第百七十七話
夢小説設定
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それからも俺達は行軍を続け、遂に甲府へと辿り着いた。
「……まさか、甲府の城がとっくに敵の手に落ちちまってるとはな」
副長が、深刻な面持ちで呟く。
「もっと早く着く方法は、いくらでもあったんじゃねえの?誰かさんが、のんびり酒盛りなんてしてなきゃな」
「……新八、やめとけって。向こうがこんだけ早く辿り着くなんて予想出来ねえよ、普通は」
『しかも、この話を聞いた隊士の殆どが、昨夜のうちに脱走したみたいだね。今残ってるのは、百人ほど……か』
江戸を出たばかりの頃は、確か三百人ほどの人がいたはず。
まさか甲府に着くまでに、隊士の半分が逃げ出してしまうとは……。
「斎藤さん、この後どうなってしまうんでしょうか……。敵に取られてしまったお城を、もう一度取り戻すんですか?」
視線を移せば、千鶴ちゃんが不安そうに一君へと尋ねていた。
「……それは、恐らく無理だ。城を攻めるには、少なく見積もっても相手の三倍の兵力が要る。確実な勝利を目指すならば、十倍の兵が必要だ。しかもこれは、互角の武器を持っていた場合。鳥羽伏見で戦った薩長軍のような近代兵器を持った敵を相手にするのなら、更に多くの人員が必要だろう」
「それじゃ……」
皆の視線が、決定を促すように局長へと注がれる。