第38話
蔦で覆われたプリズムタワー。その屋上に、幹部のクセロシキに案内され、アランは赴いていた。
「代表!」
「来たかアラン! どうだ。素晴らしいと思わないか? 君のお陰でシステムは完成したんだ」
「そんな……だって、まだ……」
「これが私の求めていた『平和』なのだよ! 見給え。見苦しいものがどんどん消えていく! 美しいではないか‼︎」
「街を壊し、人を傷つけ……これが貴方の言う『平和』だというのですか⁉︎ 貴方は……守るって!」
「あぁ。守るのは、選ばれた者のみだ」
フラダリの冷酷な言葉がアランへと突き刺さる。アランの脳内には、目を覚ましている頃のサニワの忠告が、鮮明に響いていた。
『あくまで小官の主観であり、憶測の域を出ませんが。フラダリ氏と関わるのは止めるべきだと、確信いたします。彼の狂気が、幕を上げる前に! 彼はメガシンカの平和利用、と語っておりましたが……彼の言う平和は、果たして本当の意味での平和なるものなのか、疑問を感じざるを得ません』
サニワの言葉に、素直に従えば。傾聴していれば。こんな悲惨な事件が起きなかったのだ。アランは後悔の念を抱いたが、もう遅かった。
暴走し続けるジガルデコア。我を失った片割れを正気に戻すべく、プニちゃんがプリズムタワーへ飛び、必死に呼びかける。ところが、その声も虚しく、もう一体のジガルデは洗脳されたまま破壊を続けていた。
プニちゃんを追いかけ、プリズムタワーを目指していたユリーカたち。しかしながら、次々に堅い地面を突き破って生えてくる蔦に進路を邪魔されて、まともに進むことすら難しい。
シトロンのレントラーがスピードスターを、セレナのテールナーが火炎放射で攻撃し続けているが、技を打ち続けているせいかスタミナも切れそうだ。
そんな中、背後から襲いかかってきた二本の蔦。テールナーやレントラーの攻撃では間に合いそうもない。
だがその蔦がシトロンたちに届くことはなかった。代理でジムを務めているシトロイドが、エレザードを引き連れて駆けつけたのである。
「シトロン様、お待たせしました! 我がご主人様のピンチとあれば、何処にでも参上します!」
「さすがだシトロイド! 力を貸してください。プリズムタワーまで行きたいんです!」
「もちろん!」
主人であるシトロンの願いを快諾したシトロイド。そのすぐ横から蔦が突き破り、シトロンたちを襲う。それは、炎を纏った強烈な蹴りで打ち砕かれた。メガバシャーモのブレイズキックだ。
「危なかったな、少年たち!」
「「バシャーモ仮面‼︎」」
先ほどのメガバシャーモの主人であるバシャーモ仮面。まだ原形を保っている屋根の上から飛び降り、シトロンたちの元へ舞い降りる。
「この私がきたからには、もう安心だ!」
「プリズムタワーに、事件の元凶があるみたいなんです。それをどうにかすれば、ミアレシティを守れます!」
「わかった、それは私が行こう。君たちは引き返しなさい」
シトロンたちに避難を促すバシャーモ仮面。シトロンはミアレジムのジムリーダーだ。簡単に「はいそうですか」と引き下がれるわけもない。だが、まだ若い少年たちが向かうには、あまりにも危険過ぎた。
シトロンたちによる必死の懇願に、渋々折れたバシャーモ仮面。身の危険を感じ取ったらすぐに逃げるように約束すると、自分の後ろに付いて行かせた。
もう一対のジガルデ・コアの元へ到着したプニちゃんは、何度も、必死に呼びかける。
その声すらもうるさいと言わんばかりに、洗脳されたジガルデは片割れへ竜の波動を放った。プニちゃんも同じ技で相殺しようにも、相手は50%フォルム、こちらは10%フォルム。威力が違い過ぎる。
効果抜群の技がプニちゃんへ炸裂。その衝撃で吹き飛ばされたプニちゃんは、地面へと叩きつけられた。
アランは理解ができなかった。代表は、フラダリは。あんなに立派な人だったのに。
守りたければ強くあれ。そう語ったフラダリが、どうして「守る」とは真反対の行動を取っているのだろう。
「アラン、君は何を守るのだ。今日よりも悪くなる明日か?」
悔しそうにぎゅっと拳を握りしめるアラン。その拳は力が入り過ぎたのか、小刻みに震えていた。
フラダリの元に、一本の連絡が入る。アランに聞き取れたのは、準備ができたという言葉だけ。
更に街を破壊する勢いを強めたのかと思いきや、彼らの元へ現れたのは四肢を拘束され、まるで磔にされたような体勢のサトシだった。彼だけでなく、抵抗できないように彼のポケモンたちも同じような機械で拘束されている。
目を覚ましたサトシは拘束を解こうと踠くが、まるでコンクリートで固められたかのようにびくともしない。
「フラダリさん、アラン! 何ですか⁉︎ 離してください‼︎」
「手荒な真似をして申し分ないが、そうはいかない。サトシ君、君は選ばれた人間かもしれないんだよ!」
フラダリの言葉に、サトシは息を飲む。
サトシの目前にいるジガルデは、己の手で壊れていくミアレシティをただずっと眺めており、その感情は全く読み取れなかった。
「代表!」
「来たかアラン! どうだ。素晴らしいと思わないか? 君のお陰でシステムは完成したんだ」
「そんな……だって、まだ……」
「これが私の求めていた『平和』なのだよ! 見給え。見苦しいものがどんどん消えていく! 美しいではないか‼︎」
「街を壊し、人を傷つけ……これが貴方の言う『平和』だというのですか⁉︎ 貴方は……守るって!」
「あぁ。守るのは、選ばれた者のみだ」
フラダリの冷酷な言葉がアランへと突き刺さる。アランの脳内には、目を覚ましている頃のサニワの忠告が、鮮明に響いていた。
『あくまで小官の主観であり、憶測の域を出ませんが。フラダリ氏と関わるのは止めるべきだと、確信いたします。彼の狂気が、幕を上げる前に! 彼はメガシンカの平和利用、と語っておりましたが……彼の言う平和は、果たして本当の意味での平和なるものなのか、疑問を感じざるを得ません』
サニワの言葉に、素直に従えば。傾聴していれば。こんな悲惨な事件が起きなかったのだ。アランは後悔の念を抱いたが、もう遅かった。
暴走し続けるジガルデコア。我を失った片割れを正気に戻すべく、プニちゃんがプリズムタワーへ飛び、必死に呼びかける。ところが、その声も虚しく、もう一体のジガルデは洗脳されたまま破壊を続けていた。
プニちゃんを追いかけ、プリズムタワーを目指していたユリーカたち。しかしながら、次々に堅い地面を突き破って生えてくる蔦に進路を邪魔されて、まともに進むことすら難しい。
シトロンのレントラーがスピードスターを、セレナのテールナーが火炎放射で攻撃し続けているが、技を打ち続けているせいかスタミナも切れそうだ。
そんな中、背後から襲いかかってきた二本の蔦。テールナーやレントラーの攻撃では間に合いそうもない。
だがその蔦がシトロンたちに届くことはなかった。代理でジムを務めているシトロイドが、エレザードを引き連れて駆けつけたのである。
「シトロン様、お待たせしました! 我がご主人様のピンチとあれば、何処にでも参上します!」
「さすがだシトロイド! 力を貸してください。プリズムタワーまで行きたいんです!」
「もちろん!」
主人であるシトロンの願いを快諾したシトロイド。そのすぐ横から蔦が突き破り、シトロンたちを襲う。それは、炎を纏った強烈な蹴りで打ち砕かれた。メガバシャーモのブレイズキックだ。
「危なかったな、少年たち!」
「「バシャーモ仮面‼︎」」
先ほどのメガバシャーモの主人であるバシャーモ仮面。まだ原形を保っている屋根の上から飛び降り、シトロンたちの元へ舞い降りる。
「この私がきたからには、もう安心だ!」
「プリズムタワーに、事件の元凶があるみたいなんです。それをどうにかすれば、ミアレシティを守れます!」
「わかった、それは私が行こう。君たちは引き返しなさい」
シトロンたちに避難を促すバシャーモ仮面。シトロンはミアレジムのジムリーダーだ。簡単に「はいそうですか」と引き下がれるわけもない。だが、まだ若い少年たちが向かうには、あまりにも危険過ぎた。
シトロンたちによる必死の懇願に、渋々折れたバシャーモ仮面。身の危険を感じ取ったらすぐに逃げるように約束すると、自分の後ろに付いて行かせた。
もう一対のジガルデ・コアの元へ到着したプニちゃんは、何度も、必死に呼びかける。
その声すらもうるさいと言わんばかりに、洗脳されたジガルデは片割れへ竜の波動を放った。プニちゃんも同じ技で相殺しようにも、相手は50%フォルム、こちらは10%フォルム。威力が違い過ぎる。
効果抜群の技がプニちゃんへ炸裂。その衝撃で吹き飛ばされたプニちゃんは、地面へと叩きつけられた。
アランは理解ができなかった。代表は、フラダリは。あんなに立派な人だったのに。
守りたければ強くあれ。そう語ったフラダリが、どうして「守る」とは真反対の行動を取っているのだろう。
「アラン、君は何を守るのだ。今日よりも悪くなる明日か?」
悔しそうにぎゅっと拳を握りしめるアラン。その拳は力が入り過ぎたのか、小刻みに震えていた。
フラダリの元に、一本の連絡が入る。アランに聞き取れたのは、準備ができたという言葉だけ。
更に街を破壊する勢いを強めたのかと思いきや、彼らの元へ現れたのは四肢を拘束され、まるで磔にされたような体勢のサトシだった。彼だけでなく、抵抗できないように彼のポケモンたちも同じような機械で拘束されている。
目を覚ましたサトシは拘束を解こうと踠くが、まるでコンクリートで固められたかのようにびくともしない。
「フラダリさん、アラン! 何ですか⁉︎ 離してください‼︎」
「手荒な真似をして申し分ないが、そうはいかない。サトシ君、君は選ばれた人間かもしれないんだよ!」
フラダリの言葉に、サトシは息を飲む。
サトシの目前にいるジガルデは、己の手で壊れていくミアレシティをただずっと眺めており、その感情は全く読み取れなかった。