第8話
翌朝、サニワとこんのすけは、サトシたちと朝食を共にした後、シッポウ博物館の図書室へ足を運んでいた。
小説などの物語や、歴史についての本を読破しようと考えたのだ。異世界関係の類いは、前例がないか調べ、過去の歴史から紐解く方が早いと考えたから。
かなり昔から、カロス地方とこのイッシュ地方には交流があるらしい。
カロス地方の観光名所であるパルファム宮殿に、イッシュ地方に伝わる伝説のドラゴンポケモン・ゼクロムとレシラムの像があるのがその証拠だ。
元審神者という職業柄か、歴史関係の本はじっくりと読み込みたいと思ったので、イッシュ地方に伝わる伝説や歴史について書かれている本を片っぱしから手当たり次第に手に取り始めた。
読み聞かせる役のキダチはマジで? と言わんばかりに顔が引き攣っていた。
妖狐は自身の主人が集中したら止められないタチを知っているからか、眠たそうにくわあぁ、と大きな欠伸を隠すことなく零す。そして彼女の足元で丸くなり、睡眠を取り始めた。
サニワがキダチの読み聞かせで知った、イッシュ地方に伝わる伝説。それは、どれも彼女の興味を刺激するに十分なものだった。
大昔、人間とポケモンが別々に暮らしていた頃、人間の起こした戦争でポケモンたちの暮らす森が激しい炎に包まれた。
コバルオン・テラキオンは逃げ遅れたポケモンたちを誘導し、ビリジオンは素早い動きでポケモンたちを降り注ぐ火の粉から身を守った。
その後三体は戦を始めた連中をあっという間に蹴散らし、恐れをなした人間は戦を終結させた。
昔、ミロス島という場所に、雷雨を起こして悪さをするボルトロス・トルネロスというポケモンがいた。
一人の巫女が祈りを捧げると、ランドロスというポケモンが現れ、悪さをする二体を懲らしめた。今でもミロス島では、感謝を称えるランドロスを祀る祠がひっそりと残っている。
カゴメタウンの裏には大きな大きな穴がある。その穴は昔、隕石が落ちて出来たらしい。そしてその隕石の中には、世にも恐ろしい化け物が潜んでいた。
化け物は夜になると冷たい風とともに人里に現れ、人やポケモンを食らうと恐れられていた。
そのため、街を頑丈な塀で囲ったり、日が暮れると表に出るのを禁じたりした。今でもカゴメタウンではその風習が残っている。
双子の英雄と一匹のポケモンが新しい国を建国した。双子の英雄は最初こそ仲が良かったが、兄は現実を、弟は理想を追い求め、いつしか対立するようになっていった。
どちらが正しいのかを確かめるべく、遂には戦争が勃発し、1匹のポケモンは二匹のポケモン、ゼクロム・レシラムに分かれ、現実を追い求める兄にはレシラムが、理想を追い求める弟にはゼクロムがついた。
その後、双子の英雄の起こした戦争は終結したが、彼らの子孫が同様の戦争を起こした。
それに憤ったレシラムとゼクロムはイッシュ地方を焼け野原にして姿を消した。
イッシュ地方は移民の人たちが開拓して暮らしてきた土地柄だからか、戦争のような建国神話や自然に関する民話が多いようだ。ただ、昔からカロス地方と関わりがあると聞いてはいたのだが、そういった記述のある書物は一切見つかることはなかった。
それについての話はないのかな。更に調べ物を続けようと席を立つ。
その時にサニワが気づいた。テーブルの上にちょこんと座り、じっとサニワを眺めているこんのすけの姿を。
「……キダチ、さん?」
「私もキダチさまも、お声がけをしたのですよ。しかも何度も! でも主さまったら、全く気づかないではありませんか‼︎」
「……ごめんなさい。……すぐ、片付ける」
苦笑いを零すキダチにぺこりと頭を下げ、本を棚に仕舞い始める。
ポケモンたちや彼女に手伝ってもらいつつ、サニワが本を仕舞い終えて書庫を出ると、アロエが彼女を呼びに現れた。
「おや、ちょうどいいタイミングだね。お迎えが来てるよ」
「……お迎え?」
「そうさ。もう閉館時間だからね、関係者入り口で待ってるよ」
「……迷惑、かける、した。……ごめんなさい」
「何言ってんのさ。子供は迷惑かけてナンボだろ! アンタはいろいろ苦労してるんだ、少しくらいワガママ言ったって罰は当たんないよ!」
「それに何より、サニワさんには怪奇現象を解決して頂いたり、特別展示の準備を手伝って頂いたのです。私たちには感謝しかありませんよ」
迎えに来てくれた人とは一体誰だろうか、と物思いに耽りながら裏口に回る。そこにはデントが壁に凭 れて、ひとり佇んでいた。
「もう二十時を過ぎているけど、全然連絡もないし……心配だから来てみたんだ」
「……心配、する、させた。……ごめんなさい」
「大丈夫だよ、気にしないで。サニワは女の子だから、これくらい当然さ」
そう言って頭をぽんぽんと撫でるデント。サニワの体躯が小柄な分、その光景は親子に見える。
デントに連れられポケモンセンターに戻ると、確かに彼の告げていた通り時刻はとうに二十時を回っていた。アイリスとサトシにも心配されてしまい、サニワはぺこぺこと頭を下げまくったのは言うまでもない。
小説などの物語や、歴史についての本を読破しようと考えたのだ。異世界関係の類いは、前例がないか調べ、過去の歴史から紐解く方が早いと考えたから。
かなり昔から、カロス地方とこのイッシュ地方には交流があるらしい。
カロス地方の観光名所であるパルファム宮殿に、イッシュ地方に伝わる伝説のドラゴンポケモン・ゼクロムとレシラムの像があるのがその証拠だ。
元審神者という職業柄か、歴史関係の本はじっくりと読み込みたいと思ったので、イッシュ地方に伝わる伝説や歴史について書かれている本を片っぱしから手当たり次第に手に取り始めた。
読み聞かせる役のキダチはマジで? と言わんばかりに顔が引き攣っていた。
妖狐は自身の主人が集中したら止められないタチを知っているからか、眠たそうにくわあぁ、と大きな欠伸を隠すことなく零す。そして彼女の足元で丸くなり、睡眠を取り始めた。
サニワがキダチの読み聞かせで知った、イッシュ地方に伝わる伝説。それは、どれも彼女の興味を刺激するに十分なものだった。
大昔、人間とポケモンが別々に暮らしていた頃、人間の起こした戦争でポケモンたちの暮らす森が激しい炎に包まれた。
コバルオン・テラキオンは逃げ遅れたポケモンたちを誘導し、ビリジオンは素早い動きでポケモンたちを降り注ぐ火の粉から身を守った。
その後三体は戦を始めた連中をあっという間に蹴散らし、恐れをなした人間は戦を終結させた。
昔、ミロス島という場所に、雷雨を起こして悪さをするボルトロス・トルネロスというポケモンがいた。
一人の巫女が祈りを捧げると、ランドロスというポケモンが現れ、悪さをする二体を懲らしめた。今でもミロス島では、感謝を称えるランドロスを祀る祠がひっそりと残っている。
カゴメタウンの裏には大きな大きな穴がある。その穴は昔、隕石が落ちて出来たらしい。そしてその隕石の中には、世にも恐ろしい化け物が潜んでいた。
化け物は夜になると冷たい風とともに人里に現れ、人やポケモンを食らうと恐れられていた。
そのため、街を頑丈な塀で囲ったり、日が暮れると表に出るのを禁じたりした。今でもカゴメタウンではその風習が残っている。
双子の英雄と一匹のポケモンが新しい国を建国した。双子の英雄は最初こそ仲が良かったが、兄は現実を、弟は理想を追い求め、いつしか対立するようになっていった。
どちらが正しいのかを確かめるべく、遂には戦争が勃発し、1匹のポケモンは二匹のポケモン、ゼクロム・レシラムに分かれ、現実を追い求める兄にはレシラムが、理想を追い求める弟にはゼクロムがついた。
その後、双子の英雄の起こした戦争は終結したが、彼らの子孫が同様の戦争を起こした。
それに憤ったレシラムとゼクロムはイッシュ地方を焼け野原にして姿を消した。
イッシュ地方は移民の人たちが開拓して暮らしてきた土地柄だからか、戦争のような建国神話や自然に関する民話が多いようだ。ただ、昔からカロス地方と関わりがあると聞いてはいたのだが、そういった記述のある書物は一切見つかることはなかった。
それについての話はないのかな。更に調べ物を続けようと席を立つ。
その時にサニワが気づいた。テーブルの上にちょこんと座り、じっとサニワを眺めているこんのすけの姿を。
「……キダチ、さん?」
「私もキダチさまも、お声がけをしたのですよ。しかも何度も! でも主さまったら、全く気づかないではありませんか‼︎」
「……ごめんなさい。……すぐ、片付ける」
苦笑いを零すキダチにぺこりと頭を下げ、本を棚に仕舞い始める。
ポケモンたちや彼女に手伝ってもらいつつ、サニワが本を仕舞い終えて書庫を出ると、アロエが彼女を呼びに現れた。
「おや、ちょうどいいタイミングだね。お迎えが来てるよ」
「……お迎え?」
「そうさ。もう閉館時間だからね、関係者入り口で待ってるよ」
「……迷惑、かける、した。……ごめんなさい」
「何言ってんのさ。子供は迷惑かけてナンボだろ! アンタはいろいろ苦労してるんだ、少しくらいワガママ言ったって罰は当たんないよ!」
「それに何より、サニワさんには怪奇現象を解決して頂いたり、特別展示の準備を手伝って頂いたのです。私たちには感謝しかありませんよ」
迎えに来てくれた人とは一体誰だろうか、と物思いに耽りながら裏口に回る。そこにはデントが壁に
「もう二十時を過ぎているけど、全然連絡もないし……心配だから来てみたんだ」
「……心配、する、させた。……ごめんなさい」
「大丈夫だよ、気にしないで。サニワは女の子だから、これくらい当然さ」
そう言って頭をぽんぽんと撫でるデント。サニワの体躯が小柄な分、その光景は親子に見える。
デントに連れられポケモンセンターに戻ると、確かに彼の告げていた通り時刻はとうに二十時を回っていた。アイリスとサトシにも心配されてしまい、サニワはぺこぺこと頭を下げまくったのは言うまでもない。