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今日はあまり風もなく、幾分寒さも和らいで過ごしやすい朝だった。
中庭に面した縁側で刀の手入れをしていた俺の元に、ひとつの足音が近付いてくる。
これは……。
この足音が誰のものであるかは、振り返らずとも分かる。
「ほたるか?」
『さすがだね、一君。大正解』
そう言うとほたるは俺の横に腰を下ろした。
『本当、マメだよね。一君は』
「己と運命を共にする刀だ。手入れを怠れば、それは即ち死に直結するからな」
『ご尤も』
するとほたるは、大きく背伸びをし、そのままごろんと後ろに寝そべった。
『ん~っ、何かぽかぽかして気持ち良いなぁ』
「ほたる。いくら日差しがあるからと言って、此処は少し冷えるだろう。自室で休んだ方が良いのではないか」
床はひんやり冷たく、こんなところでは身体を冷やしてしまう。
そう思い声を掛けたのだが……。