第百二十三話
夢小説設定
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副長へお茶を届けた俺は、羅刹の集う道場を訪れる。
そして、一人佇む彼を見付け、声を掛けた。
「如月君。どうしたんです、こんなところに来るなんて」
『すみません。総長と、お話がしたくて……』
「……あなたが聞きたいのは、沖田君と藤堂君の事ですね?」
総長は、最初から内容を予想していたかのように聞いてくる。
俺は、それに黙って頷いた。
「君も複雑でしょうが……。状況がどうあれ変若水を飲むと判断したのは彼ら自身です」
子供に言い聞かせるような、丁寧な口調だった。
だから俺は黙ったまま、彼の言葉に聞き入る。
「重傷を負った藤堂君は、死にたくないという思いだけで変若水に手を伸ばしました。彼とは付き合いも長い事ですし、命を取り留めてくれた事は私も嬉しく思っていますが……。彼はこの選択がもたらす結末に、悩まされる事になるでしょう」
表情には隠し切れていない苦悩が滲んでいる。
総長は平助の事を、とても案じていた。
「逆に沖田君は病を克服し、再び剣を振るう力を得る為、自ら進んで羅刹になりました。彼が変若水を飲んだ理由は、私に近いかもしれませんね。成し遂げる為に必要な力を、代償を払ってでも求める気持ちは分からないではありません。ですが、その先の事まで考えていたかどうか……」
総長は、様々な感情の入り混じる複雑な笑みを浮かべていた。