第11話
こんのすけが慌てて仲裁に入り、事情を伝える。
ここに蹲っているジムリーダー兼芸術家でもあるアーティの眼鏡に適ったサニワは、絵画のモデルを快諾したのだと。要するにミツバの早とちりによる勘違いである。
そうとは知らず、躊躇なく叱り飛ばしたミツバは潔く謝罪した。そのためもあってか、あまりアーティは気にしていなさそうだ。
強烈な突きを急所に食らったアーティは未だ虫の息だが、なんとか笑みを浮かべていた。サニワは心配そうに彼のもとへ駆け寄り、スッと手を差し伸べて体を支える。
「別に構わないよん。それだけサニワちゃんを大切に思っている証拠だってことだろうし、インスピレーションが湧き立っていたとはいえ、誤解されてもおかしくない状況だったからねぇ」
「ムリムリムリムリ‼ あ、あり得なくなァい⁉ こんなちんちくりんが噂になるワケないじゃァん‼」
「まぁ、確かにアリ・エーヌ話ではありますが……」
「サニワちん、モデルの仕事は終わった〜? 今からアイスでも食べに行こっかなって思ってたんだけど〜」
「……あい、す……?」
聴き慣れぬ単語に小首を傾げるサニワ。ミツバはイッシュ地方のガイドマップを開いて説明したが、問題はそもそもそこではなかった。
「このヒウンシティでは、ヒウンアイスっていうソフトクリームが有名らしいの! サニワちゃん、甘いものは好きかしら?」
「……あいす、何……?」
そもそもアイスそのものを知らなかったのである。
ひらりと主人の肩に乗った妖狐は、簡単に主人へソフトクリームの説明する。だが、すぐに肩から降りた。
サニワの言動がミツバにとって、よっぽど不憫なものだったのだろう。小さな幼い子どもの身体を、ギュウッと抱きしめたからだ。
「ッ……! お母ちゃんがいっぱい食べさせてあげるからね! お腹一杯食べなさい!」
「ミセスおかみはああ言ってますが、氷菓子ですからね。大量に食べたらお腹を下します。一つだけに絞りなさい」
感極まって腕の力を強めるミツバとは対照的に、冷静沈着な兄弟子セイボリーはフォローを忘れない。彼の忠告に、サニワは小さく首を縦に振った。
サニワの前には売り切れを案じて焦るミツバ、後ろにはアイスを楽しみに嬉々としているクララとマスタード。
完全にガードする状態でヒウンアイスの店へ繰り出そうとする一向と共に、慌ててアーティが跡を追う。それに気づいたミツバは、自分よりも小さな身体を力強く抱き寄せ、自分のものだと威嚇した。
「アンタねぇ、気安くあたしのサニワちゃんに触れないでちょうだい! もうモデルの仕事は終わったでしょう⁉︎ サニワちゃんをあんたみたいな変な奴に! 絶対に! 渡さないからねッ‼︎」
「……ミツバさん。……わたし、ジム戦、したい。……ダメ?」
「だ……だめじゃ、ないけど……」
サニワがちろちろと顔色を窺うように、じっとミツバの瞳を見詰める。身長が低いサニワが成人女性のミツバの顔を見るとなれば、必然的に上目遣いとなる。
普段自分の要望を言わない子が、珍しく我儘を述べた事も相まって。見事ハートのど真ん中を撃ち抜かれ陥落したミツバは、ヒウンジムへの挑戦を許可した。
「えげぇ……。あざとォ……」
「……アナタには言われたくはないのでは?」
「はァ? 目にもの見せたらァ!」
「ほらほら、喧嘩しないの! バトル始まるよ〜」
啀み合う弟子たちをマスタードが宥め賺し、ギャラリーへと誘導する。ポチエナの如き威嚇が続くものの、間の席にマスタード夫妻が腰掛けたことで一旦喧嘩は中断した。
アーティは「あ、ジム戦が終わったらあとでサイン頂戴ねん!」とちゃっかりサインの約束まで取り付けたアーティは、嬉々としてバトルフィールドへ移動する。サニワもチャレンジャー側の立ち位置へ、静かに進んだ。
ここに蹲っているジムリーダー兼芸術家でもあるアーティの眼鏡に適ったサニワは、絵画のモデルを快諾したのだと。要するにミツバの早とちりによる勘違いである。
そうとは知らず、躊躇なく叱り飛ばしたミツバは潔く謝罪した。そのためもあってか、あまりアーティは気にしていなさそうだ。
強烈な突きを急所に食らったアーティは未だ虫の息だが、なんとか笑みを浮かべていた。サニワは心配そうに彼のもとへ駆け寄り、スッと手を差し伸べて体を支える。
「別に構わないよん。それだけサニワちゃんを大切に思っている証拠だってことだろうし、インスピレーションが湧き立っていたとはいえ、誤解されてもおかしくない状況だったからねぇ」
「ムリムリムリムリ‼ あ、あり得なくなァい⁉ こんなちんちくりんが噂になるワケないじゃァん‼」
「まぁ、確かにアリ・エーヌ話ではありますが……」
「サニワちん、モデルの仕事は終わった〜? 今からアイスでも食べに行こっかなって思ってたんだけど〜」
「……あい、す……?」
聴き慣れぬ単語に小首を傾げるサニワ。ミツバはイッシュ地方のガイドマップを開いて説明したが、問題はそもそもそこではなかった。
「このヒウンシティでは、ヒウンアイスっていうソフトクリームが有名らしいの! サニワちゃん、甘いものは好きかしら?」
「……あいす、何……?」
そもそもアイスそのものを知らなかったのである。
ひらりと主人の肩に乗った妖狐は、簡単に主人へソフトクリームの説明する。だが、すぐに肩から降りた。
サニワの言動がミツバにとって、よっぽど不憫なものだったのだろう。小さな幼い子どもの身体を、ギュウッと抱きしめたからだ。
「ッ……! お母ちゃんがいっぱい食べさせてあげるからね! お腹一杯食べなさい!」
「ミセスおかみはああ言ってますが、氷菓子ですからね。大量に食べたらお腹を下します。一つだけに絞りなさい」
感極まって腕の力を強めるミツバとは対照的に、冷静沈着な兄弟子セイボリーはフォローを忘れない。彼の忠告に、サニワは小さく首を縦に振った。
サニワの前には売り切れを案じて焦るミツバ、後ろにはアイスを楽しみに嬉々としているクララとマスタード。
完全にガードする状態でヒウンアイスの店へ繰り出そうとする一向と共に、慌ててアーティが跡を追う。それに気づいたミツバは、自分よりも小さな身体を力強く抱き寄せ、自分のものだと威嚇した。
「アンタねぇ、気安くあたしのサニワちゃんに触れないでちょうだい! もうモデルの仕事は終わったでしょう⁉︎ サニワちゃんをあんたみたいな変な奴に! 絶対に! 渡さないからねッ‼︎」
「……ミツバさん。……わたし、ジム戦、したい。……ダメ?」
「だ……だめじゃ、ないけど……」
サニワがちろちろと顔色を窺うように、じっとミツバの瞳を見詰める。身長が低いサニワが成人女性のミツバの顔を見るとなれば、必然的に上目遣いとなる。
普段自分の要望を言わない子が、珍しく我儘を述べた事も相まって。見事ハートのど真ん中を撃ち抜かれ陥落したミツバは、ヒウンジムへの挑戦を許可した。
「えげぇ……。あざとォ……」
「……アナタには言われたくはないのでは?」
「はァ? 目にもの見せたらァ!」
「ほらほら、喧嘩しないの! バトル始まるよ〜」
啀み合う弟子たちをマスタードが宥め賺し、ギャラリーへと誘導する。ポチエナの如き威嚇が続くものの、間の席にマスタード夫妻が腰掛けたことで一旦喧嘩は中断した。
アーティは「あ、ジム戦が終わったらあとでサイン頂戴ねん!」とちゃっかりサインの約束まで取り付けたアーティは、嬉々としてバトルフィールドへ移動する。サニワもチャレンジャー側の立ち位置へ、静かに進んだ。