涙
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ちらちらと蝋燭の灯りが揺れる。
淡く空間を照らすそれは、ほたるの頬にも紅を映し、辺りを染めた。
その頬に、そっと指を伸ばす。
だが、そこはひんやりと冷たくて。
僕は、ほたるに掛けられた毛布を、首元まで少し引き上げた。
“そう、じ……?”
僕の声に、先刻のほたるの表情と声が、頭を掠める。
瞳を揺らし、小さく震えていた彼女。
あの場で何が起こったのか……そんな事、聞かなくたって理解出来た。
もう少し早く、僕が駆け付けていたのなら────。
ほたるは、傷付かずに済んだのかもしれない。
彼女のあんな姿を、見なくて済んだのかもしれない。
そして、ほたるは意識を手放した。
その刹那、彼女の瞳から、ぽろりと雫が零れ落ちるのを、僕は見逃さなかったんだ。
「……君に涙は、似合わない」
僕は、ぼんやりと、彼女に初めて会った日の事を考えていた────。