争う事の意味
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「ほたる」
背後から掛けられた声に、俺は振り返る事が出来ない。
足音が、近付いてくる。
『…………』
これは、会津に辿り着いてから少し経ったある夜の事────。
月が煌々と輝き、真っ暗な夜の闇を照らしていた。
月光というのは不思議なもので、ただ眺めていると、心做しかざわついていた気持ちが落ち着いてくる気がする。
「……泣いているのか?」
静かに俺の横に並んだ彼は、そっと俺の頬に手を添えた。
一君の親指が、優しく目の下をなぞる。
そのまま何も言わずゆっくりと手を離すと、彼は夜空を見上げた。
緩やかな風が、時折吹き抜けていく。
互いに言葉を発する事なく、ただ時間だけが過ぎていった。