる。咄嗟に抜いた自分の本体を何かに突き刺そうにも、その頃には彼の眼前に全くの異空間が広がっていた。
「……どこだ、ここ。見たことねぇ景色だ……」
自分は、固有の持ち主の記憶がない。極める修業の際、数多の侍たちの元へ赴いたが、その全てと異なっていた。
このだだっ広い平原は、強いて言うのならば関ヶ原に少し似ている。そんな気がした。
「己の信念は、命を懸けて守り抜く! 勝利は我ら元祖軍のものだ‼︎」
「いいや、勝つのはオレたち! 本家軍だ‼︎」
(戦か⁉︎)
同田貫の瞳がキラキラと輝き、血が滾り、身体が疼く。だがここで戦闘に参加してしまっては、歴史に齟齬が生じ、主人の審神者が罰を受けるだろう。
同田貫は渋々、本当に渋々、指をくわえて元祖軍と本家軍の衝突を傍観することに決めた。
「男子たるもの、ブリーフを履くべし!」
「男ならトランクスを履け!」
「そこの刀の付喪神よ! どちらの勝ちか、決めるのはお主だ!」
「お前の判断に、この戦いの行方がかかっているんだ!」
「てめえらで戦えよ! それ以前にどうでも良いわッ‼︎」
思わずツッコミを入れてしまった。だが本当に内容がどうでも良い。それに争うなら血で血を洗う戦闘をやれ。それで決着をつけろ。
とどのつまり、同田貫の主張は「そんなしょうもない喧嘩に巻き込むな」である。
だが彼の主張は至極当然に黙殺され、どちらが優秀であるかという主張が始まったのである。
律義にきちんと最後までお互いの主張を聞いてから、同田貫はキレ散らかした。その勢いに、両軍の大将は思わず言葉を塞ぐ。
「だあああ! 本当にどうだって良いだろ、んな事ぁよお! 各々が好きなモン履きゃ良い話だろうが‼︎」
「……では実際、お前は何を履いているのだ?」
「煩え! 俺は褌派だ! 黒のな‼︎」
まさかの第三勢力の出現に、平釜平原に激震が走った。しかもまさかの褌である。
「まさか、今時褌を着用する男がいたとは……!」
「……俺の本丸の話だろうけどよ、大抵のヤツは褌だぜ。洋装はぼくさーぱんつ、ってヤツだな。そりゃブリーフ履く奴もいるしトランクス履く奴もいるが、かなりの少数派だぞ」
「何、だと……!」
愕然とする土蜘蛛に、信じられないと首を横に振る大ガマ。二人はショックのあまり、がっくりとうなだれ戦意を喪失した。
ブリーフVSトランクスの戦いは、第三・第四勢力の出現により、ある意味収束を迎えたのであった。
「……なあ、もう俺帰っていいか?」