第17話
ライモンシティまでの道中、開けた場所でキバゴとズルッグがバトルの練習を行なっていた。軍配はキバゴに上がり、ズルッグは仰向けで地面に倒れ込む。そんな彼の顔を覗き込んだのは、一体のポケモンだった。
「何だ? このポケモン」
「……モンメン。……綿飴、みたい。……かわいい」
サトシはポケモン図鑑を翳すと、モンメンの説明が流れ出す。その説明と同じように、威嚇するズルッグにもこもこの綿を放出して注意を逸らしていた。
だがデントによると、イッシュ地方ではこの時期、一匹だけで行動するのは珍しいらしい。その群れの中で、沢山の番が誕生するのだと。
「……お見合い?」
「うーん……。ま、そんなもんかな」
「ロマンチックですねえ。離婚率は知りませんが」
こてん、と小首を傾げるサニワにデントが答え、こんのすけがロマンチックな雰囲気をぶち壊す。
そんな中、アイリスは気にすることなく林檎を齧り、デントは苦笑いを零す。そしてサトシはキョトンとしていた。
「なぁなぁ、カップルって気の合う友達のことだろ?」
「本当、サトシってば子どもねぇ。ね、サニワ!」
「……」
サトシは恋愛感情云々を理解していないらしい。アイリスはサニワに同意を求めるも、すぐに目を逸らされた。
そんな中、ズルッグが興奮気味に指をさす先には、もう一体モンメンがふわふわと漂っていた。しかも通常色ではなく、橙色がかった体色をしている色違い。通常色のモンメンの反応を見る限り、彼はあのモンメンを追ってきたらしい。
「って事は……!」
「イッツ! 告白ターイム‼︎」
「「きゃー‼︎」」
デントとアイリス、そしてこんのすけが騒ぎ立てる。管狐の尻尾は興奮したせいでぶんぶんと左右に振り回されており、自身の主人の顔にべちべちと直撃しているが、尻尾の持ち主は全く気付いていない。
だが一方で、何もわかっていないサトシは頭上に疑問符を浮かべており、サニワはただ眉の一つも動かさず、口も一文字に結ばれている。全くの無表情だ。感情が読めない。
「さぁ、自分の気持ちを素直に伝えるんだ!」
「押しよ押し! 恋ってのはね、強気が一番なんだから!」
「……物を食べながら恋について語るのはどうか思いますけど」
チベットスナギツネのような冷ややかな目で、アイリスを見るこんのすけ。だが彼女は空腹を主張しつつ再び林檎に齧り付いた。
行っておいで、とサニワに背中を押されたモンメンは、早速意中の相手に向かっていく。だがいきなり痺れ粉を浴び、葉っぱカッターで攻撃され、さらにエナジーボールで追撃された。反撃しようとモンメンは葉っぱカッターを放つも、明後日の方向へ向かって飛んでいく。エナジーボールも擦りもしない。
戦況は圧倒的に雌のモンメンの優勢である。最後はエナジーボールを食らい、呆気なくバトルは終了したのだった。
滝の涙を流すモンメンに、サニワが迅速な治療を施していく。そんなモンメンに、アイリスは新たな林檎を齧りながらアドバイスを送っていた。
「うーん……。カップルになるには、ある程度バトルが強くなきゃ駄目なんだろうなぁ」
「それなら、特訓するっきゃないぜ!」
「では主さまにお任せください! 伊達に軍大学を主席で卒業されてませんからね!」
白羽の矢が立てられたのはサニワだ。確かに彼女自身も(相手が異なるとは言えど)戦闘経験も豊富である。その上何かと教え方も上手だ。教官には打ってつけの人材であった。
壊滅的にこの世界の言語能力は低いのが玉に瑕だが、そこはこんのすけの通訳で何とかなるだろう。
最初はズルッグとの戦闘だ。レベルが最も低いズルッグから始め、徐々にレベルの高いポケモンと相手をしていけば、きっと意中のモンメンも振り向いてくれるはず。
ズルッグは睨み付けるでモンメンを威嚇する。それに怯えたモンメンは慌ててサニワの後ろに隠れた。
「逃げてはなりません。恐ろしいからと敵に背を向ければ、相手の格好の餌食ですよ!」
「めえぇん……」
モンメンを抱き上げ、バトルフィールドへ送り出す。すぐさまズルッグは頭突きを繰り出したが、大量の綿を出して盾を作りガードした。
どうやら、この子は防御はできるらしい。しかしながら、あの時は綿を生み出す間もなく攻撃されたので、盾を構築するまでタイムラグがあるようだ。
「主さまは、最初は攻撃の回避を覚えるべきだと考えているようですね。相手が攻撃した時、その軌道を注視してください。闇雲に逃げ回るだけでは、行動を推測されて格好の的になるだけだと、主さまは言っております」
「めんめん」
「……当たる前に、身体、ずらす」
「めん!」
指導を受けるモンメンは凛々しい顔つきだ。彼は飲み込みが早いらしく、回避するタイミングを教えれば、すぐにできていた。感覚さえ掴めば、持ち前の機動で舞うように躱していく。
「何だ? このポケモン」
「……モンメン。……綿飴、みたい。……かわいい」
サトシはポケモン図鑑を翳すと、モンメンの説明が流れ出す。その説明と同じように、威嚇するズルッグにもこもこの綿を放出して注意を逸らしていた。
だがデントによると、イッシュ地方ではこの時期、一匹だけで行動するのは珍しいらしい。その群れの中で、沢山の番が誕生するのだと。
「……お見合い?」
「うーん……。ま、そんなもんかな」
「ロマンチックですねえ。離婚率は知りませんが」
こてん、と小首を傾げるサニワにデントが答え、こんのすけがロマンチックな雰囲気をぶち壊す。
そんな中、アイリスは気にすることなく林檎を齧り、デントは苦笑いを零す。そしてサトシはキョトンとしていた。
「なぁなぁ、カップルって気の合う友達のことだろ?」
「本当、サトシってば子どもねぇ。ね、サニワ!」
「……」
サトシは恋愛感情云々を理解していないらしい。アイリスはサニワに同意を求めるも、すぐに目を逸らされた。
そんな中、ズルッグが興奮気味に指をさす先には、もう一体モンメンがふわふわと漂っていた。しかも通常色ではなく、橙色がかった体色をしている色違い。通常色のモンメンの反応を見る限り、彼はあのモンメンを追ってきたらしい。
「って事は……!」
「イッツ! 告白ターイム‼︎」
「「きゃー‼︎」」
デントとアイリス、そしてこんのすけが騒ぎ立てる。管狐の尻尾は興奮したせいでぶんぶんと左右に振り回されており、自身の主人の顔にべちべちと直撃しているが、尻尾の持ち主は全く気付いていない。
だが一方で、何もわかっていないサトシは頭上に疑問符を浮かべており、サニワはただ眉の一つも動かさず、口も一文字に結ばれている。全くの無表情だ。感情が読めない。
「さぁ、自分の気持ちを素直に伝えるんだ!」
「押しよ押し! 恋ってのはね、強気が一番なんだから!」
「……物を食べながら恋について語るのはどうか思いますけど」
チベットスナギツネのような冷ややかな目で、アイリスを見るこんのすけ。だが彼女は空腹を主張しつつ再び林檎に齧り付いた。
行っておいで、とサニワに背中を押されたモンメンは、早速意中の相手に向かっていく。だがいきなり痺れ粉を浴び、葉っぱカッターで攻撃され、さらにエナジーボールで追撃された。反撃しようとモンメンは葉っぱカッターを放つも、明後日の方向へ向かって飛んでいく。エナジーボールも擦りもしない。
戦況は圧倒的に雌のモンメンの優勢である。最後はエナジーボールを食らい、呆気なくバトルは終了したのだった。
滝の涙を流すモンメンに、サニワが迅速な治療を施していく。そんなモンメンに、アイリスは新たな林檎を齧りながらアドバイスを送っていた。
「うーん……。カップルになるには、ある程度バトルが強くなきゃ駄目なんだろうなぁ」
「それなら、特訓するっきゃないぜ!」
「では主さまにお任せください! 伊達に軍大学を主席で卒業されてませんからね!」
白羽の矢が立てられたのはサニワだ。確かに彼女自身も(相手が異なるとは言えど)戦闘経験も豊富である。その上何かと教え方も上手だ。教官には打ってつけの人材であった。
壊滅的にこの世界の言語能力は低いのが玉に瑕だが、そこはこんのすけの通訳で何とかなるだろう。
最初はズルッグとの戦闘だ。レベルが最も低いズルッグから始め、徐々にレベルの高いポケモンと相手をしていけば、きっと意中のモンメンも振り向いてくれるはず。
ズルッグは睨み付けるでモンメンを威嚇する。それに怯えたモンメンは慌ててサニワの後ろに隠れた。
「逃げてはなりません。恐ろしいからと敵に背を向ければ、相手の格好の餌食ですよ!」
「めえぇん……」
モンメンを抱き上げ、バトルフィールドへ送り出す。すぐさまズルッグは頭突きを繰り出したが、大量の綿を出して盾を作りガードした。
どうやら、この子は防御はできるらしい。しかしながら、あの時は綿を生み出す間もなく攻撃されたので、盾を構築するまでタイムラグがあるようだ。
「主さまは、最初は攻撃の回避を覚えるべきだと考えているようですね。相手が攻撃した時、その軌道を注視してください。闇雲に逃げ回るだけでは、行動を推測されて格好の的になるだけだと、主さまは言っております」
「めんめん」
「……当たる前に、身体、ずらす」
「めん!」
指導を受けるモンメンは凛々しい顔つきだ。彼は飲み込みが早いらしく、回避するタイミングを教えれば、すぐにできていた。感覚さえ掴めば、持ち前の機動で舞うように躱していく。