第百九十九話
夢小説設定
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金子邸へとやってきた私達。
近藤さんは、戦う事には乗り気ではない様子だったけど……。
土方さんが必死に説得してくれたお蔭で、重い腰を上げてくれたみたいだった。
会津に行く準備が整うまで、此処で調練を続けるという。
斎藤さんはその後、市川という違う場所で、連隊に新式装備の訓練をする事となった。
山南さん、平助君の羅刹隊は、金子邸には入れないという事で、一足先に宇都宮経由で会津を目指しているとの事だ。
「近藤さん、お茶をお持ちしましたよ」
私は部屋で読書をしている近藤さんに、お茶とお茶菓子を運んでいく。
「ああ、ありがとう」
近藤さんは頁をめくる手を休め、笑顔を見せてくれる。
「何の本をお読みになっていたんですか?」
「ん?三国志演義に、清正記に……、まあ、軍記物の小説ばかりだな。もう、暗誦出来るくらい読み込んだんだが、何度読み返しても新たな感動があってなぁ。子供の頃は、思ってたものだよ。いつか関聖帝君みたいに立派な武将になって、自分ではない誰かの為に戦おうって」
厳つい顔に少年のような笑みを浮かべながら、近藤さんは懐かしそうに言った。
やがて、その表情が寂しそうな色を帯びる。
「……ただ、願うだけでは名将にはなれんのだな。それに気付くのが、ちと遅かったようだ」
言いながら、本の表紙を軽く掌で叩き、文机の上へと載せる。