偽り
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『あれ?……伊庭さん!こんにちは』
任務から戻った俺は、雨の中傘を差して屯所の前に佇む人物へと声を掛ける。
「ほたるちゃん。こんにちは。今お帰りですか?お疲れ様です」
振り返った彼は、いつもの穏やかな声音で言いながら微笑んだ。
『伊庭さんは……副長に御用ですか?宜しければ俺がご案内します。その前に、これを』
懐から手拭いを取り出し、彼へと手渡す。
「ありがとうございます。ですがこれは、ほたるちゃんが使って下さい。風邪でも引いたら大変ですから」
そう言うと伊庭さんは、その手拭いで俺の頬をそっと拭った。
目を瞬かせる俺に、伊庭さんは優しく微笑む。
「……そういえば、先日お邪魔した時に隊士の方々が噂をしているのを耳にしたのですが、この屯所には幽霊が出るのですか?」
『はい!?』
「残念ながらあの日、あなたは外出中で会う事が出来なかったのですが……今度会ったら聞いてみようと思っていたんです」
『そ、それは……』
「何でも、すごく可愛らしい幽霊だとか」
『…………』
「……冗談ですよ。今日は、あなたに会えて良かったです」
言葉に詰まった俺を見て、伊庭さんはくすっと笑った。