失いたくないもの
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「しかし、すげえ雨だな」
『そうですね……川が氾濫しなければ良いのですが』
副長の用事に付き合って外出していた俺は、横を流れる川に目を向ける。
梅雨真っ只中の今。
連日振り続く雨のせいで、川の水も日頃より随分増していた。
「そういや、この間近藤さんと稽古したんだってな。近藤さん、喜んでたぜ?」
『はい。久しぶりに、試衛館の頃を思い出しました。次はぜひ副長も一緒に────』
そう言い掛けた時だった。
ドボン、という鈍い音が耳を掠める。
「だっ、誰かっ!誰か助けて!!」
切羽詰まった声に振り返る。
『っ!?』
川に向かって叫んでいる女性の視線を追う。
視界に留まったのは、川の流れに呑まれそうになっている子供の姿だった。