第十七話
夢小説設定
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目の前に映る、あの光景。
その場から動けず立ち尽くしたまま、ただそれを見つめる。
『総長……!』
「綱道さんが残した資料を基にして、私なりに手を加えたものがこれです。原液を、可能な限り薄めてあります」
『ですが、それはっ……』
「服用すれば、私の腕も治ります。さして分の悪い賭けではありませんよ」
『いけません!総長、止めて下さい!!』
「私は最早、用済みとなった人間です。────剣客として死に、ただ生きた屍になれと言うのであれば……人としても、死なせて下さい」
緊迫した声。
水の揺れる音。
割れた硝子が一面に飛び散り、暗闇で妖しく光った。
そして────。
耳をつんざく、叫び声がこだまする。
『…………っ!!』
耳を塞ぎ目を瞑って、全ての音と視界を遮断し、その場にしゃがみ込む。
また、私の……私のせいだ。
私が、全てを奪ってしまったんだ…!!
何も、聞きたくない。
何も、見たくない。
涙が、頬を伝った。
私なんか、いなければよかった……。
いなければよかったんだ……!!
苦しくて、悲しくて、情けなくて。
どうして、どうして……!!
私さえいなければ、誰も傷付かなかったのに。
私さえいなければ、皆笑っていられたのに。
私さえ、いなければ……。
このまま消えてしまいたい。
もう、誰も失いたくないの。
……ううん、もう、辛い思いはしたくないんだ。
だから、お願い────。