第32話
なんとコーン曰く、ポッドがジムから出奔しており、その間ジムに連絡すら入れていないことが判明した。
「えっ、家出⁉」
「ええ。出て行ったきり連絡もなくて、心配していたんです」
「本人は『修業の旅に出た』と言っていたよ……?」
「修業ですか⁉ じゃあ……やっぱりあの時のことを気にして……」
ポッドはここ最近、ジム戦で連戦連敗が続いていたようだ。酷く思い悩み、バトルフィールドで寝転がって自問自答していたポッドを、コーンが見かねて相談に乗った。
こうもあっさり負けが続けば、自分のバトルスタイルに問題があるのかと自覚する。正直に言ってくれとコーンの肩を掴んで問い質されたため、渋々コーンはなるべくオブラートに包んだつもりで答えた。
防御を無視した攻撃一辺倒の戦い方がよくないのではないかと。しかし指摘されたポッドは、オクタンのように怒りで顔を真っ赤に染め上げると、その勢いのままジムを飛び出してしまったのだ。
「アドバイスしたつもりが、傷つけてしまったみたいで……」
「なるほどね。でも大丈夫さ! ポッドが家を出たのも、自分の考えを熟成させる時間が欲しかったんじゃないかな」
「だと良いんですけど……。デント! ポッドの事、お願いして良いですか⁉」
「任せて。僕たち兄弟は、いつも助け合ってきた。これからもずっとそうだよ」
「ありがとう!」
連絡を切ると、背後で待っていたアイリスが呆れたように口を開く。ポッドの短気さに苦言を呈すも、その燃えるような感情こそがポッドの長所だ。
デントたちサンヨウジム三兄弟は、それぞれ性格が全く異なる。しかしそれは、互いに長所と短所を補い、助け合ってきた証左でもあるのだ。
「さ、ポッドの所へ行こう!」
「えっ、どこに居るかわかるのか?」
「兄弟だからね! ポッドがむしゃくしゃしたとき、いつもやけ食いするものがあるんだよ」
デントの先導でポケモンセンターを後にした一同が向かったのは、ドーナツのチェーン店。その店の席で、ひとり大量のドーナツをがつがつと頬張っていた。
「この店のドーナツのテイストはどうだい?」
「あ……。デント……」
「コーンから聞いたよ。急にジムを飛び出したんだって?」
「……アイツが生意気なこと言うからだ」
デントの言葉に、気まずそうにそっぽを向くポッド。コーンと喧嘩したことは少々気にしているらしく、その顔には反省の色が表れている。
「コーンはポッドのことをとても心配していたよ」
「にゃっぷ!」
「ふんっ。コーンのヤツ、口ではそう言いながら負け続けの俺がいなくなって清々しているんじゃないか?」
「そんなわけないだろ!」
「うじうじしちゃって子どもねぇ」
サトシとアイリスが加勢し、頭に血が上ったポッドをデントが宥める。今まで感情的になったポッドをよくデントが宥めていたので、ポッドの扱いはデントが一番よく理解していた。
「僕たち兄弟は、お互いのことをとても大切に思っている。その絆がどれだけ強いのかは、僕たち兄弟が一番よく知っている。違うかい?」
「……あぁ。わかってる。俺は俺で悩んでいたんだ。でも答えが出ないもんだから、苛々して……」
「その悩みというのを、教えてくれないかな」
ひとりで背負っていた感情を吐露するポッドに、デントが優しく語りかける。
大切な家族が思い悩み、大きな障壁にぶち当たっているのなら、それを乗り越えられるように背中を押すのが兄弟というものだ。サトシたちも同席し、ポッドの煩悶に耳を傾ける。
ポッド自身も喧嘩っ早い性格だと自覚しており、それがバトルスタイルにも反映されて、攻勢のみの戦法になっているのも理解していた。
しかし改めてコーンから指摘されると、頭に血が上り、勢いのままジムを飛び出して旅に出た。
しばらく旅を続けていると怒りでいっぱいだった頭も冷え、バトルスタイルを見つめ直し、変えた方が良いのではないかと真剣に検討するようになったのだという。
そんなときにデントが近くに滞在していると情報を手に入れ、デントとバトルすれば何か手掛かりが掴めるのではと思い立ち、あの時バトルを申し込んだのだ。
「なんだ、そういうことなら僕の修行の成果を披露させてくれないかな? ポケモンソムリエとして、ポッドとバオップをテイスティングさせてほしいんだ」
「あぁ! 是非お願いするよ‼」
ポッドは快諾するも、テイスティングするにはポッドから去ってしまったバオップを見つけ出さねばならない。
ところがポッドは見当がついているのか、卓上の大量のドーナツを平らげると、早速店から飛び出した。
「えっ、家出⁉」
「ええ。出て行ったきり連絡もなくて、心配していたんです」
「本人は『修業の旅に出た』と言っていたよ……?」
「修業ですか⁉ じゃあ……やっぱりあの時のことを気にして……」
ポッドはここ最近、ジム戦で連戦連敗が続いていたようだ。酷く思い悩み、バトルフィールドで寝転がって自問自答していたポッドを、コーンが見かねて相談に乗った。
こうもあっさり負けが続けば、自分のバトルスタイルに問題があるのかと自覚する。正直に言ってくれとコーンの肩を掴んで問い質されたため、渋々コーンはなるべくオブラートに包んだつもりで答えた。
防御を無視した攻撃一辺倒の戦い方がよくないのではないかと。しかし指摘されたポッドは、オクタンのように怒りで顔を真っ赤に染め上げると、その勢いのままジムを飛び出してしまったのだ。
「アドバイスしたつもりが、傷つけてしまったみたいで……」
「なるほどね。でも大丈夫さ! ポッドが家を出たのも、自分の考えを熟成させる時間が欲しかったんじゃないかな」
「だと良いんですけど……。デント! ポッドの事、お願いして良いですか⁉」
「任せて。僕たち兄弟は、いつも助け合ってきた。これからもずっとそうだよ」
「ありがとう!」
連絡を切ると、背後で待っていたアイリスが呆れたように口を開く。ポッドの短気さに苦言を呈すも、その燃えるような感情こそがポッドの長所だ。
デントたちサンヨウジム三兄弟は、それぞれ性格が全く異なる。しかしそれは、互いに長所と短所を補い、助け合ってきた証左でもあるのだ。
「さ、ポッドの所へ行こう!」
「えっ、どこに居るかわかるのか?」
「兄弟だからね! ポッドがむしゃくしゃしたとき、いつもやけ食いするものがあるんだよ」
デントの先導でポケモンセンターを後にした一同が向かったのは、ドーナツのチェーン店。その店の席で、ひとり大量のドーナツをがつがつと頬張っていた。
「この店のドーナツのテイストはどうだい?」
「あ……。デント……」
「コーンから聞いたよ。急にジムを飛び出したんだって?」
「……アイツが生意気なこと言うからだ」
デントの言葉に、気まずそうにそっぽを向くポッド。コーンと喧嘩したことは少々気にしているらしく、その顔には反省の色が表れている。
「コーンはポッドのことをとても心配していたよ」
「にゃっぷ!」
「ふんっ。コーンのヤツ、口ではそう言いながら負け続けの俺がいなくなって清々しているんじゃないか?」
「そんなわけないだろ!」
「うじうじしちゃって子どもねぇ」
サトシとアイリスが加勢し、頭に血が上ったポッドをデントが宥める。今まで感情的になったポッドをよくデントが宥めていたので、ポッドの扱いはデントが一番よく理解していた。
「僕たち兄弟は、お互いのことをとても大切に思っている。その絆がどれだけ強いのかは、僕たち兄弟が一番よく知っている。違うかい?」
「……あぁ。わかってる。俺は俺で悩んでいたんだ。でも答えが出ないもんだから、苛々して……」
「その悩みというのを、教えてくれないかな」
ひとりで背負っていた感情を吐露するポッドに、デントが優しく語りかける。
大切な家族が思い悩み、大きな障壁にぶち当たっているのなら、それを乗り越えられるように背中を押すのが兄弟というものだ。サトシたちも同席し、ポッドの煩悶に耳を傾ける。
ポッド自身も喧嘩っ早い性格だと自覚しており、それがバトルスタイルにも反映されて、攻勢のみの戦法になっているのも理解していた。
しかし改めてコーンから指摘されると、頭に血が上り、勢いのままジムを飛び出して旅に出た。
しばらく旅を続けていると怒りでいっぱいだった頭も冷え、バトルスタイルを見つめ直し、変えた方が良いのではないかと真剣に検討するようになったのだという。
そんなときにデントが近くに滞在していると情報を手に入れ、デントとバトルすれば何か手掛かりが掴めるのではと思い立ち、あの時バトルを申し込んだのだ。
「なんだ、そういうことなら僕の修行の成果を披露させてくれないかな? ポケモンソムリエとして、ポッドとバオップをテイスティングさせてほしいんだ」
「あぁ! 是非お願いするよ‼」
ポッドは快諾するも、テイスティングするにはポッドから去ってしまったバオップを見つけ出さねばならない。
ところがポッドは見当がついているのか、卓上の大量のドーナツを平らげると、早速店から飛び出した。