第六十四話
夢小説設定
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「ほたる……、やっぱりお前なんやな?」
『…………』
息を切らしながらやって来た彼は、俺の顔を覗き込むように視線を向ける。
声が、出ない。
「誰だ、あんたは。此奴に何の用だ」
俺の様子に何かを感じたらしい副長は、彼と俺との視線を遮るように前に出た。
「申し遅れました。私はこの子の……ほたるの父親でございます」
「父親、だと……?」
その言葉に、副長が振り返る。
顔を上げる事も出来ず、鼓動だけが、どんどんと早くなる。
「はい。もう何年も昔の事です。娘と生き別れになったのは。……当時、私は本当にどうしようもない男でありました。自分の過ちに気付いたのは……この子を手放して暫く経った頃。それから私は、各地を渡り歩き、ほたるの行方を探しておりました」
『…………』
「……一年ほど前の事です。京に辿り着いた私は、息子と共に町を歩いておりました。……すると、一瞬、この子の母親の面影漂う人をお見掛けしまして……」
彼がこの町にいる事には、気付いていた。
以前に、丞君と総司の部屋を掃除した後、京の町に繰り出した時だった。
途中で左之さんに会い、一緒に歩いていた最中。
俺は彼を見掛けたんだ。
だけど、そんな事、何も関係ない。
俺には、何も、関係ない────。
「ですがその方は男物の着物を着ておりました。先ほど申し上げたように、私の探しておるのは若い娘。……他人の空似だと思い直しましたわ。でも諦め切れんと……、この町に滞在しとったんです」