妖怪紅白雛祭り!
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数多くのトラップを潜り抜け、菱餅ゾーンへ到達した二組。そこには妖怪紅白雛祭り名物・人食い菱餅と対峙しなければならない。
雄叫びを上げて襲ってくる菱餅に対し、スイセンは懐から数枚の護符を取り出すと、それを人食い菱餅の口内へ投げ入れた。そして人食い菱餅が呪符を飲み込むと。
「破ぁッ!」
呪符が人食い菱餅の体内で豪快に破裂し、ばらばらに散らばっていく。幸いもともと菱餅なのは変わらないので、分裂しても菱餅は菱餅のままだが、もしもこれが自分であったらと想像した観客たちは身震いした。
「……うわぁ」
「身体ん中で爆発させるとか、マジでえげつねえな……」
「初めて妖魔界に来たとき、妖怪をぶった切る刀の付喪神を何振りも連れてたって話だぜ」
「ヒェッ……」
「想像しただけでゾッとする話だな」
観客たちがスイセン=極度の戦闘狂と位置づける中、本人はたったっと進んでいく。
菱餅の次は右大臣・左大臣エリアだ。そこでは大ガマと土蜘蛛が右大臣と左大臣に扮して待機していた。
「よっ、久しぶりだな! 今回は俺と土蜘蛛が右大臣と左大臣だぜ!」
「吾輩が相手をするのは女郎蜘蛛の方だがな。……蜘蛛切は連れてきておらんだろうな?」
「お前それトラウマになってるよな……。それじゃ行くぜ!」
大ガマの自在に動く髪の攻撃から、舞うように躱していくスイセン。攻撃は掠ってすらいないが、大ガマは攻撃の手を緩めない。苛烈な攻防合戦の間に、赤組も右大臣・左大臣エリアに到達した。
「やったわ愛染くん、この調子で土蜘蛛も……」
「俺にゃ愛染明王がついてんだ!」
「ゲコぉッ⁉︎」
なんと、スイセンとは別のチームであった愛染国俊が、大ガマに強烈な一撃を炸裂させたのだ。急襲に対応できなかった大ガマは吹き飛ばされたものの、ゴーケツ族の大ガマはかなり頑丈な部類に入るのでダウンまではしていない。
「いやいやいや、おかしいじゃない!」
「俺は主さんの守り刀だ。例えチームが別になろうとも、それだけは絶対に変わらねえ! 大ガマも土蜘蛛も、オレが纏めて相手してやる! 今のうちに、主さんは先に行っててくれよ!」
「ゲコッ⁉︎ 待て待て、そんなのアリかよ⁉︎」
スイセンを背後に庇うように立つ愛染。気持ちは嬉しいが、これはセーフかアウトか判断のつきにくいスイセンは、司会者に助けを求めた。
「……これルール的にアウトなんとちゃいます?」
「セーフですね!」
「大丈夫、セーフセーフ! 前に左大臣役のキュウビと右大臣役のオロチを纏めて相手したことあったもの!」
司会者は親指を立てて祭りの続行を指示する。このまま相手を任せてしまっても良いのだが、敵前逃亡は審神者の名が廃る。
「でも、そんまま進むいうんもつまらんわあ。せや、愛染くんとうちで土蜘蛛退治しよか。源頼光ん時みたいに。ふふふ」
「ギャーーーーーーーーーーーーーーーッ‼︎」
「土蜘蛛ぉーーーーーーーーーーーッ!」
スイセンはにたりと笑みを浮かべ、猛禽類のような縦の瞳孔を土蜘蛛に向ける。その妖艶な流し目に、土蜘蛛は泡を吹いてノックダウンしてしまった。
「まぁ! 土蜘蛛さんがスイセンさんの一睨みでノックダウンされてしまいました!」
「まさに蛇に睨まれた蛙ね。蛙の妖怪は大ガマの方だけど」
「しかも愛染さんとスイセンさんはこのまま大ガマさんと戦う気満々ですよ!」
「その隙に女郎蜘蛛が先に進んでいくわよ! 今回の妖怪紅白雛祭りは、片時も目が離せないわ!」
右大臣・左大臣の次は、三人官女の段だ。三人官女役はろくろ首、えんらえんら、八百比丘尼であった。ここでは、先に着いたチームがちらし寿司を食べないと先へ進めないというトラップらしい。トラップと言えるかどうかは微妙だが。
「このままゴールまで突っ切るわよ! さ、あーん♡」
「嫌ですよアナタ毒物混入のスペシャリストじゃないですか!」
「失礼ね! アタシが混ぜるのは毒じゃなくて愛情とおっしゃい!」
「どっちにしろ毒じゃないですか‼︎」
「うっせぇわ! 良いからとっとと黙って食えやオラァ‼︎」
「モグァ⁉︎」
同じチームであったウィスパーの口を強引に開き、ケータがその中へちらし寿司を放り込み、飲み込むまでジバニャンが口を閉じさせる。ちゃっかり鼻の穴も塞いでおく徹底ぶりであった。
しかもそのちらし寿司はジョロキアやらハバネロやらが大量に混入している激辛ちらし。もちろん耐えられるはずもなく、ウィスパーが口から火炎を吹き出し、水を求めて空高く飛んでいく。限界が訪れたウィスパーは花火のように爆散した。
「わー花火みたーい」
「ケータ、めっちゃ棒読みニャンね……」
「さてさて、御内裏様は誰かしら?」
「おっと、勝った気になるのはまだ早いぜ? 祭りはまだまだ終わらねえよ!」
最女郎蜘蛛率いる赤組が最上段へ向かう最中、愛染とスイセンが追いかけてきたのだ。
血で血を洗う激戦を潜り抜けてきた彼らの事だ。力を合わせれば妖怪の一体二体など瞬殺であろう。現に大ガマはボロ雑巾になって倒れていた。