第10話
ヒウンシティへ向かうサニワたちは、途中にあるヤグルマの森を悠々閑々と進んでいた。
広大なこのヤグルマの森は、真っ直ぐ進めばあっという間、傍に逸れれば自然の迷路と呼ばれているらしい。
もしダンデがこの森に入って行ったら、確実に迷子となることだろう。ハロンタウンからブラッシータウンまでの1本道ですら迷う男なのだから。
サニワは森の中の澄んだ空気を味わいつつ、前任のチャンピオンである大嫌いな男を思い浮かべていた。
急に現れた一陣の気配。
それに気づいたサニワが咄嗟にしゃがんで避けたものの、そのままかなりの勢いでを彼女の頭上を通り越し、先を進んでいたサトシのピカチュウの顔面に衝突。ぶつかった勢いでピカチュウは肩から振り落とされてしまった。
ピカチュウに勢いよく衝突したのは、この葉の服を身につけた、可愛らしい顔立ちの虫ポケモンだ。しかし気が強い個体なのか、虫ポケモンは既に戦闘態勢に入っている。
突き飛ばされて腹を立てたピカチュウは、ポケモンへ10万ボルトを放つも、するりと躱されてしまう。相手の方が一枚上手なようだ。
サトシは急いでポケモン図鑑を翳すと、裁縫ポケモンのクルミルということが判明した。
「クルミルは葉っぱを服にしていることから、ファッションデザイナーたちのマスコットとしても人気が高いんだよ」
「どうりで可愛らしい子ね!」
アイリスはクルミルのあまりの可愛らしさに、思わずにへらと口角を緩ませた。ピカチュウと戦闘中のクルミルはキッと相手を睨みつけているが、その表情すらも可愛らしい。
連続で放っていた10万ボルトが遂にクルミルへ直撃し、サトシはぐっと握り拳を作って歓喜する。だが強烈な電撃にクルミルは驚いたのか、サトシの隙をついて木々に向かって糸を吐き、ターザンの如く戦闘から離脱した。
「待てっ! クルミルー!」
「あ、サトシ!」
「道から外れるぞ!」
後先考えず、サトシは逃げ出したクルミルを追いかけていく。
一本道から外れてしまうが、駆け出したサトシを放っておくわけにもいかず、サニワたちは彼の後に続いた。
結局クルミルには逃げられてしまい、引き返そうにも入り組んでいて分からない。完全に迷ってしまい、どうしようと一同は冷や汗をかいた。だが、アイリスが先陣を切って自信満々に歩き出す。
「大丈夫よサニワ! 道はこっちね!」
「アイリスさま。主さまは何故道がわかったのか、不思議で仕方ないそうです」
「森の声が聞こえたの! さ、ついてきて!」
「またそんな非科学的なことを……」
「でもサニワの神通力には肯定的じゃない。アタシの第六感も同じよ!」
デントが呆れたように肩を竦めるが、アイリスはサニワの手を掴んでズンズンと突き進んでいく。だが彼女の手を振り解くことも、嫌そうなそぶりを見せることもなく、大人しくサニワはついて行った。
サニワとアイリスは女の子同士ということもあって、一際仲が良い。よくサニワがアイリスにハグされたり、抱きつかれたりと、なされるがままになっていることも多かった。
……そして辿り着いた先は、先ほどの開けた道。
なんて都合のいい話ではなく、切り立った崖。下には流れの速い河が流れている。見た限り、向こう側も広大な森が広がっているようだ。
「これのどこが森の声だよー!」
「も、森はこの素晴らしい景色を見せたくてここへ導いてくれたのね!」
「何だそれ……」
「物は言いようだ。しかし噂通りだなぁ、ほんの少し外れただけで道に迷ってしまうなんて」
「こういう時は高い場所から確かめるのが一番よ!」
そう言ってアイリスが指差した先には、森の木の中でも一際大きな大木が聳え立っている。確かに彼女の言う通り、あの大木を目印に進んだら迷うことはなさそうだ。
今度こそ迷子になりませんように、とサニワは内心祈りながら、今度は大木に向かって足を進めた。
広大なこのヤグルマの森は、真っ直ぐ進めばあっという間、傍に逸れれば自然の迷路と呼ばれているらしい。
もしダンデがこの森に入って行ったら、確実に迷子となることだろう。ハロンタウンからブラッシータウンまでの1本道ですら迷う男なのだから。
サニワは森の中の澄んだ空気を味わいつつ、前任のチャンピオンである大嫌いな男を思い浮かべていた。
急に現れた一陣の気配。
それに気づいたサニワが咄嗟にしゃがんで避けたものの、そのままかなりの勢いでを彼女の頭上を通り越し、先を進んでいたサトシのピカチュウの顔面に衝突。ぶつかった勢いでピカチュウは肩から振り落とされてしまった。
ピカチュウに勢いよく衝突したのは、この葉の服を身につけた、可愛らしい顔立ちの虫ポケモンだ。しかし気が強い個体なのか、虫ポケモンは既に戦闘態勢に入っている。
突き飛ばされて腹を立てたピカチュウは、ポケモンへ10万ボルトを放つも、するりと躱されてしまう。相手の方が一枚上手なようだ。
サトシは急いでポケモン図鑑を翳すと、裁縫ポケモンのクルミルということが判明した。
「クルミルは葉っぱを服にしていることから、ファッションデザイナーたちのマスコットとしても人気が高いんだよ」
「どうりで可愛らしい子ね!」
アイリスはクルミルのあまりの可愛らしさに、思わずにへらと口角を緩ませた。ピカチュウと戦闘中のクルミルはキッと相手を睨みつけているが、その表情すらも可愛らしい。
連続で放っていた10万ボルトが遂にクルミルへ直撃し、サトシはぐっと握り拳を作って歓喜する。だが強烈な電撃にクルミルは驚いたのか、サトシの隙をついて木々に向かって糸を吐き、ターザンの如く戦闘から離脱した。
「待てっ! クルミルー!」
「あ、サトシ!」
「道から外れるぞ!」
後先考えず、サトシは逃げ出したクルミルを追いかけていく。
一本道から外れてしまうが、駆け出したサトシを放っておくわけにもいかず、サニワたちは彼の後に続いた。
結局クルミルには逃げられてしまい、引き返そうにも入り組んでいて分からない。完全に迷ってしまい、どうしようと一同は冷や汗をかいた。だが、アイリスが先陣を切って自信満々に歩き出す。
「大丈夫よサニワ! 道はこっちね!」
「アイリスさま。主さまは何故道がわかったのか、不思議で仕方ないそうです」
「森の声が聞こえたの! さ、ついてきて!」
「またそんな非科学的なことを……」
「でもサニワの神通力には肯定的じゃない。アタシの第六感も同じよ!」
デントが呆れたように肩を竦めるが、アイリスはサニワの手を掴んでズンズンと突き進んでいく。だが彼女の手を振り解くことも、嫌そうなそぶりを見せることもなく、大人しくサニワはついて行った。
サニワとアイリスは女の子同士ということもあって、一際仲が良い。よくサニワがアイリスにハグされたり、抱きつかれたりと、なされるがままになっていることも多かった。
……そして辿り着いた先は、先ほどの開けた道。
なんて都合のいい話ではなく、切り立った崖。下には流れの速い河が流れている。見た限り、向こう側も広大な森が広がっているようだ。
「これのどこが森の声だよー!」
「も、森はこの素晴らしい景色を見せたくてここへ導いてくれたのね!」
「何だそれ……」
「物は言いようだ。しかし噂通りだなぁ、ほんの少し外れただけで道に迷ってしまうなんて」
「こういう時は高い場所から確かめるのが一番よ!」
そう言ってアイリスが指差した先には、森の木の中でも一際大きな大木が聳え立っている。確かに彼女の言う通り、あの大木を目印に進んだら迷うことはなさそうだ。
今度こそ迷子になりませんように、とサニワは内心祈りながら、今度は大木に向かって足を進めた。