第百七十六話
夢小説設定
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「……そろそろ、夜が明けるな。陣中に、戻るか」
『うん、そうだね』
虫の鳴き声が響く中、既に寝静まった陣へ戻ろうとした時だった。
「うっ……!」
不意に、一君の口から呻き声が洩れた。
『一君!?どうしたの!?』
慌てて駆け寄ると、一君は傍らにある樹木に手を掛け、きつく爪を立てた。
頻りに歯を食いしばりながら荒い呼吸を繰り返し、全身に脂汗を滲ませている。
これは……。
『血が……、呑みたいんだよね?』
だけど、一君は答えない。
『一君……!俺の血を……呑んで……!』
その言葉に、一君は無言で首を振る。
このまま放っておけば治まる、と言おうとしているみたいだけど……。
発作の苦しさに、もはや、意味をなす言葉すら口に出来ないようだった。
その振る舞いが逆に、彼が切実に血を欲している事を告げている。