第24話

 ライモンシティへ向かう道中の、とある日の昼下がり。
 デント特製のサンドイッチを、サトシとアイリスは美味しそうに頬張っていた。サニワは何か気配を感じたようで、食事も取らずに近くで佇む木の周辺を捜索している。

 そこには、意識を失ったカントーのニャースが倒れていた。イッシュ地方にはニャース自体生息していない。恐らく、ヒトモシの騒動の際に共闘したロケット団の喋るニャースで間違いないだろう。
 神力による治療を施すため、彼にそっと手を翳すサニワ。もちろん、こんのすけがぎょっと彼女を二度見したのは言うまでもない。


「主さま⁉︎ 正気ですか⁉︎ このニャースは悪の組織に所属しているポケモンですよ‼︎」
『……だが、周囲に自分たちしかいないだろう。なに、ちょうど聞きたい事もあったからな。絶好の機会だ」
「それも、そう、ですね……」


 主人の考えに納得がいった管狐は、彼女の近くでじっとその様子を眺めていた。
 眷属に堕ちないよう、少しずつ、自らの力を注いでいくサニワ。その効果は覿面で。それから少しして、堅く閉ざされていたニャースの目蓋は開いたのだった。


「ここはどこニャ……? にゃにゃ、おみゃーたちは⁉︎」
「安心しろよ。俺たちは倒れていたお前を手当てしただけだ」
「……ロケット団、ここ、いるの、変。……何、してた?」
「ミャーはもうロケット団じゃないのニャ!」


 そう言って立ち去ろうとしたニャース。しかし、突如ニャースの足元が光ったと思うと、四方八方を視えない障壁に閉じ込められてしまった。治療する前にサニワが仕掛けておいた結界が発動したのだ。
 徐々に視えない壁が迫ってくる。このままでは押し潰されると感じたニャースは、ロケット団を脱退する訳を語ったのだ。

 ニャースたち三人組は、とある作戦を遂行していたが失敗してしまった。
 その事実は本部にも届き、懲戒解雇されてしまった。その上、スリーマンセルを組んでいた二人にも見放され、路頭に迷い行き倒れたらしい。
 話を聞いたデントは同情したのか、自分たちの旅に同行するように提案した。だがサニワは全く信用していない。ニャースを射抜くその冷たい双眸は、それを物語っていた。


「……ニャース。わたし、あなた、信じられない」
「どうしてよ、辻褄は充分合うわ」
「……普通、失敗、消す、される。……侵入の、仕事、尚更」
「それじゃ、このままひとりぼっちで暮らしていけっていうのか⁉︎」
「……でも、わたし、反対! 絶対、悪い事、考える!」
「私も主さまと同意見です」


 キッパリと言い放ったサニワと、彼女に同調するこんのすけ。しかし彼女が忠告したにもかかわらず、サトシたちはニャースを連れて行くつもりらしい。
 旅に同行できると知ったニャースの表情は、一気にポジフォルム状態のチェリムのような、晴れやかなそれとなった。
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