母の温もり
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「じゃあ、縁があったらまた会おうな」
そう言って、オレは歩き出す。
「お前と話せて良かった。ありがとな。────ほたる」
すれ違いざま、オレは彼奴にだけ聞こえる声でそっと告げた。
雑踏の中に紛れ一人歩きながら、オレは行き交う人に目を向ける。
急ぎ足の商人だったり、呼び込みをする八百屋のおっちゃんだったり、世間話に没頭するおばちゃん集団がいたり、町はがやがやと騒がしく、賑やかだった。
その中でオレ一人がぽつんと取り残されたような、そんな虚しさを感じるのは、彼奴が……ほたるがもう隣にいないからなのだろうか。
────その時、若い女の人と小さな子供が仲良く手を繋いで歩いてくるのが目に入る。
その姿に、オレはふと、昔の彼奴を思い出す。
そう、あれはまだ、試衛館にいた頃の事────。