桃の節句
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屯所を騒がせた迷い猫騒動から、そう日も経っていないある日の事。
「……ご苦労だったな。下がって良いぞ」
任務から戻った俺は、報告をする為副長の部屋に居た。
『あの、副長。ちょっとお願いがあるのですが……』
「ん?何だ」
『千鶴ちゃんを連れて、出掛けてきても良いですか?』
「雪村と……?」
俺の申し出に、副長が怪訝そうに眉を寄せる。
『はい。だって今日は────桃の節句ですから』
三月三日。
雛祭りは、女子の健やかな成長を祈る節句の年中行事。
雛人形に桜や橘、桃の花など木々の飾り、雛あられや菱餅などを供え、白酒やちらし寿司などの飲食を楽しむ節句祭り。
『千鶴ちゃんだって、やっぱりそういうの好きだと思うんです。だけど彼女、自分からそんな事言う子じゃないですし、だからと言って新選組の屯所に雛人形を飾るなんて出来ないし……。この間、吊るし雛が沢山飾られているお店を見つけたので、そこに連れて行ってあげたいなと思ったのですが……』
「……なるほどな」
俺の話を聞いた副長は、そう呟くと、ふっと笑みを洩らす。
「そういう事なら、良いだろう。お前が一緒なら、滅多な事にはならねえだろうしな。行ってこい」
『ありがとうございます!』
こうして俺は、千鶴ちゃんを連れて京の町へと出掛けたのだった。