月光
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自室へと続く廊下を進んで行くと、月明かりに照らされた人影が浮かび上がった。
だがそれはすぐに、月に重なった雲によって光を失い、目の前から消える。
「ほたる」
不意に名を呼ばれた彼奴は、驚いてその場に立ち上がった。
『……っ……副長?こんな時間にどうされたんですか?』
「そりゃこっちの台詞だ。こんなところで何やってんだ、お前は」
俺は溜め息を吐きながら、ほたるの元へ近付いた。
『ええと……夕涼み?』
「この時期この時間に、そんな事する奴があるか」
相変わらず、嘘が下手だな……。
ほたるの前に立った時、雲に隠れていた月がちょうど顔を出す。
半分だけ月明かりに照らされた彼奴の瞳と、俺の視線がぶつかった。
……泣いて、いたのか。
『副────』
ほたるの言葉を最後まで聞かず、彼奴の顔に手を伸ばす。
目の下に残っていた涙を優しく拭うと、彼奴はバツが悪そうに目を逸らした。
「……冷えてるぞ。さっさと部屋に戻れ」
俺はほたるから手を離し、その場を後にする。
『……寝よっか……』
小さく呟いたほたるの声が、聞こえてきた。