第一話
夢小説設定
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「ぐっ……う……」
死にかけの獣のような声が、渇いてくっつき合った喉から洩れた。
地面に手をついて起きあがろうにも、腕に力が入らない。
……そういえばここ数日、米の一粒さえ口に入れてなかったな。
倒れるのも当たり前か。
……にしても、ついてない。
京まであと数日で着くって時に、追い剥ぎに遭って、僅かな路銀を奪われちまうなんて。
俺は、もう……おしまいなのか?
こんな山の中で、誰にも気付かれずにくたばっちまうのか……!?
────そう思った時だった。
「そこの野良犬。俺の声が聞こえているなら返事をしろ」
「……………」
頭上から飛んできた男の声。
男は、無反応なままの俺に苛立った様子で舌打ちをする。
「話す事が出来ぬでも、頷くぐらいは出来るだろう」
焦点がろくに合わない両目で、俺はその男の姿を捉えた。
高価そうな着物に身を包み、腰には二本の刀を差している。
……一目で武士だと分かる、その風体。
生まれつき自分達には価値があると信じて疑っていない、傲岸な眼差し。
その佇まいに、存在そのものに……吐き気を覚える。