第百一話
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伊東派は新選組を離隊して、御陵衛士という集団になる。
一君も平助も、共に屯所を出て行った。
伊東派が離脱した事で、屯所は随分広くなった。
米炊きの量が少なかったり、並んだ草履の数が減っていたり、そんな些細な変化も寂しい。
何だか、気が重くなる出来事ばかり起きている気がして……。
考えれば考えるほど、気が滅入っていく。
「ほたる、少し良いかね?」
はっとして顔を上げると、そこには局長がいた。
『す、すみません……!少しぼうっとしてました……!』
「ああいや、疲れているようだから、気になって声を掛けただけだ。何やら浮かぬ顔をしているようだが、大丈夫か?」
『はい。俺は大丈夫です』
そう言って笑顔を作る。
確かに、平助や一君の事、羅刹の事と色々と悩みは尽きないけど……。
きっとそれは、俺だけではないはずだ。
そんな俺を見つめ、何やら考え込んだ様子の局長だったが、思い出したように声を上げる。
「ああ、そうだ、ほたる。ひとつ頼みを聞いてはくれないか?」
『はい、何でしょうか』
「実は最近【いわとや】という店の饅頭が美味いと小耳に挟んでな。どうだろう。今からその饅頭を買ってきてはもらえないだろうか」
『お饅頭……ですか?』
「ああ。是非ともお願いしたいのだが』
……きっと、局長は俺の心の内を察して、お饅頭を買ってくるように言ってきたのだろう。
俺は、その気持ちを素直に受け取る事にした。
『……分かりました。行って参ります』
「頼んだぞ」
そうして俺は、屯所の門を潜り、京の町に出たのだった。