第16話
だが、サニワが呑気に神通力を注いでいたのが仇となったらしい。ヒトモシ四体に加え、更に彼らの背後には進化系のランプラーの姿もあった。
彼らは煉獄で出入り口を攻撃すると、紫色の光を纏った穴が出現したのだ。
「まさか、ポケモン図鑑で言ってた……」
「霊界の入り口か⁉︎」
「確かに『源義経 』の『辞世の句』には、『紫の雲』と書かれております。その可能性は高いでしょうね。穏便にお引き取り頂きたいところですが……」
「ミナモトノヨシツネ? ジセノク? 何だそれ」
「ていうか呑気に解説してる場合じゃないでしょー!」
確かにアイリスのツッコミ通り、ヒトモシたちはシャドーボールと煉獄で穴を拡げ、遂には四方を霊界の入り口に囲まれてしまったのだ。
「これは……!」
『どうやら、敵軍を壊滅せねばならんようだ。なるべく戦闘は避けたいところだが……平和を愛する私の忠告は受け入れられないらしい』
サニワは淡々と元の世界の言葉を紡ぐと、爛々と目を輝かせる。まるで、張るか上空から獲物を捕 えんとするウォーグルのそれだった。
サニワが一つのボールを放り投げると、中から出てきたのはバンギラスだ。続けてサトシがミジュマル、デントがイシズマイを繰り出すと、それぞれ水鉄砲とシザークロスを炸裂させる。
ところが守るで防がれ、シザークロスも躱されてしまった。ムサシのコロモリもエアスラッシュを、コジロウのデスマスもシャドーボールで攻撃するも、これも難なく避けられた。
ヒトモシたちはコロモリとデスマスをサイコキネシスで動きを封じると、それぞれトレーナーにぶつけた。
いくら精気を取り戻したと言えど、勢いづいていたポケモンを受け止められるはずもない。ギリギリのところで床に手をついて持ち堪えたものの、おそらく時間の問題だろう。霊界に吸い込まれそうな彼らを一瞥したサニワは、こんのすけに一声かける。すると、すぐに吸引力が弱まった。
「す、吸い込まれ……あれ?」
「ご心配なく。ここは主さまにお任せください」
「……待ってて。じっと」
有無を言わせないその瞳。それがヒトモシたちに向けられると、たちまちヒトモシたちは震え上がる。だが、それは一瞬だけだった。
ヒトモシたちは煉獄でバンギラスを攻撃するも、ストーンエッジで防がれる。連続でシャドーボールを放つも、突き出た岩石はびくともしない。
ヒトモシたちが防壁の破壊に気を取られているその隙に、バンギラスは神秘的に舞い踊る。ランプラーたちが何度か攻撃をすると岩は粉砕されたが、その頃にはもう手遅れであった。
「地震」
まるで死刑宣告するかのように、冷酷に、技の名前が告げられる。指示を受けたバンギラスは、煉瓦の床を震わせた。強烈なバンギラスのその一撃は、ランプラーたちを纏めて霊界へ吹き飛ばす。
すると、煉瓦の壁がひとりでに修復されていき、いつの間にか元の部屋へと戻っていた。
こんな危険な場所にはいられない。すぐさま屋敷から飛び出すと、雨はもう上がっていた。振り返ると、そこに佇んでいたのは豪華絢爛な洋館ではなく、寂れた屋敷。ヒトモシたちが幻覚を視せていたのだ。
「入った時から変な感じだったものね……」
「……わたし、ちゃんと、警告、した」
「そうですねー、あんなに服を引っ張ってまで、屋敷の中に入るのを抵抗してましたもんねー」
呆れたようにこんのすけは溜め息を吐く。すると上空からロケット団の声が聞こえ、そちらの方向へ視線を移す。そこには、いつの間に準備したのだろうか。ジェット機を背負った彼らが屋上に移動していた。
「次に会った時は、こうはいかないわよ!」
「ピカチュウは必ず頂くぜ!」
「彼らは悪の組織に所属する人間だったのですか⁉︎」
「そうだよ! 人のポケモンを盗んだりする、悪い奴らなんだぜ!」
そんな悪人には見えなかったのに。こんのすけが驚いてロケット団の方へ再び見遣ると、彼らは既に飛び去った後だった。
だが逃げたものは仕方ない。洋館から立ち去ろうとすると、再びゲリラ豪雨に見舞われた。慌てて洋館を後にして、サトシたちは次の雨宿り先を探すのだった。
彼らは煉獄で出入り口を攻撃すると、紫色の光を纏った穴が出現したのだ。
「まさか、ポケモン図鑑で言ってた……」
「霊界の入り口か⁉︎」
「確かに『
「ミナモトノヨシツネ? ジセノク? 何だそれ」
「ていうか呑気に解説してる場合じゃないでしょー!」
確かにアイリスのツッコミ通り、ヒトモシたちはシャドーボールと煉獄で穴を拡げ、遂には四方を霊界の入り口に囲まれてしまったのだ。
「これは……!」
『どうやら、敵軍を壊滅せねばならんようだ。なるべく戦闘は避けたいところだが……平和を愛する私の忠告は受け入れられないらしい』
サニワは淡々と元の世界の言葉を紡ぐと、爛々と目を輝かせる。まるで、張るか上空から獲物を
サニワが一つのボールを放り投げると、中から出てきたのはバンギラスだ。続けてサトシがミジュマル、デントがイシズマイを繰り出すと、それぞれ水鉄砲とシザークロスを炸裂させる。
ところが守るで防がれ、シザークロスも躱されてしまった。ムサシのコロモリもエアスラッシュを、コジロウのデスマスもシャドーボールで攻撃するも、これも難なく避けられた。
ヒトモシたちはコロモリとデスマスをサイコキネシスで動きを封じると、それぞれトレーナーにぶつけた。
いくら精気を取り戻したと言えど、勢いづいていたポケモンを受け止められるはずもない。ギリギリのところで床に手をついて持ち堪えたものの、おそらく時間の問題だろう。霊界に吸い込まれそうな彼らを一瞥したサニワは、こんのすけに一声かける。すると、すぐに吸引力が弱まった。
「す、吸い込まれ……あれ?」
「ご心配なく。ここは主さまにお任せください」
「……待ってて。じっと」
有無を言わせないその瞳。それがヒトモシたちに向けられると、たちまちヒトモシたちは震え上がる。だが、それは一瞬だけだった。
ヒトモシたちは煉獄でバンギラスを攻撃するも、ストーンエッジで防がれる。連続でシャドーボールを放つも、突き出た岩石はびくともしない。
ヒトモシたちが防壁の破壊に気を取られているその隙に、バンギラスは神秘的に舞い踊る。ランプラーたちが何度か攻撃をすると岩は粉砕されたが、その頃にはもう手遅れであった。
「地震」
まるで死刑宣告するかのように、冷酷に、技の名前が告げられる。指示を受けたバンギラスは、煉瓦の床を震わせた。強烈なバンギラスのその一撃は、ランプラーたちを纏めて霊界へ吹き飛ばす。
すると、煉瓦の壁がひとりでに修復されていき、いつの間にか元の部屋へと戻っていた。
こんな危険な場所にはいられない。すぐさま屋敷から飛び出すと、雨はもう上がっていた。振り返ると、そこに佇んでいたのは豪華絢爛な洋館ではなく、寂れた屋敷。ヒトモシたちが幻覚を視せていたのだ。
「入った時から変な感じだったものね……」
「……わたし、ちゃんと、警告、した」
「そうですねー、あんなに服を引っ張ってまで、屋敷の中に入るのを抵抗してましたもんねー」
呆れたようにこんのすけは溜め息を吐く。すると上空からロケット団の声が聞こえ、そちらの方向へ視線を移す。そこには、いつの間に準備したのだろうか。ジェット機を背負った彼らが屋上に移動していた。
「次に会った時は、こうはいかないわよ!」
「ピカチュウは必ず頂くぜ!」
「彼らは悪の組織に所属する人間だったのですか⁉︎」
「そうだよ! 人のポケモンを盗んだりする、悪い奴らなんだぜ!」
そんな悪人には見えなかったのに。こんのすけが驚いてロケット団の方へ再び見遣ると、彼らは既に飛び去った後だった。
だが逃げたものは仕方ない。洋館から立ち去ろうとすると、再びゲリラ豪雨に見舞われた。慌てて洋館を後にして、サトシたちは次の雨宿り先を探すのだった。