第百二十一話
夢小説設定
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油小路の変に、鬼の襲撃……そんな大事件の後だからか、ここ最近、屯所の中は騒がしい。
たとえ一瞬の静寂が訪れても、屯所の空気はざわついていて、気が休まる事はなかった。
いつ、何処で、何を間違えて、こうなってしまったのだろうか。
そっと、溜め息が零れる。
あれから────母が鬼一族の姫だったと、自分はその末裔だと、そう告げられたあの日から、心のざわつきは収まる事を知らない。
そんな俺の心中を察してか、誰一人としてその話題に触れてくる者はおらず、皆、何事もなかったかのように今までと変わらない態度で接してくれている。
それが、とても有難かった。
「────ほたる」
不意に名を呼ばれて振り返る。
副長だった。
「少し良いか?お前に頼みてえ事があるんだが」
『ええ、構いません。何でしょうか』
「斎藤に渡してきて欲しいものがある。届けてきてくれ。隊士が行ったら目立って仕方ないからな、お前でないと駄目なんだ。任せて大丈夫だな?」
『勿論です。……では、行ってまいります』
「ああ、頼んだぜ。気を付けて行けよ」
俺は副長から書状を受け取ると、しっかりと懐に入れ、屯所を出た。