第5話

「着きましたよ、主さま!」


 シッポウシティに到着したサニワたちは、早速ジムの場所を探し始める。
 色鮮やかな色彩を施された倉庫を目にしたサニワは、写真で見たカロス地方とは違って現代的だと感じていた。もちろん、双方ともに美しいのは変わりない。

 イッシュは現代的で革新的な美しさ、カロスは伝統を重んじるシックな美しさ。そして、ガラルはそれらを融合した美しさ。
 確実なのは、どの街も甲乙つけがたい素晴らしさを持っている、ということだ。

 確かシッポウシティのジョーイさんが言うには、「シッポウシティのジムはこの街自慢の博物館の中にある」「希望すれば誰でも貴重な資料を借りられる」とのことだった。
 もしかしたら、ソニアが執筆した書籍もあるかもしれない。表情は噯(おくび)にも出さないが、サニワは心を踊らせていた。とはいえ、サニワはこの世界の文字を解読できないのだが。

 サニワが博物館の中に入ると、そこには様々な展示物が飾られていた。
 カイリューの骨(骨格模型だろうか?)に、宇宙から飛来した隕石。とても頑丈な甲羅で守っていたポケモンの化石に、とあるポケモンが武器として所持していた骨。
 その中でもサニワが一際興味を唆られたのは、昔の人々が祭りの際に装着していたという仮面だった。
 神道でいう御神札(おふだ)のようなものだろうか、それとも大幣(おおぬさ)のようなものだろうか。

 審神者という職業柄、他の展示物そっちのけでしげしげと眺めていると男性に話しかけられた。
 それに驚いたサニワはびくりと肩を跳ねさせてすぐに後ろを振り返ると、そこにいたのは博物館の職員だろうか、スーツ姿の男性が佇んでいる。


「この仮面が気になるとは、非常に珍しい方ですね」
「……これ、使い方、知る、したい」
「(……なんか片言な喋り方だな)あぁ……これはですね、古代文明の遺跡で発見されたものです。何でも、お祭りの時に使用していたものだとか。それにしても、あちらのドラゴンの骨格標本やジム戦が目的でいらっしゃる方が多いんですが、熱心に仮面をじっとご覧になっていらっしゃったものですから、きっと優秀な考古学者だろうとは思っていたのですが」
「……ジム戦、願う、します。……学者、違う」
「おや、挑戦者の方でしたか。でしたらこちらですよ」


 彼はキダチと名乗り、ジムリーダーの夫であり副館長も務めている、と自己紹介を始める。
 彼の妻であるアロエは、この博物館の館長であり、シッポウジムのジムリーダーも務めるパワフルな女性だ。きっとシンオウ地方のチャンピオン・シロナとさぞ馬が合うことだろう。実際、彼女はシロナとも知り合いだった。
 アロエはちょうど明日から出張でジムを開け、その休みついでに博物館も秘宝展を開催する予定らしい。なんともタイミングの良い時に来れたようだ。
 運が良かった、とこんのすけは心の中でガッツポーズを決めた。
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