第百三十八話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
大晦日だというのに、伏見奉行所内には緊迫した空気が立ち込めている。
もうすぐ、戦が始まる────。
その事実が、隊士達の神経を昂らせているようだった。
「よう、ほたる。どうしたんだ?そんな顔して」
『あっ、左之さん』
「面倒な事になっちまったな。折角の大晦日だってのに大掃除も出来ねえまま、屯所を出て行く羽目になったし」
『うん、そうだね……』
曖昧な笑みを返した俺に、左之さんは此方を覗き込む。
「……何だ?しょぼくれた顔して。心配事でもあんのか。……まあ、不安になるなって言う方が無理か。これから、戦争が始まっちまうかもしれねえんだもんな。だけどよ、まだ負けるって決まったわけじゃねえだろ。んな落ち込んだ顔すんなって」
大きな掌が、俺の肩を優しく叩いてくれる。
だけど、俺は……顔を上げる事が出来なかった。
『……ごめん、左之さん。ちょっと副長のところへ報告に行ってくるから』
そう言い残し、左之さんの顔を見ないまま、俺は逃げるようにその場を離れた。