第3話
周囲に誰もいないことを確認したこんのすけは、この世界にきた訳をぽつり、ぽつりと語り始めた。
「……実は、主さまはこの世界に囚われているのです」
「……それって、つまりどういうことだい?」
訳がわからない、と小首を傾げる緑髪の男性。
サニワはこの世界で囚われることになった事の顛末を、淡々とした口調で、語り始めた。
「……主さまが、ガラル地方のチャンピオンを務めているのはご存知ですか?」
「当然です! その瞬間を、コーンはこの目でしかと見届けましたから!」
「さすがにスタジアムじゃなくてテレビ越しだけどね。でもあの時は本当に感動したよ!」
「この世界に最初に来たきっかけは、少々ごたつきがございまして。当時、主さまは別の本丸を担当しており、あまり良い思い出がなかったものでしたから、本丸に帰りたくなかったそうです。ですが、主さまを見つけ出した刀剣男士たちの手により、無理矢理帰還することになりました」
その後、誘拐されるかたちだったとはいえ、別の本丸の審神者となり、刀剣男士との関係はもちろん良好だ。
様々な理由が重なって、時間遡行軍がウツロイドに寄生された際、とある地方に時間遡行軍が出現する事態があった。その事態の収束に、ポケモントレーナーとしての経験があるサニワと彼女の刀剣男士たちが買って出たのだ。
しかも、事態収束に要した時間は、彼女がにこちら来て五日という驚異的な速度。彼らと良好な関係を築いていなければ、こんなにも早く収まりがつくことがないだろう。
しかし、最早崇拝の対象としてサニワを捉えているダンデたちは「サニワの迅速かつ的確な行動のおかげで事態が収束した。だが、彼女はまだ彼らに虐げられているはずだ」と曲解しているまま。
彼らは「ワイルドエリアでの行方不明者の捜索に協力して欲しい」とサニワを呼び出すと、すぐさま本丸への転送装置を破壊したのだ。
「ストックホルム症候群だ」と決めつけ、一切彼らは「サニワのためだ」と揺るがない。特にダンデとキバナは、聞く耳すらも持たなかった。
「……そんなことが」
「……今はジムを巡りながら、どうにかして元の世界へ帰還する術を捜索中、というところです」
沈黙が部屋を支配する。しんみりとした空気が流れ、まるで通夜のような雰囲気だ。だが、それを全く気に留めないサニワは人形のように、ずっと黙り込んでいた。
本来の目的は、この街にあるジムに挑戦することである。サニワがガタリと席を立ち、会釈して部屋を後にしようとすると、コーンは慌てて彼女の腕を掴む。
「ま、待ってください! どちらに行かれるんですか⁉︎」
「あぁ……この街にジムがあると聞き、主さまはそこに挑戦したいのです。お忙しい中お邪魔して、申し訳ございません」
「そうだったんですね。……では、また明日こちらにいらしてください。今日はもうお休みですから」
今日はお仕事がお休みなので、ジムに予約の手続きを済ませるようだ。
まるで彼らがジムを経営しているかのような物言いに、サニワは疑問を抱いたが、明日挑戦できるのであればきっと問題ないだろう。
「あの、お金、紅茶……」
「気にしないで。コーンの命の恩人に、お金なんて頂けないよ」
「……でも」
「いーからいーから、気にすんなって! コーンも好きでやったことだろうし!」
従業員が頑なにお金を受け取らなかったので、サニワはお言葉に甘えてご馳走になることにした。
今日はポケモンセンターをお借りして、今日一日はこの街に滞在していよう。
今後の段取りが決まったので、妖狐は主人の肩へ飛び乗り、サニワが軽く頭を下げて店を後にする。店の従業員はにこやかに送り出してくれた。
再びポケモンセンターに戻ったサニワたちは、バトルフィールドを借り、明日のジム戦に備えるのだった。
「……実は、主さまはこの世界に囚われているのです」
「……それって、つまりどういうことだい?」
訳がわからない、と小首を傾げる緑髪の男性。
サニワはこの世界で囚われることになった事の顛末を、淡々とした口調で、語り始めた。
「……主さまが、ガラル地方のチャンピオンを務めているのはご存知ですか?」
「当然です! その瞬間を、コーンはこの目でしかと見届けましたから!」
「さすがにスタジアムじゃなくてテレビ越しだけどね。でもあの時は本当に感動したよ!」
「この世界に最初に来たきっかけは、少々ごたつきがございまして。当時、主さまは別の本丸を担当しており、あまり良い思い出がなかったものでしたから、本丸に帰りたくなかったそうです。ですが、主さまを見つけ出した刀剣男士たちの手により、無理矢理帰還することになりました」
その後、誘拐されるかたちだったとはいえ、別の本丸の審神者となり、刀剣男士との関係はもちろん良好だ。
様々な理由が重なって、時間遡行軍がウツロイドに寄生された際、とある地方に時間遡行軍が出現する事態があった。その事態の収束に、ポケモントレーナーとしての経験があるサニワと彼女の刀剣男士たちが買って出たのだ。
しかも、事態収束に要した時間は、彼女がにこちら来て五日という驚異的な速度。彼らと良好な関係を築いていなければ、こんなにも早く収まりがつくことがないだろう。
しかし、最早崇拝の対象としてサニワを捉えているダンデたちは「サニワの迅速かつ的確な行動のおかげで事態が収束した。だが、彼女はまだ彼らに虐げられているはずだ」と曲解しているまま。
彼らは「ワイルドエリアでの行方不明者の捜索に協力して欲しい」とサニワを呼び出すと、すぐさま本丸への転送装置を破壊したのだ。
「ストックホルム症候群だ」と決めつけ、一切彼らは「サニワのためだ」と揺るがない。特にダンデとキバナは、聞く耳すらも持たなかった。
「……そんなことが」
「……今はジムを巡りながら、どうにかして元の世界へ帰還する術を捜索中、というところです」
沈黙が部屋を支配する。しんみりとした空気が流れ、まるで通夜のような雰囲気だ。だが、それを全く気に留めないサニワは人形のように、ずっと黙り込んでいた。
本来の目的は、この街にあるジムに挑戦することである。サニワがガタリと席を立ち、会釈して部屋を後にしようとすると、コーンは慌てて彼女の腕を掴む。
「ま、待ってください! どちらに行かれるんですか⁉︎」
「あぁ……この街にジムがあると聞き、主さまはそこに挑戦したいのです。お忙しい中お邪魔して、申し訳ございません」
「そうだったんですね。……では、また明日こちらにいらしてください。今日はもうお休みですから」
今日はお仕事がお休みなので、ジムに予約の手続きを済ませるようだ。
まるで彼らがジムを経営しているかのような物言いに、サニワは疑問を抱いたが、明日挑戦できるのであればきっと問題ないだろう。
「あの、お金、紅茶……」
「気にしないで。コーンの命の恩人に、お金なんて頂けないよ」
「……でも」
「いーからいーから、気にすんなって! コーンも好きでやったことだろうし!」
従業員が頑なにお金を受け取らなかったので、サニワはお言葉に甘えてご馳走になることにした。
今日はポケモンセンターをお借りして、今日一日はこの街に滞在していよう。
今後の段取りが決まったので、妖狐は主人の肩へ飛び乗り、サニワが軽く頭を下げて店を後にする。店の従業員はにこやかに送り出してくれた。
再びポケモンセンターに戻ったサニワたちは、バトルフィールドを借り、明日のジム戦に備えるのだった。