第百八十四話
夢小説設定
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新八さんと左之さんが出掛けて行ってから、数刻ほど経った頃────。
「……それなら、この道をまっすぐ行って三つ目の角を左に曲がって……」
表から左之さんの声が聞こえてきて、俺は外へと出る。
「あ、なるほど!この地図にあるこの建物が、あそこの魚屋さんですか。ありがとうございます、助かりました!」
「この辺りは、道が入り組んでるからな。初めてだと、迷うのも無理ねえよ」
どうやら、女性に道を聞かれていたらしい。
少し離れた場所からは、二人が寄り添っているようにも見えた。
「しかし、こんな夜遅く、女が出歩くのは危ないぜ。一緒に行ってやろうか?」
「いえ、家人が近くまで迎えに来てくれてると思いますので大丈夫です。それじゃ、本当にありがとうございました!助かりました」
女の人は何度もお礼を言って、左之さんの傍を離れた。
そこで漸く左之さんが俺の方を振り返る。
「お、ほたる、ただいま。どうしたんだ?暗い顔して」
『えっ?いや、その……』
何を言えば良いのか分からず、俺は強ばった笑顔で視線を彷徨わせる。
「……今の女なら、道を聞かれたから教えてただけだぜ」
『あ、うん、そうだよね。分かってる』
分かっているはずなのに……、俺はまるで足の裏に根が生えたようにその場から動けずにいた。