第25話
一方その頃、サトシたちはエスパーポケモンを連れたジュンサーに事情を聞かされていた。
彼女はエスパーポケモンを使った超能力犯罪を取り締まる特別な部署に所属しており、そのため彼女のパートナーもエスパーポケモンのダブランだった。
「ところで……。皆、身の回りで無くなったものはない?」
「あぁっ! ピカチュウ‼︎」
「キバゴじゃない‼︎」
「あれ、ニャースもサニワもいないぞ!」
サトシたちが眠っている間に、ピカチュウとキバゴが粗末な人形に差し替えられており、鞄に入ったモンスターボールも盗まれていたのだ。
慌てて部屋を出て木造の廊下を駆け抜けると、すぐに雁字搦めにされたピカチュウたちを見つけた。オーベムによって超能力で宙に浮かんでいる。早速取り返そうとアイリスは追いかけるスピードを増すも、彼女の目前に頑丈な檻が出現し、それは叶わなかった。
そして、襖が倒れたかと思うと、タキシード姿に丸眼鏡をかけ、サルバドール=ダリのような髭を生やした胡散臭さ満載の男が奥から飛び出した。
「ボンジュールざんす! ミーは夢の大泥棒・レオン様ざんす‼︎ オーッホホホホ‼︎」
呑気に挨拶してくるくると舞い踊る男を他所に、サトシはジュンサーへ説明を求めた。
ここはオーベムの作った夢の中の世界で、不思議な事が連続して起きたのも、このオーベムの仕業。ジュンサーはダブランの力を使い、この夢の中へ入ることが出来たのだ。
「だから『夢の大泥棒』と自己紹介したざんす! 素敵な夢の代わりに、皆様のポケモンをいただくざんす!」
一方的に別れを告げると、レオンと名乗った泥棒はすたこらさっさと逃げ出した。
オーベムの夢から脱出しない限り、ピカチュウたちを助け出す事はできない。夢から脱出するには、皆が起きている状態で、夢の非常口にサイコパワーをぶつける必要があるのだ。
視力の良いアイリスは、真っ先に当番表の札の中に描かれたピクトグラムを発見した。すぐさまダブランがサイコウェーブで攻撃すると、周囲が眩い光に包まれる。
そして目を覚ますと、キャンプ予定地のあの原っぱの上に座り込んでいた。
アイリスの指差す先には、今にも袋に詰め込まれそうなピカチュウたちの姿があった。
すぐさま阻止しようとダブランはサイコウェーブにサイコショック、ラスターカノンと、連続して攻撃を繰り出した。それは全てオーベムに命中。
効果は今一つだが、こんなに攻撃が当たればオーベムも倒れているはずだ。ところが、土煙が晴れると、そこには何もなかったようにオーベムが宙に浮かんでいた。
今度はオーベムがエナジーボールで反撃する。ダブランは守るでバリアを展開するも、全く効果がなく吹き飛ばされ、一発で目を回した。
こちらの攻撃が効かず、守るも突破されるだなんておかしい。
ジュンサーが心配そうにダブランを抱き上げる中、デントが指し示す先には、満月と三日月の二つが浮かんでいた。ここはオーベムの夢の中の世界だったのだ。
確かにサトシたちの目は開いているが、誘拐されたピカチュウやキバゴたちは未だに深い眠りに就いていた。
サトシたちの声で、ピカチュウやキバゴ、サニワははっきりと覚醒し、彼女がこんのすけとニャースを揺さぶり起こす。こんのすけは何とか目を覚ましたが、ニャースは面倒そうに欠伸するだけ。
その態度に苛立ったのか、サニワはニャースの首根っこを引っ掴むと彼の頬を引っ叩いた。
流石にこの衝撃で眠り続けることは不可能なのか、ニャースはジタバタしてサニワへ文句を告げるも、彼女の鋭い眼差しですぐに押し黙った。
「おミャー、ニャーににゃんて酷い事するのニャ!」
「おはようございます。主さま、どうやら化け猫風情はピカチュウさまの10万ボルトの方がお好みのようで」
「いえいえ、とんでもないですニャ! サニワ様のビンタは我々の業界ではご褒美ですのニャア⁉︎」
ピカチュウのアイアンテールがニャースの脳天に炸裂し、ニャースは地面に叩きつけられた。その有り余る勢いは、ニャース型のクレーターが出来るほどだ。
流石に今の衝撃で眠ることはないだろう。サニワはホッとしてニャースを抱き上げると、彼の目はぐるぐると回っており、完全に気絶していた。
「……やりすぎ?」
「うわあぁ! 気絶しちゃ駄目ー‼︎」
慌ててニャースの身体を上下に揺さぶるサニワ。基本的に冷静沈着なはずの彼女だが、気絶するとは思わなかったのでもう一度頬を引っ叩こうとするも、それはデントに止められる。
無表情でデントを見るサニワ。しかし彼女の目は困惑が見て取れた。
安心させるように彼が取り出したのは、夕飯に使う予定だった大量のフィラのみ。それをニャースの口にありったけの量を詰め込んだ。
「さぁ食べて、フィラのみだよ!」
咀嚼させた途端、ニャースの目が覚醒する。彼の口からは炎が吹き出し、辛い辛いと駆け回った。これで当分二度寝することはないだろう。
サニワがくいくい、とジュンサーの制服の裾を引っ張った。彼女が指し示す先には、満月のクレーター。それが非常口の模様になっていた。月に向かってダブランのサイコウェーブが炸裂し、周囲は眩い光に包まれた。
彼女はエスパーポケモンを使った超能力犯罪を取り締まる特別な部署に所属しており、そのため彼女のパートナーもエスパーポケモンのダブランだった。
「ところで……。皆、身の回りで無くなったものはない?」
「あぁっ! ピカチュウ‼︎」
「キバゴじゃない‼︎」
「あれ、ニャースもサニワもいないぞ!」
サトシたちが眠っている間に、ピカチュウとキバゴが粗末な人形に差し替えられており、鞄に入ったモンスターボールも盗まれていたのだ。
慌てて部屋を出て木造の廊下を駆け抜けると、すぐに雁字搦めにされたピカチュウたちを見つけた。オーベムによって超能力で宙に浮かんでいる。早速取り返そうとアイリスは追いかけるスピードを増すも、彼女の目前に頑丈な檻が出現し、それは叶わなかった。
そして、襖が倒れたかと思うと、タキシード姿に丸眼鏡をかけ、サルバドール=ダリのような髭を生やした胡散臭さ満載の男が奥から飛び出した。
「ボンジュールざんす! ミーは夢の大泥棒・レオン様ざんす‼︎ オーッホホホホ‼︎」
呑気に挨拶してくるくると舞い踊る男を他所に、サトシはジュンサーへ説明を求めた。
ここはオーベムの作った夢の中の世界で、不思議な事が連続して起きたのも、このオーベムの仕業。ジュンサーはダブランの力を使い、この夢の中へ入ることが出来たのだ。
「だから『夢の大泥棒』と自己紹介したざんす! 素敵な夢の代わりに、皆様のポケモンをいただくざんす!」
一方的に別れを告げると、レオンと名乗った泥棒はすたこらさっさと逃げ出した。
オーベムの夢から脱出しない限り、ピカチュウたちを助け出す事はできない。夢から脱出するには、皆が起きている状態で、夢の非常口にサイコパワーをぶつける必要があるのだ。
視力の良いアイリスは、真っ先に当番表の札の中に描かれたピクトグラムを発見した。すぐさまダブランがサイコウェーブで攻撃すると、周囲が眩い光に包まれる。
そして目を覚ますと、キャンプ予定地のあの原っぱの上に座り込んでいた。
アイリスの指差す先には、今にも袋に詰め込まれそうなピカチュウたちの姿があった。
すぐさま阻止しようとダブランはサイコウェーブにサイコショック、ラスターカノンと、連続して攻撃を繰り出した。それは全てオーベムに命中。
効果は今一つだが、こんなに攻撃が当たればオーベムも倒れているはずだ。ところが、土煙が晴れると、そこには何もなかったようにオーベムが宙に浮かんでいた。
今度はオーベムがエナジーボールで反撃する。ダブランは守るでバリアを展開するも、全く効果がなく吹き飛ばされ、一発で目を回した。
こちらの攻撃が効かず、守るも突破されるだなんておかしい。
ジュンサーが心配そうにダブランを抱き上げる中、デントが指し示す先には、満月と三日月の二つが浮かんでいた。ここはオーベムの夢の中の世界だったのだ。
確かにサトシたちの目は開いているが、誘拐されたピカチュウやキバゴたちは未だに深い眠りに就いていた。
サトシたちの声で、ピカチュウやキバゴ、サニワははっきりと覚醒し、彼女がこんのすけとニャースを揺さぶり起こす。こんのすけは何とか目を覚ましたが、ニャースは面倒そうに欠伸するだけ。
その態度に苛立ったのか、サニワはニャースの首根っこを引っ掴むと彼の頬を引っ叩いた。
流石にこの衝撃で眠り続けることは不可能なのか、ニャースはジタバタしてサニワへ文句を告げるも、彼女の鋭い眼差しですぐに押し黙った。
「おミャー、ニャーににゃんて酷い事するのニャ!」
「おはようございます。主さま、どうやら化け猫風情はピカチュウさまの10万ボルトの方がお好みのようで」
「いえいえ、とんでもないですニャ! サニワ様のビンタは我々の業界ではご褒美ですのニャア⁉︎」
ピカチュウのアイアンテールがニャースの脳天に炸裂し、ニャースは地面に叩きつけられた。その有り余る勢いは、ニャース型のクレーターが出来るほどだ。
流石に今の衝撃で眠ることはないだろう。サニワはホッとしてニャースを抱き上げると、彼の目はぐるぐると回っており、完全に気絶していた。
「……やりすぎ?」
「うわあぁ! 気絶しちゃ駄目ー‼︎」
慌ててニャースの身体を上下に揺さぶるサニワ。基本的に冷静沈着なはずの彼女だが、気絶するとは思わなかったのでもう一度頬を引っ叩こうとするも、それはデントに止められる。
無表情でデントを見るサニワ。しかし彼女の目は困惑が見て取れた。
安心させるように彼が取り出したのは、夕飯に使う予定だった大量のフィラのみ。それをニャースの口にありったけの量を詰め込んだ。
「さぁ食べて、フィラのみだよ!」
咀嚼させた途端、ニャースの目が覚醒する。彼の口からは炎が吹き出し、辛い辛いと駆け回った。これで当分二度寝することはないだろう。
サニワがくいくい、とジュンサーの制服の裾を引っ張った。彼女が指し示す先には、満月のクレーター。それが非常口の模様になっていた。月に向かってダブランのサイコウェーブが炸裂し、周囲は眩い光に包まれた。