第二百二十話
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「あの……、原田さん、父様は本当にこの道を通るんですか?」
「多分な。あれだけの数の羅刹を連れて移動出来る道は、限られてる。連中もまだ、羅刹をなるべく人目には晒したくねえはずだ。とすると、夜のうちに動くしかねえ。……兵士の死体が腐り切らねえ今晩のうちに来ると思うぜ」
慶應四年五月十五日────。
上野寛永寺において立て籠もっていた彰義隊に対し、新政府軍が攻撃を仕掛けた事から激しい戦闘が始まった。
雨の中、彰義隊と新政府軍の間で戦争が勃発し、夕方には全てが終わる。
羅刹を動かす為には、多くの血が必要だ。
羅刹達は血を得る為、大きな戦のあったところ……、上野寛永寺に集まってくるはず。
私達は、寛永寺に続く山道で、父様がやってくるのを待った。
────と、その時。
何者かの足音が聞こえてくる。
それも、十や二十ではない。
こんな夜中に、しかも既に戦闘が終わった場所を軍隊が通過するなんて事もないはず。
という事は……。
「……やっぱり来やがったか。千鶴、お前は茂みに隠れてろ。絶対に出てくるんじゃねえぞ」
原田さんがそう言って、立ち上がった時だった。
「よく此処が分かったな、原田」