第11話
「ん〜! 美味しいねぇサニワちん!」
「なかなかイケるわね!」
無事ヒウンシティジムに勝利し、バッジを手に入れたサニワを連れ出したマスタード道場一向は、それぞれ味の異なるヒウンアイスを頬張っていた。
基本的には開店前から並んでも食べられないほど人気のそれだが、幸い今日はまだ人が少ないらしく、人数分入手することができたのだ。
マスタードはバニラ、ミツバは抹茶、クララはモモンのみ、セイボリーはチョコレート、サニワは少し迷っていたが、モーモーミルク味をチョイス。
クララは自分の分とサニワの分のアイスを手に取ると、自分の近くに抱き寄せてツーショットを撮影し、サニワへ白い方のアイスを渡した。
サニワの小さな口に、恐る恐る運ばれるソフトクリーム。蕩ける食感、ひんやりとした冷たさ。味はいつも通りの泥のような味であった。だが、アイス特有のそれに、思わず目を見開いた。
「……!」
「美味しいー? サニワちん、よかったね〜!」
肩に乗っかっているこんのすけと分け合いながら、夢中でヒウンアイスを頬張るサニワ。相当気に入ったのだろう、サニワの口の周囲にはアイスがついていた。それをミツバがハンカチで優しく拭き取る。その様子は仲の良い親子そのものだ。
「サニワちゃん、アイスが口についてるわ。……はい、取れた」
「んー、やっぱり親子に見えるね〜。存分に爺ちゃんと婆ちゃんに甘えるんだぞ〜」
「失礼ね、誰が婆ちゃんよ。まだ母ちゃんで通用するわ」
「ありがと……まま」
素直に礼を述べ、ふふっと笑うサニワの頬はほんのり薔薇色に色付いており、まるで牡丹の花が綻ぶかのように美しい。彼らの心に矢が勢いよく突き刺さり、恍惚な視線で彼女を凝視する。
特に礼を言われたミツバは顔色を、バオップ色に染め上げていた。擬似的とはいえ、「ママ」と呼ばれたのだ。照れと嬉しさが入り混じった感情が彼女の心を一気に貫いた。
ヒウンアイスを食べ終えたサニワは大きく耳を動かし、こんのすけは尻尾を左右に揺らしている。相当アイスが気に入ったのだ。
そんな彼女に、ミツバは洋服店へ行こうと提案する。自分が選んだ服を着たサニワは、さぞかしドールのように可憐なのだろう。いや、絶対そのはずだ。そんな魂胆が見え隠れしていた。
「サニワちん、次はどこ行く? 爺ちゃんが行きたいところに連れてくぞ〜!」
「それじゃァ、ブティックへ行かなァい? この世界のファッションはわからないでしょォ? 一緒に選んであげるゥ!」
「それにその服装、サニワちゃんの趣味じゃないでしょ? そんなフリッフリの洋服は苦手、みたいなこと言ってなかったかしら」
「えぇ……。ビートさまとマリィさまとポプラさまが見繕いました。ちなみに資金提供はマクワさまとメロンさまとキバナです」
「おい最後」
おい待て。いつの間にそんなに羨ましいことをしてくれたんだ。というかそもそもメロン親子はともかくも、キバナが出資したのか。
密かに抱いていた願望を悉く横取りされたミツバは、密かに嫉妬の炎を燃やしていた。
ちなみに、イッシュ地方へ旅立つ数日前、サニワが旅の衣装として選んだのがこの世界へ来た時の軍服だった。式典用とはいえども頑丈な縫製で、多少の無茶をしても破れないから、と。
しかし、それを妖怪世話焼き婆のポプラが許すはずもない。血腥いねぇ、ピンクを通り越して真っ赤だよ! とブティックへ強制連行したのだ。
ちなみにビートはピンクの勉強兼荷物持ち、マリィはフリル・オブ・フリル防止である。あの婆さんは放っておけば、旅の装いという用途すら忘れてフリルをふんだんに仕込んだ服を着せかねない。
その際、ビートがキバナとマクワへ一報を入れた。ただ単に目立つので人避けを依頼しただけなのだが、なぜか一緒に選び始める始末。そして高くない洋服代を全額払ったのだった。
「なかなかイケるわね!」
無事ヒウンシティジムに勝利し、バッジを手に入れたサニワを連れ出したマスタード道場一向は、それぞれ味の異なるヒウンアイスを頬張っていた。
基本的には開店前から並んでも食べられないほど人気のそれだが、幸い今日はまだ人が少ないらしく、人数分入手することができたのだ。
マスタードはバニラ、ミツバは抹茶、クララはモモンのみ、セイボリーはチョコレート、サニワは少し迷っていたが、モーモーミルク味をチョイス。
クララは自分の分とサニワの分のアイスを手に取ると、自分の近くに抱き寄せてツーショットを撮影し、サニワへ白い方のアイスを渡した。
サニワの小さな口に、恐る恐る運ばれるソフトクリーム。蕩ける食感、ひんやりとした冷たさ。味はいつも通りの泥のような味であった。だが、アイス特有のそれに、思わず目を見開いた。
「……!」
「美味しいー? サニワちん、よかったね〜!」
肩に乗っかっているこんのすけと分け合いながら、夢中でヒウンアイスを頬張るサニワ。相当気に入ったのだろう、サニワの口の周囲にはアイスがついていた。それをミツバがハンカチで優しく拭き取る。その様子は仲の良い親子そのものだ。
「サニワちゃん、アイスが口についてるわ。……はい、取れた」
「んー、やっぱり親子に見えるね〜。存分に爺ちゃんと婆ちゃんに甘えるんだぞ〜」
「失礼ね、誰が婆ちゃんよ。まだ母ちゃんで通用するわ」
「ありがと……まま」
素直に礼を述べ、ふふっと笑うサニワの頬はほんのり薔薇色に色付いており、まるで牡丹の花が綻ぶかのように美しい。彼らの心に矢が勢いよく突き刺さり、恍惚な視線で彼女を凝視する。
特に礼を言われたミツバは顔色を、バオップ色に染め上げていた。擬似的とはいえ、「ママ」と呼ばれたのだ。照れと嬉しさが入り混じった感情が彼女の心を一気に貫いた。
ヒウンアイスを食べ終えたサニワは大きく耳を動かし、こんのすけは尻尾を左右に揺らしている。相当アイスが気に入ったのだ。
そんな彼女に、ミツバは洋服店へ行こうと提案する。自分が選んだ服を着たサニワは、さぞかしドールのように可憐なのだろう。いや、絶対そのはずだ。そんな魂胆が見え隠れしていた。
「サニワちん、次はどこ行く? 爺ちゃんが行きたいところに連れてくぞ〜!」
「それじゃァ、ブティックへ行かなァい? この世界のファッションはわからないでしょォ? 一緒に選んであげるゥ!」
「それにその服装、サニワちゃんの趣味じゃないでしょ? そんなフリッフリの洋服は苦手、みたいなこと言ってなかったかしら」
「えぇ……。ビートさまとマリィさまとポプラさまが見繕いました。ちなみに資金提供はマクワさまとメロンさまとキバナです」
「おい最後」
おい待て。いつの間にそんなに羨ましいことをしてくれたんだ。というかそもそもメロン親子はともかくも、キバナが出資したのか。
密かに抱いていた願望を悉く横取りされたミツバは、密かに嫉妬の炎を燃やしていた。
ちなみに、イッシュ地方へ旅立つ数日前、サニワが旅の衣装として選んだのがこの世界へ来た時の軍服だった。式典用とはいえども頑丈な縫製で、多少の無茶をしても破れないから、と。
しかし、それを妖怪世話焼き婆のポプラが許すはずもない。血腥いねぇ、ピンクを通り越して真っ赤だよ! とブティックへ強制連行したのだ。
ちなみにビートはピンクの勉強兼荷物持ち、マリィはフリル・オブ・フリル防止である。あの婆さんは放っておけば、旅の装いという用途すら忘れてフリルをふんだんに仕込んだ服を着せかねない。
その際、ビートがキバナとマクワへ一報を入れた。ただ単に目立つので人避けを依頼しただけなのだが、なぜか一緒に選び始める始末。そして高くない洋服代を全額払ったのだった。