第15話
サトシたち一向は数日前から、カノコタウン出身のトレーナー・ベルと共に旅を続けていた。
彼女は非常にマイペースな性格で、サニワはガラルチャンピオンと知った途端サインをねだったり、いきなりハグをしたり。「思ってたよりもちっちゃ〜い! お人形さんみたいで可愛い〜!」と抱きしめた途端、キュウコンの祟りがベルへ炸裂したのは言うまでもない。
祟りといっても、大事な書類を最後で書き損じるだの、お気に入りの服の袖が千切れるだの、往復で切符を無くすだのしょうもない不幸ばかりなのだが。
そんな最中、エモンガがアイリスの手持ちに加わった。結構一癖も二癖もある性格のようだが、昨日出会ったばかりのアイリスたちにはわかるはずもない。
反対に、数日間暮らしてわかったことだが、サニワのバンギラスは元子持ちと言うこともあってか、非常に母性溢れる性格であった。
平均よりも小さな体躯の主人に自分の食事を与えようとするのはよくあることで、主人の頭を愛おしげに撫でたり、添い寝しようとするのだ。流石に小さなテントに添い寝は難しいので丁重にお断りしたが、大体のことはサニワも好き勝手させている。
現に今も、バトルを観戦しているサニワの横に座り、アイリスから預かったキバゴを自身の膝の上に座らせていた。
なぜアイリスからキバゴを預かったかと言うと、彼女のエモンガとバトルをしたいと、サトシとベルが申し立てたからだ。しばらくどちらが先にバトルするかで揉めていたが、先にベルがバトルするらしい。
最初に攻撃を仕掛けたのはアイリスの方だ。手始めに目覚めるパワーを繰り出し、チャオブーを攻撃する。新緑を思わせるような鮮やかな萌黄色の球体がチャオブーに直撃したが、あまり効いていないようだ。
チャオブーがヒートスタンプで反撃を仕掛けるも、攻撃が当たる前にメロメロが放たれた。上手く攻撃を防いだアイリスはガッツポーズを決める。
「アイリスさまもなかなか上手く戦わせますねえ、主さま」
「もちろん! サニワもちゃんと見ててよ!」
「あ、アイリスずるい! サニワちゃんも私の応援してよぉ!」
「……二人とも、頑張れー」
再び動作を封じようと、アイリスはメロメロの指示を出す。ところが、ベルのチラーミィもメロメロを覚えていたのだ。彼女のチラーミィは♂のようで、互いに薄紅のハートが宙を舞い、ぶつかり合って効果を消し去った。
まるでホウエン地方やシンオウ地方で行われているポケモンコンテストのバトルのようで、サニワはその華麗なる戦いに目を奪われている。
今度はベルのチラーミィが擽るを繰り出した。長い毛はさぞこそばゆいことだろう。エモンガは身体を捻って抵抗するも、全く意味がない。
翻弄された戦況を打破するため、アイリスは目覚めるパワーの指示を出した。はずだった。
エモンガは電撃を放ったかと思うと、後方へ後退していく。そしてひとりでにドリュウズがボールから飛び出した。ただ通常の状態ではなく、地中にいる時の状態であった。サトシ曰く、ドリュウズは彼女に心を開いておらず、地上にいる時でもこの状態なのだという。
「え⁉︎」
「今の技は……」
「ボルトチェンジです。相手を攻撃しつつ、控えのポケモンと交代する電気技です。……ただ、普通はボールへ戻るはずですが、彼女の場合は少々仕様が異なるようですね」
「……それにしても。……アイリス、ドリュウズ、持ってた? いつから?」
「サニワと出会う前からだよ」
こんのすけが主人の代わりにボルトチェンジの解説をする傍ら、エモンガはケタケタと笑っていた。対するはアイリスは眉を八の字にしてドリュウズをボールへ戻す。
そしてちゃんとアタシの指示に従うようにエモンガへ注意すると、その大きな瞳がうるうると潤む。だがサニワは気づいていた。その涙が嘘泣きであることを。
バトルにやる気を見せていないエモンガであったが、アイリスは気にせずバトルを再開させる。今度はチラーミィがハイパーボイスを仕掛けた。
それに対してアイリスは、エモンガに目覚めるパワーで迎撃する指示を出す。しかしながら、やはりエモンガはアイリスの指示を聞かずに再びボルトチェンジを繰り出した。
ボールから出たのはアイリスのポケモンではなく、サニワのモスノウである。いきなりボールから放り出され、防御体勢を取る時間もなく音波が彼女を襲う。
それに憤ったモスノウは虫のさざめきをチラーミィへ向かって炸裂させた。繰り出された音波はチラーミィの急所に直撃し、二回目が放たれることなく目を回す。
一同が初めて見るポケモンに驚く中、キバゴとアイリスがくしゅんとくしゃみをひとつ。氷タイプ特有の冷気に震え上がった。
「サニワ⁉ このポケモンは……」
「……モスノウ。氷と虫。……キバゴ、アイリス……寒い、苦手。……嫌い、違う。大丈夫。……アイリス、へいき?」
「だだだ大丈夫よ……! モスノウは可愛いし、仲良くなれると思う! ……冷たくなければ、だけど」
モスノウをボールへ戻し、デントが勝敗を決したことを告げる。しかし対戦相手がアイリスではなくサニワのポケモンなので、困ったように告げていた。
「チラーミィ戦闘不能! よってこの勝負……モスノウの勝ち……じゃおかしいなぁ」
「何それ納得いかなーい! でもチラーミィはお疲れ様。ゆっくり休んでね」
戦闘不能になったチラーミィをボールに戻したベルは、今度はチャオブーでバトルを再開させる。だがエモンガはボルトチェンジでサトシのツタージャと交代させ、どこかへ飛んでいってしまった。
サニワとアイリスはバトルから背を向けた彼女を探しにいく間、このままサトシのツタージャとベルのチャオブーでバトルするらしい。バンギラスを連れ、サニワはエモンガを探しに丘の上へ向かった。
彼女は非常にマイペースな性格で、サニワはガラルチャンピオンと知った途端サインをねだったり、いきなりハグをしたり。「思ってたよりもちっちゃ〜い! お人形さんみたいで可愛い〜!」と抱きしめた途端、キュウコンの祟りがベルへ炸裂したのは言うまでもない。
祟りといっても、大事な書類を最後で書き損じるだの、お気に入りの服の袖が千切れるだの、往復で切符を無くすだのしょうもない不幸ばかりなのだが。
そんな最中、エモンガがアイリスの手持ちに加わった。結構一癖も二癖もある性格のようだが、昨日出会ったばかりのアイリスたちにはわかるはずもない。
反対に、数日間暮らしてわかったことだが、サニワのバンギラスは元子持ちと言うこともあってか、非常に母性溢れる性格であった。
平均よりも小さな体躯の主人に自分の食事を与えようとするのはよくあることで、主人の頭を愛おしげに撫でたり、添い寝しようとするのだ。流石に小さなテントに添い寝は難しいので丁重にお断りしたが、大体のことはサニワも好き勝手させている。
現に今も、バトルを観戦しているサニワの横に座り、アイリスから預かったキバゴを自身の膝の上に座らせていた。
なぜアイリスからキバゴを預かったかと言うと、彼女のエモンガとバトルをしたいと、サトシとベルが申し立てたからだ。しばらくどちらが先にバトルするかで揉めていたが、先にベルがバトルするらしい。
最初に攻撃を仕掛けたのはアイリスの方だ。手始めに目覚めるパワーを繰り出し、チャオブーを攻撃する。新緑を思わせるような鮮やかな萌黄色の球体がチャオブーに直撃したが、あまり効いていないようだ。
チャオブーがヒートスタンプで反撃を仕掛けるも、攻撃が当たる前にメロメロが放たれた。上手く攻撃を防いだアイリスはガッツポーズを決める。
「アイリスさまもなかなか上手く戦わせますねえ、主さま」
「もちろん! サニワもちゃんと見ててよ!」
「あ、アイリスずるい! サニワちゃんも私の応援してよぉ!」
「……二人とも、頑張れー」
再び動作を封じようと、アイリスはメロメロの指示を出す。ところが、ベルのチラーミィもメロメロを覚えていたのだ。彼女のチラーミィは♂のようで、互いに薄紅のハートが宙を舞い、ぶつかり合って効果を消し去った。
まるでホウエン地方やシンオウ地方で行われているポケモンコンテストのバトルのようで、サニワはその華麗なる戦いに目を奪われている。
今度はベルのチラーミィが擽るを繰り出した。長い毛はさぞこそばゆいことだろう。エモンガは身体を捻って抵抗するも、全く意味がない。
翻弄された戦況を打破するため、アイリスは目覚めるパワーの指示を出した。はずだった。
エモンガは電撃を放ったかと思うと、後方へ後退していく。そしてひとりでにドリュウズがボールから飛び出した。ただ通常の状態ではなく、地中にいる時の状態であった。サトシ曰く、ドリュウズは彼女に心を開いておらず、地上にいる時でもこの状態なのだという。
「え⁉︎」
「今の技は……」
「ボルトチェンジです。相手を攻撃しつつ、控えのポケモンと交代する電気技です。……ただ、普通はボールへ戻るはずですが、彼女の場合は少々仕様が異なるようですね」
「……それにしても。……アイリス、ドリュウズ、持ってた? いつから?」
「サニワと出会う前からだよ」
こんのすけが主人の代わりにボルトチェンジの解説をする傍ら、エモンガはケタケタと笑っていた。対するはアイリスは眉を八の字にしてドリュウズをボールへ戻す。
そしてちゃんとアタシの指示に従うようにエモンガへ注意すると、その大きな瞳がうるうると潤む。だがサニワは気づいていた。その涙が嘘泣きであることを。
バトルにやる気を見せていないエモンガであったが、アイリスは気にせずバトルを再開させる。今度はチラーミィがハイパーボイスを仕掛けた。
それに対してアイリスは、エモンガに目覚めるパワーで迎撃する指示を出す。しかしながら、やはりエモンガはアイリスの指示を聞かずに再びボルトチェンジを繰り出した。
ボールから出たのはアイリスのポケモンではなく、サニワのモスノウである。いきなりボールから放り出され、防御体勢を取る時間もなく音波が彼女を襲う。
それに憤ったモスノウは虫のさざめきをチラーミィへ向かって炸裂させた。繰り出された音波はチラーミィの急所に直撃し、二回目が放たれることなく目を回す。
一同が初めて見るポケモンに驚く中、キバゴとアイリスがくしゅんとくしゃみをひとつ。氷タイプ特有の冷気に震え上がった。
「サニワ⁉ このポケモンは……」
「……モスノウ。氷と虫。……キバゴ、アイリス……寒い、苦手。……嫌い、違う。大丈夫。……アイリス、へいき?」
「だだだ大丈夫よ……! モスノウは可愛いし、仲良くなれると思う! ……冷たくなければ、だけど」
モスノウをボールへ戻し、デントが勝敗を決したことを告げる。しかし対戦相手がアイリスではなくサニワのポケモンなので、困ったように告げていた。
「チラーミィ戦闘不能! よってこの勝負……モスノウの勝ち……じゃおかしいなぁ」
「何それ納得いかなーい! でもチラーミィはお疲れ様。ゆっくり休んでね」
戦闘不能になったチラーミィをボールに戻したベルは、今度はチャオブーでバトルを再開させる。だがエモンガはボルトチェンジでサトシのツタージャと交代させ、どこかへ飛んでいってしまった。
サニワとアイリスはバトルから背を向けた彼女を探しにいく間、このままサトシのツタージャとベルのチャオブーでバトルするらしい。バンギラスを連れ、サニワはエモンガを探しに丘の上へ向かった。