第百五十七話
夢小説設定
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江戸に戻ってきた俺達は、品川にある旗本専用の宿『釜屋』に身を寄せる事となる。
鳥羽・伏見での負け戦、大坂城撤退、そして幕軍の総大将たる慶喜公の恭順────。
どう見ても先行きが明るいとは言えない展開に、隊内にも不安な空気が立ち込めていた。
「……近藤局長は、いつ戻られるんだ?もしや慶喜公のように、我々を見捨てて逃げてしまうのではあるまいな?」
「まさか、局長がそんな……」
本来、そんな新入りの隊士達を諌めるのは幹部の役目なのだけど……。
「おい、てめえら、お喋りが過ぎるぜ。暇でしょうがねえんなら、刀の手入れでもしてたらどうだ?」
「はっ……!も、申し訳ございません!」
……今は寧ろ、平隊士よりも新八さん達の方が苛立っているようだった。
慌てて席を外す隊士達を見送った後、左之さんが深い溜め息をつく。
「……ま、彼奴らの気持ちも分からなくはねえかな。戦になった途端、総大将が真っ先に逃げ出しちまうなんて前代未聞だ」
「……しょうがねえさ。あの人は元々、尊攘派の急先鋒、水戸藩の生まれだろ?薩長の奴らが掲げた錦の御旗に、ブルッちまったんだろうぜ。敵から見るとあんな御しやすい大将もねえよな」
「尊攘派だろうが佐幕派だろうが関係ねえよ。命懸けて戦ってる家来を見捨てて逃げ出すなんざ、腰抜け以外の何物でもねえ。薩長……、特に長州の連中はお取り潰し寸前だったところを死に物狂いで生き延びてきた連中だ。それに引き換え、幕府ときたら……、戦う前から負けちまってるじゃねえか」