第十六十九話
夢小説設定
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外から吹き込んでくる隙間風に混ざって、「ええじゃないか、ええじゃないか」と囃し立てる声が聞こえてくる。
もう、江戸に戻ってから、一ヶ月以上が経っていた。
「いや~、相変わらず喧しい声だよな。ええじゃないか、ええじゃないか、って、情緒の欠片もありゃしねえ」
「ま、何もかも忘れて踊り狂いたくなるのも、分からなくはねえよ。明日にも薩長が攻めてくるかもしれねえってご時世だもんな」
「左之も踊りに行ってくるか?腹の傷に顔描いて踊れば、大注目間違いなしだぜ!」
「……てめえ、今日はよっぽど自腹で呑みてえみてえだな。せっかく奢ってやろうと思ったのに」
「何言ってんだよ、左之!冗談に決まってんじゃねえか。俺は江戸っ子だから、心にもねえ言葉がつい口をついて出ちまうんだって!」
新八さんと左之さんのそんなやり取りを聞きながら、ぼんやりと窓の外を見つめる。
「……ほたる、硯と墨が何処にあるか知らないか?」
掛けられた声に振り返ると、一君が立っていた。
『副長の部屋にあると思うけど……、勝手に使ったりしたら、きっと叱られちゃうよね。ちょっと待ってて。もう一組あったと思うから、探してくるよ』
「ああ。……なるべく早く頼む」