第二百七十二話
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今年もまた、桜の季節が訪れる。
幻のように艶やかで、人の目を惹き、そして儚く散ってゆく花────。
桜はどこか、彼らを思い出させる。
毎年この季節が来る度に、私はそう思っていた。
もし、もしも私が女ではなく男だったら、彼らの仲間になれたんだろうか。
共に戦い、時には背中を預け、信念の為に剣を振るいながら皆と歩んでいけたんだろうか。
少なくとも、見える景色は違っただろう。
私の記憶の中にある彼らの姿で、最も鮮明なのは、背中だ。
守られてばかりだった私は、何度も何度も彼らの背中を見てきた。
背中ばかり、見つめていた。
はらはら、はらはら。
花びらは躊躇いもなく舞い落ちる。
そんなに急がないで、と願っても、私の声は届かない────。