第5話
その後ジムリーダーのアロエと合流し、展示室の奥へと案内される。その先には膨大な貯蔵量を誇る書庫が広がっていた。
ちなみに、こんのすけが妖狐であり人語を解すること、またサニワたちが異世界からはシロナ経由で既に知っていたらしい。よく考古学について話す仲なのだそうだ。
「おや、アンタ読書好きなのかい? 勉強熱心だねぇ。若いのに感心するよ」
「……道具、壊れる。……でも、経験、知識、壊れない」
「……そうかい。アンタも色々と苦労してるんだね。じゃあ、これなんかどうだい? アタシのオススメだよ!」
そう言って、アロエは一冊の本の背表紙をコン、と叩く。その本はポカブの生態について記されているものだった。
正直なところ、サニワの好みは歴史書や歴史小説と言われる部類。そもそもこちらの世界の文字は読めない。だが折角ジムリーダーがオススメしてくださったものだから、とその本を手に取る。
すると本の後ろに隠されていたスイッチが起動したのだろう、ゴゴゴゴ、と地響きが鳴り響き、本棚がひとりでに移動し、最終的には、本棚のあった場所に地下へと続く階段が現れた。
「……トーチカ?」
「チャレンジャーが一体どんなトレーナーか試しているんですよ。ね、ママ」
「大抵はアタシの言うことに裏があるって思い込んで、別の本を手に取ったり、自分の得意なジャンルを探すものだけどね。確かに、アンタはシロナに勝利し、ダイゴやカルネにも勝った天井知らずの強さを持つ、ガラル地方のチャンピオンかもしれない。だがその圧倒的な力で捩じ伏せる戦い方は、アタシに通用しないよ!」
「……知る、だった?」
「知ってるに決まってるだろ。アンタ、かなりの有名人だよ!」
素直と言うより、今回はただ遠慮しただけなのだが。
こんのすけは苦笑いを零すと、アロエに連れられて地下のバトルフィールドへ移動した。
アロエはハーデリアとミルホッグをボールから出す。彼らがジム戦で使うポケモンたちであり、どちらもノーマルタイプ。弱点が格闘タイプしかない上、(ポケモンにもよるが)多種多様なタイプの技を習得するため、攻め落とすのは少々厄介になるだろう。
ジムリーダーとチャレンジャーはバトルフィールドへ移動し、ボールを宙へ放り投げた。
「ハーデリア! 出番だよ!」
「……お願い」
チャレンジャーは色違いのキュウコンを、ジムリーダーはハーデリアを戦場へ送り出す。
このジムは先攻はチャレンジャーらしい。手始めに悪巧みを積み、火炎放射で攻撃した。
「火炎放射」
「避けなさいハーデリア! シャドーボールだよ!」
「もう一度」
攻撃を躱し、キュウコンの背後に移動したハーデリアのシャドーボールが襲いかかる。しかし、そんなことはとうにサニワの想定済みだ。彼女が放った灼熱の炎は、ハーデリアもろとも吹き飛ばす。
しかし、流石はジムリーダーのポケモンというべきか。火傷を負っても、気合いで辛うじて立ち上がっていた。
「シャドーボールを火炎放射で諸共燃やし尽くすとは……なかなか面白い戦法だね。じゃあこれはどうかな? ハーデリア、吠える!」
至近距離で咆哮を浴びせられ、強制的にキュウコンはボールの中へ戻っていく。
代わりに出てきたのはトゲキッスだ。彼女は自分が呼ばれてもいないのに、ボールから出てきたことに戸惑いを隠せないようだった。
更に動揺を誘う作戦なのか、ジムリーダーもハーデリアを引っ込めてミルホッグを繰り出し、黒い眼差しを指示する。
しかし、奇策も読まれてしまえば駄策へと成り下がるものだ。サニワは動揺することなく、トゲキッスを鼓舞させて補助技の指示を飛ばす。
「……大丈夫。電磁波」
「混乱させるのよ! ミルホッグ、怪しい光!」
鋼鉄の巨体はフィールドの空高く舞い上がり、電磁波を放つ。ところがミルホッグの放った光は、ふわふわと亡霊のようにトゲキッスの周囲を漂う。
思わず光を目にしたトゲキッスは混乱状態に陥ってしまった。
「……慌てる、だけ、ちがう……混乱、も」
「今更気付いたってもう遅いさ。ミルホッグ、10万ボルト! そして蹴手繰りだよ!」
「耐えて!」
ミルホッグの強烈な電撃がトゲキッスに直撃。トゲキッスは地面へ墜落し、追い討ちとばかりに強烈な蹴りが入る。10万ボルトは電気タイプの特殊技。タイプ不一致でも、効果抜群の電撃はかなり応えているようだ。
ジムリーダーは連続で攻撃の命令を出す。対するチャレンジャーは戸惑っているのか、指示も出さずにただ黙っているだけだ。
そしてかなりの時間電撃を放ち続けて疲れたのか、ミルホッグはついに片膝をついた。吐く息も絶え絶えた。
「……しなつちゃん、ミルホッグに波導弾」
「ミルホッグ! 躱すのよ!」
波導弾は格闘タイプの特殊技で、ミルホッグには効果抜群。更にサニワのトゲキッスが放つそれはミサイルのように追撃効果があり、回避は至難の業だ。その上同時にいくつもの球を抛射する。
疲労によりふらふらと足取りが覚束ないミルホッグの身体に、いくつもの青白い弾が襲いかかる。ミルホッグの身体は吹き飛ばされて壁へ激突した。
磔にされた戦闘不能状態のミルホッグのその様は、まるで磔刑にされたキリストのようであった。
ちなみに、こんのすけが妖狐であり人語を解すること、またサニワたちが異世界からはシロナ経由で既に知っていたらしい。よく考古学について話す仲なのだそうだ。
「おや、アンタ読書好きなのかい? 勉強熱心だねぇ。若いのに感心するよ」
「……道具、壊れる。……でも、経験、知識、壊れない」
「……そうかい。アンタも色々と苦労してるんだね。じゃあ、これなんかどうだい? アタシのオススメだよ!」
そう言って、アロエは一冊の本の背表紙をコン、と叩く。その本はポカブの生態について記されているものだった。
正直なところ、サニワの好みは歴史書や歴史小説と言われる部類。そもそもこちらの世界の文字は読めない。だが折角ジムリーダーがオススメしてくださったものだから、とその本を手に取る。
すると本の後ろに隠されていたスイッチが起動したのだろう、ゴゴゴゴ、と地響きが鳴り響き、本棚がひとりでに移動し、最終的には、本棚のあった場所に地下へと続く階段が現れた。
「……トーチカ?」
「チャレンジャーが一体どんなトレーナーか試しているんですよ。ね、ママ」
「大抵はアタシの言うことに裏があるって思い込んで、別の本を手に取ったり、自分の得意なジャンルを探すものだけどね。確かに、アンタはシロナに勝利し、ダイゴやカルネにも勝った天井知らずの強さを持つ、ガラル地方のチャンピオンかもしれない。だがその圧倒的な力で捩じ伏せる戦い方は、アタシに通用しないよ!」
「……知る、だった?」
「知ってるに決まってるだろ。アンタ、かなりの有名人だよ!」
素直と言うより、今回はただ遠慮しただけなのだが。
こんのすけは苦笑いを零すと、アロエに連れられて地下のバトルフィールドへ移動した。
アロエはハーデリアとミルホッグをボールから出す。彼らがジム戦で使うポケモンたちであり、どちらもノーマルタイプ。弱点が格闘タイプしかない上、(ポケモンにもよるが)多種多様なタイプの技を習得するため、攻め落とすのは少々厄介になるだろう。
ジムリーダーとチャレンジャーはバトルフィールドへ移動し、ボールを宙へ放り投げた。
「ハーデリア! 出番だよ!」
「……お願い」
チャレンジャーは色違いのキュウコンを、ジムリーダーはハーデリアを戦場へ送り出す。
このジムは先攻はチャレンジャーらしい。手始めに悪巧みを積み、火炎放射で攻撃した。
「火炎放射」
「避けなさいハーデリア! シャドーボールだよ!」
「もう一度」
攻撃を躱し、キュウコンの背後に移動したハーデリアのシャドーボールが襲いかかる。しかし、そんなことはとうにサニワの想定済みだ。彼女が放った灼熱の炎は、ハーデリアもろとも吹き飛ばす。
しかし、流石はジムリーダーのポケモンというべきか。火傷を負っても、気合いで辛うじて立ち上がっていた。
「シャドーボールを火炎放射で諸共燃やし尽くすとは……なかなか面白い戦法だね。じゃあこれはどうかな? ハーデリア、吠える!」
至近距離で咆哮を浴びせられ、強制的にキュウコンはボールの中へ戻っていく。
代わりに出てきたのはトゲキッスだ。彼女は自分が呼ばれてもいないのに、ボールから出てきたことに戸惑いを隠せないようだった。
更に動揺を誘う作戦なのか、ジムリーダーもハーデリアを引っ込めてミルホッグを繰り出し、黒い眼差しを指示する。
しかし、奇策も読まれてしまえば駄策へと成り下がるものだ。サニワは動揺することなく、トゲキッスを鼓舞させて補助技の指示を飛ばす。
「……大丈夫。電磁波」
「混乱させるのよ! ミルホッグ、怪しい光!」
鋼鉄の巨体はフィールドの空高く舞い上がり、電磁波を放つ。ところがミルホッグの放った光は、ふわふわと亡霊のようにトゲキッスの周囲を漂う。
思わず光を目にしたトゲキッスは混乱状態に陥ってしまった。
「……慌てる、だけ、ちがう……混乱、も」
「今更気付いたってもう遅いさ。ミルホッグ、10万ボルト! そして蹴手繰りだよ!」
「耐えて!」
ミルホッグの強烈な電撃がトゲキッスに直撃。トゲキッスは地面へ墜落し、追い討ちとばかりに強烈な蹴りが入る。10万ボルトは電気タイプの特殊技。タイプ不一致でも、効果抜群の電撃はかなり応えているようだ。
ジムリーダーは連続で攻撃の命令を出す。対するチャレンジャーは戸惑っているのか、指示も出さずにただ黙っているだけだ。
そしてかなりの時間電撃を放ち続けて疲れたのか、ミルホッグはついに片膝をついた。吐く息も絶え絶えた。
「……しなつちゃん、ミルホッグに波導弾」
「ミルホッグ! 躱すのよ!」
波導弾は格闘タイプの特殊技で、ミルホッグには効果抜群。更にサニワのトゲキッスが放つそれはミサイルのように追撃効果があり、回避は至難の業だ。その上同時にいくつもの球を抛射する。
疲労によりふらふらと足取りが覚束ないミルホッグの身体に、いくつもの青白い弾が襲いかかる。ミルホッグの身体は吹き飛ばされて壁へ激突した。
磔にされた戦闘不能状態のミルホッグのその様は、まるで磔刑にされたキリストのようであった。