第百九話
夢小説設定
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慶応三年八月────。
新しい屯所での生活にも、段々と馴染み始める。
そんなある日、俺は左之さんの隊士達の稽古を見学していた。
「そんじゃ次は、相懸かり稽古だ!全力でやれよ!」
左之さんの威勢の良い掛け声が、道場に響き渡る。
隊士達の手にあるのは、刃引きした真剣。
竹刀や木刀を使う稽古とは、一線を画す迫力があった。
「……何だ、返し技のコツが分からねえって?そりゃ、相手の刀を見てるだけだからだよ。どんな奴でも、打ち込んでくる直前にゃ必ず前触れがあるもんだ。刀じゃなくて、相手の身体全体を見るっつうのかな……」
左之さんは、質問してくる隊士に的確な答えを返してやる。
その言葉で何か掴んだのか、その隊士は目を見張る程の上達を見せた。
「よし!そんじゃ今日の稽古は此処までだ。後片付けは頼んだぜ」
左之さんは隊士達にそう言い残し、手の甲で汗を拭きながら此方へと歩いてくる。
『お疲れ様、左之さん。はい、手拭い』
「お、ありがとよ、ほたる」
渡した手拭いを受け取り、左之さんは額や首筋の汗を拭う。