第19話
シレット水草を見つけたサトシは、早速それを手にしようとした。だが、オタマロの軍団が邪魔に入る。
慌てて躱すものの、ミジュマルと離れてしまった。目が開けられないミジュマルは状況が把握できず、ただ呑気にキョロキョロと首を動かすだけ。
サトシの指示も虚しく、オタマロたちの体当たりを次々に食らい、水の波動で混乱状態に陥ってしまう。次々と発射される水鉄砲を避けることはできたものの、泳ぎが覚束ない。
何とか混乱状態が解けたミジュマルはシェルブレードで反撃するも、目を瞑って闇雲に振り回すだけでは擦りもしない。
サトシの激励で少しだけ目を開けることができたが、オタマロの水鉄砲が直撃してしまう。止めと言わんばかりにバブル光線が放たれた。
「ミジュマル!」
サトシの声に応えるミジュマルは、シェルブレードでバブル光線を斬り裂いた。まさか攻撃が不発になるとは思わなかったオタマロは、ミジュマルが反撃に転じる間もなく、慌てて逃げ出した。
だが、このまま何もないと断言できない。オタマロたちは逃げ出したが、別のポケモンが再び襲ってくる可能性もあった。
一旦地上へ戻ろうとしたサトシたちを突如電撃が襲う。衝撃により、サトシとミジュマルは地上まで吹っ飛ばされた。
「大丈夫かい?」
「あぁ……。ミジュマルが助けてくれたんだけど、急に体が痺れて……」
サトシたちの身体を痺れさせた原因。それはマッギョだった。マッギョは水面まで浮上すると、嘲笑うかのように再び水面下へ戻った。
あのマッギョがいたのでは、水草を採集するのは相当難しいだろう。だがデントは愛用の折り畳み式の釣竿を取り出す。
「煌く水面を間に挟む……人とマッギョの真剣勝負ッ!」
「おぉ! なんか格好良いじゃないか!」
「格好つけてないで早く釣り上げてください! 主さまの容態が重症化しました!」
「何だって⁉︎」
「こんのすけ、お前どうしてここに⁉︎」
「貴方たちがあまりにも遅いから、心配になって来たんですよ‼︎ 一刻を争う事態だというのにもう‼︎」
心配になり、後を追いかけて来たこんのすけ。彼に急かされ、デントは釣り餌を揺蕩う水面へ投げた。彼の釣りの腕前は良い方らしく、すぐにマッギョを釣り上げることができたのだ。
だが、喜ぶのも束の間。ガマガルが敵意を露わにして、蓮の葉の上へ飛び乗る。そして、いきなりサトシたちへマッドショットを繰り出したのだ。マッギョも彼の指示に従い、同じくマッドショットをぶつける。
咄嗟にこんのすけが結界を張ったことで事なきを得たが、このままではもうしばらく時間がかかりそうだ。
「同盟でも結んでいるのでしょうか……。サトシさまはガマガルの方をお願いします。僕たちはマッギョを何とかしますので!」
「オッケー! 任せろ!」
実はこんのすけは彼女と一緒にこの世界へやってきた存在で、ポケモンではない。攻撃が当たれば一溜まりもないだろう。ところが、主人が苦しんでいるのだ。わがままを言っていられないと、彼自身も重々承知していた。
「こんのすけ、鬼火だ!」
「わかりました! さっきのやつですね!」
こんのすけが妖力で狐火を作り出し、マッギョへ攻撃する。マッドショットで相殺されたものの、釣り針が引っかかった状態では複数の泥は生成できない。誘導効果もあるのだろうか、焔はマッギョへ直撃した。
「よし、火傷状態になったぞ! 僕のボールとマリアージュ‼」
「何ですかそれ」
デントが投げたボールは見事な放物線を描き、マッギョへ直撃し、こんのすけはチベットスナギツネのように冷ややかな目でデントを見る。
うにうにとボールは三回動き、かちりとゲット完了の音が鳴った。
一方ミジュマルは水鉄砲を発射するも、ハイドロポンプで迎撃される。威力が桁違いのその水流は、ミジュマルの放ったそれをも呑みこみ押し流す。反撃しようとホタチを手に取りシェルブレードを繰り出すも、攻撃する前に超音波で防がれてしまった。
このままでは戦況が不利だ。敗戦を喫してしまう。瀕死になってしまっては、水草も取りにいけない。
そう判断したこんのすけは自身の妖力で、青白い火の玉を放って援護した。ガマガルはマッドショットで相殺したものの、見たところ威力もかなり高そうだ。
「今のは鬼火か⁉︎」
「サンキューこんのすけ、助かったぜ!」
「この調子だと敗走しそうでしたからね! ほら、もたもたしてないでさっさと反撃に転じてくださいよ!」
妖狐から援護射撃が放たれるとは思っていたなかったガマガルは、標的をそちらへ変更する。
その隙にミジュマルはアクアジェットを繰り出すが、彼の目蓋はあろうことか、硬く閉ざされたままであった。そのせいで軌道が外れ、あらぬ方向へ向かっていく。
このまま進むと、ガマガルの放ったマッドショットが直撃してしまう。
「目を開けろミジュマル! 池の中では、目を開けてシェルブレードができたじゃないか‼︎ 思い出すんだ、お前ならきっとやれる!」
サトシの言葉が、あの時の感覚を思い出させる。彼の言葉に呼応するように、ミジュマルは覚醒した。
目を開けたミジュマルは次々とマッドショットを避けていく。勢いづいたミジュマルの突撃は、ガマガルを倒すには十分の威力だった。
デントとサトシはそれぞれモンスターボールを投げる。数回動くと、ゲットが完了が告げられた。
サトシのボールはひとりでに小さくなり、ボタンが赤く光ったまま反応しなくなる。手持ちの数が七体を越したからだ。
これで水草を採集できる。水中でも目を開けられるようになったミジュマルは、サトシがついていなくても問題ない。悠々と泳いでシレット水草を採取した。
それを持ってアイリスの元へ戻ると、早速彼女が水草を煎じてサニワへ飲ませた。既にサニワの意識はほとんど失いかけていたが、口元へ近づけると、少しずつ嚥下する。
「……これで大丈夫。しばらくすれば毒も身体から抜けて、サニワの意識も戻るはずよ!」
「それにしても、タマゲタケの毒胞子でここまで重症化するなんて……」
「元々主さまは病弱な方ですし、何より異世界の人間です。この世界の生物が持っている抗体が、主さまの身体に備わっていないのでしょうね……」
「でも、これで解毒されるわ! きっとすぐに良くなるから、安心して」
アイリスの言葉通り、それからしばらくしてサニワの目はゆっくりと開かれ、上体を起こした。
途端にこんのすけが懐へダイブするが、受け止め切れるはずもなく、後ろへ倒れ込みそうになったところをデントが支える。
「主さま……!」
「サニワ、大丈夫かい?」
「……何とか」
「治療薬となる水草を、ミジュマルさまが取りに向かってくださったのですよ!」
「そう……ミジュマル、いっぱい、頑張った。……ありがとう」
手が震えながらも、頑張ってミジュマルを労わろうとするサニワ。
そんな彼女に心酔しているミジュマルは、あわよくば頭を撫でてもらおうと擦り寄る。普段は彼女のポケモンたちによる屈強なガードが崩せないからだ。
だが、そのミジュマルの淡い期待は打ち砕かれることになる。良い意味で。
「ちゅっ」
「ミ゚」
「ミジュマルーーーーーーーーーーーーーー‼︎」
ミジュマルの額に舞い降りたのは、柔らかな感触。そっと触れるかのような、まるで映画のように繊細で美しいキスだった。
だがそれでもミジュマルには刺激が強過ぎたらしく、オーバーヒートを起こしてぶっ倒れた。そんな彼の顔面はオクタンの如き赤色に染まっていた。
慌てて躱すものの、ミジュマルと離れてしまった。目が開けられないミジュマルは状況が把握できず、ただ呑気にキョロキョロと首を動かすだけ。
サトシの指示も虚しく、オタマロたちの体当たりを次々に食らい、水の波動で混乱状態に陥ってしまう。次々と発射される水鉄砲を避けることはできたものの、泳ぎが覚束ない。
何とか混乱状態が解けたミジュマルはシェルブレードで反撃するも、目を瞑って闇雲に振り回すだけでは擦りもしない。
サトシの激励で少しだけ目を開けることができたが、オタマロの水鉄砲が直撃してしまう。止めと言わんばかりにバブル光線が放たれた。
「ミジュマル!」
サトシの声に応えるミジュマルは、シェルブレードでバブル光線を斬り裂いた。まさか攻撃が不発になるとは思わなかったオタマロは、ミジュマルが反撃に転じる間もなく、慌てて逃げ出した。
だが、このまま何もないと断言できない。オタマロたちは逃げ出したが、別のポケモンが再び襲ってくる可能性もあった。
一旦地上へ戻ろうとしたサトシたちを突如電撃が襲う。衝撃により、サトシとミジュマルは地上まで吹っ飛ばされた。
「大丈夫かい?」
「あぁ……。ミジュマルが助けてくれたんだけど、急に体が痺れて……」
サトシたちの身体を痺れさせた原因。それはマッギョだった。マッギョは水面まで浮上すると、嘲笑うかのように再び水面下へ戻った。
あのマッギョがいたのでは、水草を採集するのは相当難しいだろう。だがデントは愛用の折り畳み式の釣竿を取り出す。
「煌く水面を間に挟む……人とマッギョの真剣勝負ッ!」
「おぉ! なんか格好良いじゃないか!」
「格好つけてないで早く釣り上げてください! 主さまの容態が重症化しました!」
「何だって⁉︎」
「こんのすけ、お前どうしてここに⁉︎」
「貴方たちがあまりにも遅いから、心配になって来たんですよ‼︎ 一刻を争う事態だというのにもう‼︎」
心配になり、後を追いかけて来たこんのすけ。彼に急かされ、デントは釣り餌を揺蕩う水面へ投げた。彼の釣りの腕前は良い方らしく、すぐにマッギョを釣り上げることができたのだ。
だが、喜ぶのも束の間。ガマガルが敵意を露わにして、蓮の葉の上へ飛び乗る。そして、いきなりサトシたちへマッドショットを繰り出したのだ。マッギョも彼の指示に従い、同じくマッドショットをぶつける。
咄嗟にこんのすけが結界を張ったことで事なきを得たが、このままではもうしばらく時間がかかりそうだ。
「同盟でも結んでいるのでしょうか……。サトシさまはガマガルの方をお願いします。僕たちはマッギョを何とかしますので!」
「オッケー! 任せろ!」
実はこんのすけは彼女と一緒にこの世界へやってきた存在で、ポケモンではない。攻撃が当たれば一溜まりもないだろう。ところが、主人が苦しんでいるのだ。わがままを言っていられないと、彼自身も重々承知していた。
「こんのすけ、鬼火だ!」
「わかりました! さっきのやつですね!」
こんのすけが妖力で狐火を作り出し、マッギョへ攻撃する。マッドショットで相殺されたものの、釣り針が引っかかった状態では複数の泥は生成できない。誘導効果もあるのだろうか、焔はマッギョへ直撃した。
「よし、火傷状態になったぞ! 僕のボールとマリアージュ‼」
「何ですかそれ」
デントが投げたボールは見事な放物線を描き、マッギョへ直撃し、こんのすけはチベットスナギツネのように冷ややかな目でデントを見る。
うにうにとボールは三回動き、かちりとゲット完了の音が鳴った。
一方ミジュマルは水鉄砲を発射するも、ハイドロポンプで迎撃される。威力が桁違いのその水流は、ミジュマルの放ったそれをも呑みこみ押し流す。反撃しようとホタチを手に取りシェルブレードを繰り出すも、攻撃する前に超音波で防がれてしまった。
このままでは戦況が不利だ。敗戦を喫してしまう。瀕死になってしまっては、水草も取りにいけない。
そう判断したこんのすけは自身の妖力で、青白い火の玉を放って援護した。ガマガルはマッドショットで相殺したものの、見たところ威力もかなり高そうだ。
「今のは鬼火か⁉︎」
「サンキューこんのすけ、助かったぜ!」
「この調子だと敗走しそうでしたからね! ほら、もたもたしてないでさっさと反撃に転じてくださいよ!」
妖狐から援護射撃が放たれるとは思っていたなかったガマガルは、標的をそちらへ変更する。
その隙にミジュマルはアクアジェットを繰り出すが、彼の目蓋はあろうことか、硬く閉ざされたままであった。そのせいで軌道が外れ、あらぬ方向へ向かっていく。
このまま進むと、ガマガルの放ったマッドショットが直撃してしまう。
「目を開けろミジュマル! 池の中では、目を開けてシェルブレードができたじゃないか‼︎ 思い出すんだ、お前ならきっとやれる!」
サトシの言葉が、あの時の感覚を思い出させる。彼の言葉に呼応するように、ミジュマルは覚醒した。
目を開けたミジュマルは次々とマッドショットを避けていく。勢いづいたミジュマルの突撃は、ガマガルを倒すには十分の威力だった。
デントとサトシはそれぞれモンスターボールを投げる。数回動くと、ゲットが完了が告げられた。
サトシのボールはひとりでに小さくなり、ボタンが赤く光ったまま反応しなくなる。手持ちの数が七体を越したからだ。
これで水草を採集できる。水中でも目を開けられるようになったミジュマルは、サトシがついていなくても問題ない。悠々と泳いでシレット水草を採取した。
それを持ってアイリスの元へ戻ると、早速彼女が水草を煎じてサニワへ飲ませた。既にサニワの意識はほとんど失いかけていたが、口元へ近づけると、少しずつ嚥下する。
「……これで大丈夫。しばらくすれば毒も身体から抜けて、サニワの意識も戻るはずよ!」
「それにしても、タマゲタケの毒胞子でここまで重症化するなんて……」
「元々主さまは病弱な方ですし、何より異世界の人間です。この世界の生物が持っている抗体が、主さまの身体に備わっていないのでしょうね……」
「でも、これで解毒されるわ! きっとすぐに良くなるから、安心して」
アイリスの言葉通り、それからしばらくしてサニワの目はゆっくりと開かれ、上体を起こした。
途端にこんのすけが懐へダイブするが、受け止め切れるはずもなく、後ろへ倒れ込みそうになったところをデントが支える。
「主さま……!」
「サニワ、大丈夫かい?」
「……何とか」
「治療薬となる水草を、ミジュマルさまが取りに向かってくださったのですよ!」
「そう……ミジュマル、いっぱい、頑張った。……ありがとう」
手が震えながらも、頑張ってミジュマルを労わろうとするサニワ。
そんな彼女に心酔しているミジュマルは、あわよくば頭を撫でてもらおうと擦り寄る。普段は彼女のポケモンたちによる屈強なガードが崩せないからだ。
だが、そのミジュマルの淡い期待は打ち砕かれることになる。良い意味で。
「ちゅっ」
「ミ゚」
「ミジュマルーーーーーーーーーーーーーー‼︎」
ミジュマルの額に舞い降りたのは、柔らかな感触。そっと触れるかのような、まるで映画のように繊細で美しいキスだった。
だがそれでもミジュマルには刺激が強過ぎたらしく、オーバーヒートを起こしてぶっ倒れた。そんな彼の顔面はオクタンの如き赤色に染まっていた。