第六十五話
夢小説設定
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「ほたる、大丈夫?まだ熱が高いわね……何か、食べたい物はある?」
優しい手が伸びてきて、額に触れる。
さわさわと前髪を掻き分けながら、そっと頭を撫でてくれた。
少し擽ったくて、心地よくて、目を閉じる。
ふわっと香る、母さんの匂い。
風邪を引くと、少しだけ特別扱いしてもらえるような気がして、それがちょっとだけ、嬉しくて。
熱に魘された日の、遠い記憶。
母の温もり。
────最後に見た母さんは。
「ほたる、ちょっと行ってくるわね。大丈夫、すぐに帰ってくるわ。待っててね」
そう言ってにこりと笑い、出て行った。
まさかそれきり、会えなくなるなんて、夢にも思わずに。
待てども待てども、母さんは戻ってこなかった。
すぐに帰ると言ったのに。
待っててね、と言ったのに。
どうして母さんは、帰ってこないの?
どうして母さんは、いなくなったの?
どうして、どうして────。