第百七十四話
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新選組は【甲陽鎮撫隊】と名を改め、八王子経由で甲府に向かう事となる。
局長は途中、故郷に錦を飾りたいという事で隊士達と別行動を取る事になった。
「……近藤さん、まだ追い付いてこねえのか?いつまで宿で酒盛りしてるつもりだよ」
「ま、久々の故郷だしな。偉くなったところを見せて回りてえんじゃねえの?久しぶりに嫁さんと娘にも会いてえだろうし」
「偉くなったところを、って……、これから戦なんだぜ?そんな事してる場合じゃねえだろ」
新八さんは舌打ちしながら、憤懣やる形ない様子で毒づく。
そこへ、先を歩いていた副長が、此方を振り返りながら言う。
「……八王子に、入隊希望者が何人かいるらしいんだ。その検分もしなきゃいけねえからな。それに、新入りの隊士と打ち解け合うには、盃酌み交わすのが一番だろ?」
「まあ、そりゃそうだけどさ……」
不満そうな新八さんを尻目に、副長はぼそりと独り言を呟く。
「……金ばら撒いて接待しなくても隊士が集まってくれるんなら、近藤さんにあんな真似させなくて済むんだがな」
『…………』
京では名を馳せた新選組だけど……、今、幕府は劣勢に立たされている。
検分を重ねるだけの余裕もなく、お金や酒で歓心を買い、何とか隊士を集めなくてはいけない。
副長の抱いているやり切れなさが、痛いほど伝わってきた。